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FP飯村久美さんに学ぶ『貯蓄1000万円の壁』を越えるコツ。自己投資をはじめるのは早いほうがいい

2023/04/02 12:30
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円安による生活コストの上昇や、老後資金問題など、お金に関する漠然とした不安を抱えている人も多いはず。一方で、これまでにも「お金を貯めたい」と考えてきたにもかかわらず、なかなかうまくいかないという人も少なくないだろう。ここでは、『年収300万円でもラクラク越えられる「貯蓄1000万円の壁」』の著者でもあるファイナンシャルプランナーの飯村久美さんが、お金を増やすコツを伝授。

今回は第27回。

【写真】「アクシデントが起きても貯蓄を続けていけるように、自力で稼げる力を付けておくことが大切」と語る飯村久美さん
【写真】「アクシデントが起きても貯蓄を続けていけるように、自力で稼げる力を付けておくことが大切」と語る飯村久美さん【撮影=樋口涼】


ここでは、貯蓄にまわすお金をつくるもうひとつの方法である、「稼ぐ力」について考えていきましょう。稼ぐ力をしっかりと身に付けて家計に入ってくるお金が増えれば、さらに貯蓄にまわせるお金をつくることができます。

支出を抑える方法ではどうしても限界がありますが、収入が増えれば一気に貯蓄1000万円達成の近道になります。会社でいえば、商品やサービス、そして営業社員や販売スタッフなど、会社のお金を生み出すものや人はすべて「稼ぐ力」になります。家計であれば、どういった働き方をしてお金を稼ぐかということになります。

お金を稼ぐためにはさまざまな働き方があります。なかでも恵まれている環境にあるのは、正社員です。正社員の最大のメリットは、雇用が安定していることで定期的な収入が約束されていることにあります。

会社によっては賞与や退職金といった臨時収入がありますし、浮き沈みはあるものの、多くの会社で原則的には定年まで安定した収入を得ることができます。年金や健康保険の保険料も会社が半分出してくれるので、少ない負担で充実した保障が受けられます。

一方、特に今回のコロナ禍で浮き彫りになったのが、非正規社員の脆弱さでした。非正規社員とは、パート、アルバイト、派遣社員、契約社員などいろいろな契約条件で働く人たちを指しますが、6カ月契約、1年契約など、会社側とある期間だけ契約する働き方です。そんな非正規社員の人たちが稼ぐ力を付けるためには、まず正社員を目指すことがスタートです。

すぐに正社員になることが難しい状況にあるなら、いつでも正社員への道が開けるように、派遣社員としてキャリアアップを図っておくことをおすすめします。派遣会社によっては、登録するだけでスキルアップのための講座を受講できたり、転職活動に役立つサービスが提供されたりします。そういったサービスは、積極的に有効活用していきましょう。

もし現在、失業中で雇用保険を受給できないということであれば、ハローワークが行っている「求職者支援制度」を利用するのもいいでしょう。条件を満たせば、月10万円の生活支援の給付金を受給しながら、無料の職業訓練を受講できます。非正規社員や失業中の人が貯蓄をはじめるには、とにかく長期的な安定収入を得られる正社員を目指すのが最善策であることは間違いありません。

正社員の人が、いまの仕事を続けながら稼ぐ力を付けるためには、自己投資をして、自分の市場価値を高めることが大切です。いわば、将来の自分がもっと稼げるようになるための投資です。なにも考えずに目先のことばかりにお金を使うのではなく、未来の自分にお金を使うのです。自己投資が習慣化できれば、そのリターンは計り知れないものになります。

世の中に登場する新商品や新サービスは突然生まれるものではなく、数年前から、ものによっては10年以上も前から構想を練られてきたものがほとんどです。その間は会社にお金が入ってくることはなく、お金は出ていくだけ。会社の未来にとっての投資なのです。自己投資も、それとなんら変わりません。自分や家族の未来のために欠かせない、“社長”としての決断といっていいでしょう。

正社員は雇用が守られていると述べたものの、終身雇用があたりまえの時代は終焉を迎えつつあります。日本は労働組合の力もそれなりに強く、欧米に比べて極端な人員削減があるとは考えにくいですが、定年前に解雇通告されることがないとはいえません。早期退職者を募る会社が増えてきているのは、その前兆だと見ていいでしょう。

先行き不透明な時代のいま、あなたが勤務している会社自体がなくなることも考えられます。そんなアクシデントが起きても貯蓄を続けていけるように、自力で稼げる力を付けておくことは大切なことです。

さらにいえば、「人生100年時代」といわれているように、定年退職まで働けたとしても、それからまだまだ人生は続きます。厚労省のデータによると、1990年生まれの人(2055年に65歳)は、女性は20%が100歳まで、男性は44%が90歳まで長生きすると推計されています(2018年10月 社会保障審議会年金部会)。

そうしたデータを見ると不安が先行すると思いますが、定年退職後も稼げるスキルを身に付けておけば不安も少しは解消されるはずです。

「自己投資しようといわれても……」「なにからはじめればいいのかわからない」そう思う人も多いでしょう。そんな人はまず、大きな成果を求めずに、ちょっとした工夫をしたり、人の良いところをマネしてみたり、できるところからスタートしてみてください。

ダイエットや筋トレと同じで、毎日の努力はほんの少しでも、何年も続けていくと大きな違いをつくり出すことができます。少しずつでも理想の自分に近づいていけば、10年後20年後には、きっと素晴らしいリターンが待っています。

スキルを磨く方法はいくらでもあります。書店に行けば関連書籍が山積みになって売られています。書籍を購入しなくても、図書館へ行けば書籍を読むことはできます。セミナー、教室、講演会だって、ネット検索すれば自治体・民間問わずに、何件もヒットするでしょう。お金をかけたくなければ、ネットの世界にだって関連情報は無数に存在するのがいまの時代です。

つまり、自分磨きは、いまこの瞬間にでもはじめられるということです。ただ、資格取得に関しては少し考える必要があると思います。趣味的な感覚でむやみに取得するというよりは、やりたいことや稼ぐことにつながる資格をしっかりとチョイスすべきでしょう。そうすることで、自己投資の効果ははるかに高くなるからです。

自己投資は単なる支出ではありません。それこそローリスク・ハイリターンが期待できる投資です。知識を増やす自己投資、健康を維持する自己投資、どんな投資でも将来大きなリターンに育つ可能性があります。

わたしたちは、変化の時代を生きています。むかしと違い、いい大学を出て、それなりの会社に勤めていれば安心という時代ではなくなりました。ぜひ自分を磨いて、変化に対応できる自分をつくっていきましょう。あなたの人生のリスクヘッジにつながるはずです。

ファイナンシャルプランナーの飯村久美さん
ファイナンシャルプランナーの飯村久美さん【撮影=樋口涼】


この記事のひときわ#やくにたつ
・自分の市場価値を高め、自力で稼げる力を付けておく
・やりたいことや稼ぐことにつながる資格をチョイスする

編集協力=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、洗川俊一、横山美和、撮影=樋口涼

『年収300万円でもラクラク越えられる「貯蓄1000万円の壁」』
株式会社KADOKAWA(2022)

【プロフィール】
飯村久美(いいむら・くみ)
金融機関在籍中にファイナンシャルプランナー(FP)の資格を取得。退職後、自らの経験から、お金の正しい知識を身につけることが「生活を守る手段」であり、「やりたいこと」や「夢」につながると痛感。その経験を伝え、その人の夢が叶うマネープランをサポートすることを目的として、2006年FP事務所を開業。テレビやラジオ出演、セミナー講師など幅広く活躍中。著書に『ズボラでもお金がみるみる貯まる37の方法』(アスコム)、『シングル女子の今日からはじめる貯蓄術』(成美堂出版)、『子どもを持ったら知っておきたいお金の話』(KADOKAWA/中経出版)、『お金の先生! できるだけ簡単にお金が増える方法を教えてください。』(アスコム)、監修書に『一生お金に困らない! 貯め方・増やし方』(ナツメ社)などがある。FP事務所アイプランニング https://www.fp-iimura.jp

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