「孤独」「健康」「金(お金)」...老後不安の「3K」を抱えていませんか?「60歳からは、好き放題に生きていい。」を提唱するのは、高齢者専門の精神科医として延べ6000人を診てきた和田秀樹先生。『60歳からは、「これ」しかやらない 老後不安がたちまち消える「我慢しない生き方」』は、老後に対する不安を払拭できる指南書です。60代からは、むしろ「チャンス」。考え方を180度チェンジして、人生を謳歌しましょう!
※本記事は和田秀樹著の書籍『60歳からは、「これ」しかやらない 老後不安がたちまち消える「我慢しない生き方」』(PHP研究所)から一部抜粋・編集しました。

収入や職種にこだわらなければ、ストレスはもっと減る


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お金の心配がないなら、やりがいや張り合いを動機とした「幸せな再就職」ができる。ただしここでも、過去にこだわると幸福を逃がす危険あり。

今の60代は、再就職先に苦労しない


60代からの再就職を考えるうえでの基本は、「お金を取るか、ストレスフリーを取るか」です。
まだまとまった額の収入が安定的に必要ならば、前項で述べたように、もといた会社で仕事を続けつつ、少々のストレスは我慢する、というのが妥当な線です。
しかし、住宅ローンも返済し終わって、子どもも成人し、お金が多くかかる時期が一段落しているならば話は別です。収入はさほど多くなくていいから、煩(わずら)わしい人間関係に悩まされなくていい仕事を選ぶことができます。
お金のためではなく、やりがい、楽しさ、人の役に立つ喜びなどを目的として働くとき、幸福度は大きく上がります。社会と関わり続けることで生活に張り合いが出ますし、体や頭の衰えも防げます。
なおいいことに、今の60代は仕事を選べる立場にあります。
ひと昔前は、定年後に再就職先を見つけることはなかなか困難でした。しかし今は空前の人手不足時代です。人口減少と、団塊(だんかい)世代が定年によって大量に退職したことで、現役世代だけでは仕事が回らない状態なのです。
ですから、収入さえ気にしなければ、働き先はいくらでも見つけられます。


「非ホワイトカラー」ならではの喜びがある


「収入さえ気にしなければ」と言いましたが、長年ホワイトカラーとして働いてきた方の場合、もう一つ気になるポイントがあるかもしれません。
それは「職種」です。
再就職先の選択肢は多くありますが、そのほとんどはホワイトカラーではありません。
たとえば、マンションや駐車場の管理人、コンビニやファーストフード店の店員、スーパーのバックヤードの従業員、清掃業などです。
ここでも、昔のことにとらわれないことが大事です。
これらの仕事は、基本的にストレスフリーです。「たまに横柄(おうへい)なお客が来る」といった単発のストレスはあるでしょうが、定年前のような複雑な人間関係は、まず発生しません。
加えて、これらの仕事はお客と直(じか)に接することが多いため、「役に立つ瞬間」をダイレクトに味わえるのがいいところです。コンビニでも、レジで店員に「ありがとう」とひと声かけるお客は少なからずいるものです。そうした瞬間のシンプルな喜びも、張り合いにつながるでしょう。

介護の現場は男手を求めている


「人の役に立つ仕事」の筆頭格が介護職です。
介護業界は、今、他業界にも増して人手不足に悩んでいます。原因の一つは報酬の少なさでしょう。月収およそ20万円台、年収300万〜400万円程度と、していることの意義に比べれば、たしかに低賃金です。しかし、お金を目的とせず働くならば、十分以上の額ではないでしょうか。特に男性にはおすすめです。男手の少ない職場だけに大いに喜ばれ、頼りにされること間違いなしです。
介護職には資格が必要なものもありますが、難易度がさほど高くないものもあります。また、いくつかの条件をクリアすれば、ケアマネージャー資格の試験も受けられます。ケアマネージャーはデスクワークが多いので、体力が衰えてきても働き続けられます。
体力に自信がある方なら、ウーバーイーツで街中を走るもよし、工事現場で汗を流すもよし。ホワイトカラーからもっとも遠い分野ですが、それだけに会社員時代とはひと味もふた味も違うタイプの人と出会えます。視野を広げる経験として、非常に有意義です。

<POINT>
収入や職種にこだわらなければ、働ける場所は無数にある。視野の広がる仕事をすれば、定年後の人生が輝く。