「67歳の女性です。昔のことになりますが、我が家の次男の話です。生後10カ月になってもたっちができなかったので、大学病院へ行くことになりました。そこで医師から言われた言葉をいまでも許すことができません」
アラフォー、アラフィフ世代の女性を中心に、実体験エピソードを寄せてもらいました。年齢を重ねると健康や人間関係、お金などさまざまな問題が発生しますが...。あなたならこんな時、どうしますか?


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■たっちができないだけで6回も「異常」と言った医師
1991年4月、3604gで生まれた次男はハイハイをする月齢になってもコロコロ転がるだけで、一向にハイハイをせず、ズリバイしかしないので少々心配でした。
そして10カ月を過ぎた頃、かかりつけの先生からこう言われました。
「10カ月を過ぎたのに、たっちができていません。つかまり立ちもできないのは心配なので、紹介する病院で診てもらってください」
紹介されたのは都内の私立大学の附属病院。
夫は仕事を休んで一緒に来てくれました。
担当の中年医師が放った最初の言葉は「この月齢でたっちができないのは異常です。脳波の検査をしましょう」でした。
検査が終わると「脳波の検査ではなにも出ませんでした。でも、たっちができないのは異常です」と言いました。
「でも先生、母親である私も歩き始めるのが遅くて、1年8カ月を過ぎてやっと歩いたと私の親から聞いています。体質が私に似たのではないでしょうか」
思わず言い返すと、医師は不愉快そうに口を開きました。
「1年8カ月で歩き始めるなんて、そもそも異常なんですよ」
結局、医師は「異常」という言葉を6回ほど繰り返しました。
そして最後に「脳波に異常がないのに歩けないのは特殊なケースです。通院して様子を見させてください」と言ったのでした。
我が子の成長を心配している両親を目の前に、何度も「異常」を繰り返す医師に怒りがこみ上げてきました。
そんな無慈悲な医師に大切なわが子を任せる親がどこにいるのでしょうか。
「結構です」と私は一言返しましたが、医師は「のんびりしていないで、住んでいる市に相談しないといけませんよ。体の不自由な子どもたちを訓練する施設があるはずです」と言いました。
腹が立っていたのに、医師に抗議しなかったのはいつもの私らしくありません。
怒りだけでなく、かわいいわが子を異常扱いにされた悲しさが心にあったのだと思います。

■歩き始めるのが遅かっただけ...次男は大きく無事に成長!
市のどんな課に相談に行ったのかは、30年以上前なので覚えていませんが、市の担当者が明るくきっぱりと私に伝えてくれた言葉は覚えています。
「訓練する施設はありますよ。でも、歩き始めるのが遅いのがなんだと言うのですか。長い人生の中で、少し遅くなったとしてもどうってことないですよ。お母さんだってそうだったでしょ? いまは行く必要はありませんよ」
1歳3カ月で健診に行ったとき、同年齢の子どもたちはおかあさんと手をつなぎ、みんな歩いて来ていました。
歩けていなかったのは次男だけでした。
ハイハイをしようとする次男を、動かないように膝の上に乗せて抱きしめながら、「気にしないぞ」と自分に言い聞かせつつ、うつむいてしまう弱い私が嫌でした。
結局、次男が歩いたのは1歳5カ月でした。
次男は私に似て運動が苦手です。
でも手先は器用で、幼稚園では折り紙名人と言われていました。
現在、次男は32歳、身長176センチで太めです。
私と同じで食べることが大好きで、ときどきおいしい料理を家族にふるまってくれます。
心配している母親に向かって、心無い言葉ばかりを口にしたあの医者に「異常なのはあなたです」と言いたいです。