3年以上続いたコロナ禍を経て、マスクなし、行動規制なしで、さまざまなイベントが次々と解禁された2023年の夏。Z世代における久しぶりの“自由な夏”とは、どのようなものだったのか。
2023年5月より、多種多様な趣味嗜好(界隈)に特化したコミュニティに向けて「リアルで深い」情報を提供し、「ヒト・コト・モノ・バ」を提案する機関として、「WE LABO［ヒト・コト・モノ・バ］研究所(※略称「WE LABO(ウィー ラボ)」を発足した株式会社ウィゴーが「Z世代1万人が回答！この夏何した？“界隈別”夏の楽しみ方大調査！」を実施。各界隈のコミュニティSNSのフォロワー33万人に、この夏の『コト』『モノ』『バ』について調査した。
「花火大会・夏祭り」が復活した夏の楽しみ方は涼感重視
今年(2023年)の夏にZ世代が最も楽しんだのは、どの界隈も共通して「花火大会・夏祭り」となった。新型コロナウイルス感染症の影響で自粛されていた花火大会や夏祭りが復活し、街で浴衣姿の人たちを見かける機会も多かったのでは。猛暑となった今年だが、日中に比べて比較的涼しい夜に行われる花火大会・夏祭りであれば出向いたという人も多かったのかもしれない。
どの界隈も「花火大会・夏祭り」が1位となったが、2位以下は界隈別で異なる結果となった。JK界隈とダンサー界隈では「海・川・プール」に出向いて、暑さに負けじとこの夏を楽しんだようだ。
JK界隈とダンサー界隈の共通点について、WE LABO研究員に尋ねると、
・アクティブで外に出たがる子が多い
・いわゆる“陽キャ”が多くキャピキャピしている
・コミュニケーション能力が高めで友達が多い
・インスタ映えする場所に行きたがる子が多い
といったイメージが挙げられた。
一方で、オタク界隈、地雷界隈、フレンチガーリー界隈では「ショッピング」が2位という結果に。これらの界隈は、ファッションへの興味があるのはもちろんだが、“推し”という存在への熱量が高い界隈でもある。これまで自粛や制限を受けていた“推し”に会えるライブ・コンサートなど、さまざまなイベントが解禁され、それに合わせて洋服やグッズを買いそろえたりすることも増えたと予想できる。また、今の時代、ショッピングは家から出ることなく手軽に楽しむことができるため、インドア派が多いといわれる地雷界隈や、美容への関心が高く日焼けしたくない人が多いフレンチガーリー界隈での「ショッピング」人気が高かったのも納得のいく結果である。
界隈ごとの違いが顕著だったのは「その他」の記述。JK界隈では「部活」「勉強」、オタク界隈では「推しのライブ」「オタ活」、ダンサー界隈では「ダンスイベント」、地雷界隈では「引きこもり」、フレンチガーリー界隈では「ディズニーランド・ディズニーシー」「ライブ・コンサート」など、界隈ごとの違いが見られた。
界隈ごとに変わる？この夏の購入品
「この夏何を買いましたか？」という調査では、どの界隈でも「サンダル」「水着」「浴衣」「サングラス」が上位に入っている。
「水着」については、今年は、上下セパレートになっていることで“浴衣”としてだけではなく“ワンピース”としても普段使いできる、実用性の高いデザインとなった2WAY浴衣がさまざまなブランドから発売され、花火大会・夏祭り以外での使い道がそれほどない浴衣でも、手を伸ばしやすい価格設定と実用性から、購入にいたった人も多かったようだ。
気になる結果となったのが、ダンサー界隈で1位となった「サングラス」。全国的に猛暑となった2023年の夏、日焼け対策や紫外線対策として購入する動きは容易に想像できるが、加えて、ダンサー界隈では“踊る際にサングラスを着用する”ことが流行しており、メタルフレームのサングラスや太めのフチのスクエアサングラスなどを着用してダンスをしたり、写真を撮って楽しむ人も多く見受けられたという。
止まらないハンディファン人気！
「この夏重宝した冷感グッズは？」という質問には、全界隈で圧倒的1位だったのが「ハンディファン」。続く2位は「汗拭きボディシート」だった。「ハンディファン」は見た目もかわいらしく、首からさげて気軽に持ち歩けるため、重宝した人がかなり多かったようだ。
この夏はまあ満喫できた
Z世代に「この夏の満喫度」について聞くと、「まあ満喫した」と回答した人がどの界隈でも最も多く、約4割を占めた。次いで「あまり満喫していない」と回答した人が多く、「まあ満喫した」と回答した人の半数ほどとなった。
理由としては、以下のような回答が多く挙げられた。
【満喫できた派】
・友達とたくさん遊べた
・好きな人とお祭りに行けた
・恋人ができた
・旅行に行けた
・ライブ・コンサートに行けた
・ダンスのイベントに出ることができた
【満喫できなかった派】
・受験生で勉強・塾が忙しかった
・課題で忙しかった
・部活が忙しかった
・バイトが忙しかった
・新型コロナウイルスにかかった
・風邪を引いた
・休みが短かった
・失恋した
今回の調査について、担当者に話を聞いた。
――夏の『コト』『モノ』『バ』を調査した狙いや目的について教えてください。
「WE LABO」では、一人ひとりの趣味嗜好から派生するさまざまな界隈へのアプローチをアンケートを通して積極的に行っております。これまで、年齢や性別などの“属性”で括った調査は頻繁に行われてきたかと思われますが、「WE LABO」のようにさまざまな“趣味嗜好”に分類し調査を行う機関は皆無に近かったのではないでしょうか。「WE LABO」ではそういった今までとは違った、ニッチな層への深い調査を頻繁に実施することで、スピード感をもってWEGOの商品開発に反映させていくことはもちろんですが、多様な業界の企業様のマーケティングご担当者様に「WE LABO」の機関や蓄積されたデータなどを参考にしていただきたいと思っています。今回は、マスク解禁、行動制限なしなど、本当の意味で“自由な夏”となっていましたが、果たして本当に若者は、夏を満喫したのか、そしてそれに紐づいた消費行動や需要の変化がどのようになっているのかのリアルな声が聞きたく調査しました。
――今回の調査結果について、注目すべきポイントを教えてください。
界隈ごとに、“夏”と相性のいい界隈・悪い界隈はありながらも、どの界隈も、夏を満喫した人は、過半数を超えており、夏ならではのイベントを楽しんでいたようです。全界隈を通して目立ったのが、学生の「勉強・部活で忙しい」という意見でした。やはり夏休みといいながら勉強に追われる学生は多く、あまり外に出かけられず、好きなことをできなかった人たちの満喫度が低かったようです。
消費動向については、この夏多く見かけた「ネッククーラー」や「首掛け扇風機」といったハンズフリーの冷感グッズは、一見便利ではありますが、Z世代には、その見た目を気にする人も少なくなく、ファッションの妨げになってしまうことがネックになっているようで、どの界隈でも購入率は低い結果となっています。
――調査全体を通して、Z世代の特徴や傾向はありますか？
何かに属していたい欲求は強いように感じます。趣味嗜好が同じ属性の人と行動を共にする傾向は強く感じる反面、ひとりでいくつもの界隈に属している事実もあり、TPOで使い分ける巧さを持ち合わせていると思います。
――「WE LABO［ヒト・コト・モノ・バ］研究所」では今後どのような調査の実施を予定していますか？
行動調査としては、ハロウィンやクリスマスなどのオケージョンに合わせた行動調査を予定しています。また、界隈別では順次さまざまな調査を行っていますが、推し活界隈では「推し活事情」、JK界隈では「恋愛事情」「シチュエーション別よく聞く音楽」などを直近では予定しております。年末には、2023界隈別トレンドランキングに向けた調査を各界隈で行う予定です。
――ユーザーへのメッセージをお願いします。
WEGOは主に“アパレルショップ”というイメージが強く根づいていると思います。ですが、実際は物売りにとどまらず、創業以来ストリートや若者を見続け、ともに成長してきたことで、Z世代マーケティングにおいて必要となる情報を自社内外のあらゆる機関を駆使しスピーディーにそして大量に取得することが可能で、かつその情報を提供、協業することが可能です。「WE LABO」が提供・提案可能なサービスとして、各コミュニティから得られるデータを活用した【ヒト】の調査、【コト】の発信、【モノ】の開発、【バ】の創出などがございます。マーケティング調査・戦略、プロダクト開発・調査・支援、PR業務・メディア機能、プロデュース企画、イベント企画運営などを行っていますので、ご興味のある方は、ぜひともご一報いただけると幸いです。
文＝土屋梨夢
