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『副業は自己PRがすべて』著者・野呂エイシロウさんに聞く【第1回】サラリーマンの副業は、「本業で磨いたスキル」で実現できる

2022/12/09 17:30 | 更新 2023/04/16 23:38
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給料がまったく上がらない、終身雇用も公的年金も保障されないかもしれない——。そんな時代に、漠然とサラリーマンを続け、「一本の収入源」だけで生きることにはリスクがともなう。そこで、放送作家と並行して副業で企業向けの「広報PRコンサルタント」としても活躍し、いまや「第二の本業」といえる収益の柱に育てた野呂エイシロウさんに、副業を成功させるポイントを伺った。

『副業は、自己PRがすべて。——「稼ぐ人」が実践する成功戦略』著者・野呂エイシロウさん
【撮影=塚原孝顕 】


サラリーマンの約半数が「副業したい」と思いつつできない実態

リクルートが実施する「兼業・副業に関する動向調査」の2021年版によると、サラリーマンの副業の実施意向は46.5%。7000人以上を母数とした調査で、ふたりにひとりは「副業に興味を示している」ことがわかります。一方で、実際に副業を実施しているのは9.4%と、それほど多くはありません。

多くのサラリーマンが、「このままの働き方で大丈夫か?この収入ではまずいのではないか?」という不安を抱えるものの、「副業なんて自分にできるのか?」「会社にバレたら怒られるのでは?」といった不安も同時に抱えているのかもしれません。しかし、十分な蓄財ができるほど年収が高く、どこにでも転職できるような強者でなければ、もはやのんきに構えている場合ではないと思います。

『副業は自己PRがすべて』著者・野呂エイシロウさんにインタビュー
『副業は自己PRがすべて』著者・野呂エイシロウさんにインタビュー【撮影=塚原孝顕 】


「守ってもらえる時代」は、もう終わりを迎えている

漠然と「あまり給料が増えないな」と感じている人は、この5年、10年で自分の給料がどれだけ上がったかを改めてチェックしてみてください。ごまかしのない数字で現状を把握することが意識改革には大切だからです。30歳で手取り30万円が、40歳で35万円にしかなっていないのなら、この先もあまり豊かにならないことが具体的に想像できるはずです。その金額は、若いころにあなたが思い描いた将来像に達しているでしょうか?

それに加えて、「終身雇用」が崩壊しはじめていることを真剣に捉えるべきでしょう。日本企業は基本的にいわゆる“戦力外”の人材がいてもクビを切らずに雇用し続け、一方で戦力は必要だから新卒採用も行ってきました。その結果、組織は余剰人材で膨れ上がっていきます。それでも組織を維持できたのは、市場が豊かで経済成長していたから。しかし、国際競争力を失い、国内経済が停滞し続けるいまでは、すでに終身雇用は限界を迎えています。

日本型雇用の象徴であったパナソニックでさえリストラを敢行するなど、さまざまな大企業で「セカンドキャリア支援」という名目のもと、40代、50代以上の生産性が落ちた従業員の早期退職を促す施策が進められています。独立・再就職支援、退職金の上乗せをしてくれるだけ大企業はまだマシで、多くの中小企業では無策のまま将来的なリストラのリスクを抱えているわけです。そんな社会情勢において、「自分は定年まで勤務先に置いてもらえる」と漠然と信じているのは、あまりにリスクが高いでしょう。

そして政府では、国民年金の納付期間を「60歳未満」から「65歳未満」に延長する方向で本格検討がはじまっています。また、受給開始期間についても「70歳以上」に延長したいという政府の意向は明白です。そんななか、企業にはこれ以上、高齢層を雇い続ける余裕はないのです。

つまり、もう「守ってもらえる時代」は終わろうとしています。むかしのように「国が、会社が人生を守ってくれる!」と純粋に信じるのは自由ですが、国も企業も困ってしまっている実態が上記の政策・施策から垣間見えるのではないでしょうか。

国が老後を守れないのなら、収入を増やして投資に回し、資産形成をするべきです。また、会社が雇用を守れないのなら、自分で別の収入源を確保しなければなりません。そのリスクヘッジを実現するために、いまあなたがやるべきこと。それが、「副業」なのです。

Webサービスを活用して、あなたの「本業のスキル」を副業にしよう

では、どのような副業を行ったらいいのでしょう?休日や夜間のアルバイトはリスクがほとんどなく、すぐに働きだせる点はメリットですが、私はおすすめしません。月に5万円〜10万円を稼ぐのが精一杯で、なにより無理がたたって本業のパフォーマンスを落としかねないからです。いかんせん、生産性が低いのです。

私がおすすめするのは、「あなたの本業で培ったスキルを、会社以外の誰かに提供すること」です。経営や財務会計、国家資格の必要な技術など、高度なスキルを持っているなら有利ですが、どんなスキルにもチャンスはあります。例えば、「先輩として新入社員にExcelの使い方を教えている」なら、それも価値あるスキルとして副業に生かせます。

あなたがあたりまえにExcelを実践的に使えるのは、あなたがIT時代のオフィスワーカーだからです。世の中にはExcelの使い方どころか、「Excelの使い方」をWeb検索することも困難な人は珍しくありません。ご年配や学生、オフィスワークへの転職を考える人など、初心者〜中級レベルのITスキルを知りたい人はたくさんいますし、実際にExcelのレクチャーで1000万円プレーヤーになっている人もいます。

そうした副業をサポートするWebサービスは数多あります。例えば、「ココナラ」や「ストアカ」など、有名なスキルシェアサービスのサイトをチェックしてみましょう。あらゆるジャンルで「初心者向けレクチャー」を開講し、5000円の参加料で生徒を集めて収入を得ている人たちがいます。ビジネススキルでなくても、釣りやヨガなど、得意な趣味でもいいのです。

より専門的なビジネススキルがあるなら、「クラウドワークス」や「ランサーズ」などのクラウドソーシングで、自分のスキルを生かせる仕事の依頼を探すこともできます。また、コンサルティングもおすすめです。「ある専門スキルや経験を持つ個人」と相談したい企業とをマッチングしてくれるWebサービスのほか、「ビザスク」などのように1回短時間からの相談をサポートする「スポットコンサル」という形態も存在します。

それこそ、「職場のIT環境の構築ができる」とか「人事として、クラウド人事労務ソフトを使いこなしている」というレベルでいいのです。ノウハウがない企業や担当者にとって、それを持つ人を身近に探すことは簡単ではなく、アドバイスや課題解決へのニーズは確実に存在するからです。

「副業は、将来のためのリスクヘッジであり、低リスクでチャレンジできるもの」
「副業は、将来のためのリスクヘッジであり、低リスクでチャレンジできるもの」【撮影=塚原孝顕 】


「無限の可能性」こそ、副業の魅力

副業というのは、自分が「これはビジネスになる!」と感じたことを、会社の役職や職務領域に制約されることなく、自分の力で自由に実践して稼ぐことができることが魅力です。

私の場合であれば、放送作家としてテレビの人気番組をいくつも担当していたころに、あらゆる企業から「新商品を番組で紹介してください!」と送られてくるプレスリリースや企画書を見たことが副業をはじめるヒントになりました。放送作家の視点からすれば、どれも企画が面白くなかったし……(苦笑)、番組の求めていることを理解していないように思えたからです。

そこで、「それなら、僕が番組に取りあげてもらえる企画を提案すればいいのか!」と思ったことが副業のスタートでした。テレビ局に出入りしている広告代理店やPR会社などに自分を売り込み、地道に実績をつくっていったのです。

でも、それだけでは割のいい小遣い稼ぎにしかなりません。それよりも企業と直接コミュニケーションをとって、もっと大きな仕事がしたいと思い、「広報PRコンサルタント」を自称して、Webを使ったセルフブランディングをはじめたのです。

そして現在、私は放送作家として磨いた「ウケるアイデアを出す」という企画力を生かし、多くの企業と契約をして、商品開発や広告戦略などのアドバイザリーをしています。セルフブランディングによって知名度を高め、実績を積み重ねたことで、私の「広報PRコンサルタント」としての価値は高まり、「第二の本業」といえる収益を出せるようになったのです。

「本業で培ったスキルは、副業に生かせる価値ある経験」
「本業で培ったスキルは、副業に生かせる価値ある経験」【撮影=塚原孝顕 】


簡単だとはいいません。ですが、会社を辞め、借金を背負って起業するよりははるかに低リスクでチャレンジできるのが副業なのです。あなたが積み上げてきたスキルは、あなただけのもの——。ぜひ、あなたのスキルを必要とする人に届け、価値を育てていきましょう。

『副業は、自己PRがすべて。——「稼ぐ人」が実践する成功戦略』著者・野呂エイシロウさん
『副業は、自己PRがすべて。——「稼ぐ人」が実践する成功戦略』著者・野呂エイシロウさん【撮影=塚原孝顕 】


この記事のひときわ#やくにたつ
・国や企業に守ってもらう時代は終わろうとしている
・収入を増やして投資に回し、資産形成をする必要がある
・本業で培ったスキルは副業に活かせる
・副業は、自分の力で自由に実践して稼ぐことができる無限の可能性を秘めている

構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、取材・文=吉田大悟、撮影=塚原孝顕

『副業は、自己PRがすべて。——「稼ぐ人」が実践する成功戦略』
プレジデント社(2021)

【プロフィール】
野呂エイシロウ(のろ・えいしろう)
1967年、愛知県に生まれる。愛知工業大学在籍中に、学生起業家として活躍後、雑誌編集者に。『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』で放送作家としての活動を開始し、『ザ!鉄腕!DASH!!』『特命リサーチ200X』『奇跡体験!アンビリバボー』『ズームイン!!SUPER』といった数々の人気番組を手掛ける。30歳のとき、大手広告代理店に誘われたのがきっかけで戦略的PRコンサルタントヘ転身。TV番組をヒットさせるノウハウを企業PRに活かすなど独自の手腕を発揮。これまでに、大手広告代理店をはじめ、150社以上と契約。自動車会社、家電メーカー、飲食チェーン店、飲料メーカー、学習塾、金融など、分野は多岐にわたる。

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