10年以上の仲居経験があるもと仲居が描いた漫画「We are ナカイサン！」。旅館業の裏側を描いた作品で、普段宿泊するだけでは見えない仲居さんたちの苦労や笑い話を垣間見ることができる。夕食を部屋出しする際の苦労や、宴会のさまざまなトラブルに備えた下準備など、知れば知るほどおもしろい仲居さんワールドを笑いを交えて紹介してくれている。
新卒で仲居として働き始め、トータルで10年以上、全国7カ所の宿での勤務経験がある作者の一浦にこさん。仲居さんの勤務体系は独特で、一浦さんいわく「チェックインからチェックアウトまでを1日のサイクルとしてシフトが組まれているのでは？」とのこと。
基本的には仲居さんの朝は早く、朝食の準備からスタートし、その後チェックアウト作業へと移っていく。チェックアウト後の客室には、意外と“忘れ物”をしている人が多いので、隈なく確認することも大事な仕事だ。
この日も確認をしていると…7階の客室で立派な忘れ物を発見！クローゼットの扉を開けると、家族全員がコートを忘れていた。お客様のコート3着を手に、階段をダッシュする羽目に…!!
無事にロビーでくつろぐお客様を見つけると、あがった息を整え、涼しい笑顔で忘れ物を届けることに成功！その後、「STAF ONLY」と書かれたスタッフルームの扉の向こうで倒れ込んだことは、それこそスタッフのみぞ知る事実だ…。そんな一浦さんに、仲居という仕事を始めたきっかけについて話を聞いてみた。
――仲居という仕事に就いたきっかけについて教えてください。
就職先について特に何も考えていなくて「さて、どうしよう!?」と思っていたときにたまたま観光ホテルの求人を見つけて応募したのがきっかけでした。
――では、ホテル業界へ応募されたのであって、最初から仲居を目指していたわけではなかったんですね。
はい。そのホテルでは新入社員研修後に配属先が決まるんですが、まさか仲居に決まるとは思ってもなかったので驚きました。自分では適性ゼロだという自信があったんですよ。
――でも長年、仲居業を続けられたということは適性があったんですね！
いえいえ、結果的にトータルで10年以上も仲居を続けてきましたが、ずっと適性ゼロなまま仲居をしてました(笑)。
今回紹介したエピソードのほかにも、「宴会での踊りには仲居も全員参加！」などおもしろいルールもあったりして、そのエピソード漫画も秀逸！いつも涼しい笑顔でやさしく接客してくれる仲居さんたちの裏側の努力を知ると、「泊まるときにはなるべく迷惑をかけないようにしよう」と身が引き締まる思いだ。もと仲居さんが描く、平穏無事じゃないけどなぜか楽しい仲居さん生活の漫画「We are ナカイサン！」は一読の価値ありである。
画像提供：一浦にこ
