深愛(齊藤京子)は那須川を助けるために動き始めた / (C)テレビ朝日
【写真】ハルキに異常なほどの愛情を抱き、ストーカーと化しているちふゆ(原菜乃華)

日向坂46の齊藤京子が初の単独主演を務める土曜ナイトドラマ「泥濘の食卓」(毎週土曜夜11:30-0:00、テレビ朝日系)の第2話「暴走する純愛!店長宅に潜入大作戦!?」が10月28日に放送された。アルバイト先の店長・那須川(吉沢悠)から別れ話を切り出されるが、自分が頑張って彼を苦しめているものを取り払ってあげれば幸せになれるはず。そんな思いから深愛(齊藤)は行動を開始した。(以下、ネタバレを含みます)

「泥濘の食卓」とは

本作は、同ドラマは2016年に「悪い夢だといいのにな」で「第75回ちばてつや賞」大賞に輝いた漫画家・伊奈子による「泥濘の食卓」を実写化。不倫相手と幸せになりたいという思いから、ある家族に寄生する、かつてない“パラサイト不倫”を描くストーリーとなっている。

齊藤が演じる捻木深愛(ねじきみあ)は、田舎町のスーパーで働き、母と二人暮らしをしている25歳の女性。抑圧の強い母親・美幸(筒井真理子)の下、常に否定されながら育てられたため、自己肯定感が低い。そんな中、初めて自分のことを肯定し、優しくしてくれた店長・那須川夏生(吉沢悠)を好きになり、不倫関係に。

ほか、那須川の妻・ふみこを戸田菜穂が、那須川の一人息子で進学校に通う高校生・ハルキを櫻井海音が、ハルキの幼なじみでハルキに異常なほどの愛情を抱く尾崎ちふゆを原菜乃華が演じている。

深愛の妄想は膨らみ、子供の名前まで考え始める

初めて誘ってもらった食事の席で、那須川に「妻がカウンセリングを受けなくてはいけなかったり、今が一番大変なんだ」と別れ話を切り出された深愛。落ち込むものの、那須川の自宅の前まで行ったり、郵便受けや自転車置き場などから那須川の日常生活を想像しているうちに、「やっぱり店長と幸せになりたい」という考えに至った。

那須川の悩みを取り払えば、幸せになれるはず。そんな思いから「店長のために、まずは自分がしっかり状況を知って対策を考えてあげたい」と、深愛は動き始める。

妄想もかなり膨らんでいって、「将来、店長と私に子供ができたら絶対すてきな名前付けるんだ」と、ノートに「すみれ」「ゆめ」「かりな」「ゆり」「さくら」「ゆき」など、子供の名前の候補を並べて書いてみたり、「2人の名前から一文字ずつ取るのってベタかな?」と思いながら「那須川夏生」「深愛」と名前を書いて“夏”と“深”を丸で囲んでニヤニヤしたり。

毒親の母・美幸も勝手に将来のことを決めようとしている。父親の墓参りの帰りに、夫ではなく深愛と一緒の墓に入れてほしいとか、「私との同居、あんたの旦那さんが許してくれるといいなぁ」とか。抑圧されて育てられてきた深愛は、面と向かって「嫌だ」ということはできず、ただその言葉を受け止めるだけ。

最低な人間だけど店長には嫌われたくない

深愛は亡くなった父親に日常的に暴力をふるわれていた。それをつらいと思っていたが、病気で亡くなった時は悲しみ、棺にすがりついた。しかし、同時に「もう痛い思いをしなくていいんだ」と安心した。それが深愛の中に“後ろめたさ”として残り、父親に対してそういうことを思った自分を「ひどい人間」だと思った。DVから解放されてホッとする気持ちは同じ立場にいる人間なら誰でも思うことだろう。自分をヒドい人間と思ってしまうのは、自己肯定感の低い深愛らしい部分とも言える。

「最低な人間」であることを愛する那須川には知られたくない。嫌われたくない。そんな深愛は那須川に会いに行くことにした。バイトは休みだが、お客としてスーパーに行き、そして2人になれる機会を得た。

那須川も突然別れ話を切り出したことに対する後ろめたさがあったのだろう。深愛が現れたことに動揺しつつも、「大丈夫ですか? 顔色が悪いですよ」と自分のことを心配してくれて、笑顔を見せる深愛にホッとしたのではないだろうか。

ネットの質問サイトに投稿「気になる人が精神的に不安定で苦しんでいます」

車を運転しながら那須川が言った「君のこと、嫌いになったわけじゃないんだ」という言葉が深愛を救った。自分のことが嫌いになったのではなく、家庭での問題で別れ話を切り出されたんだと解釈。那須川が深愛を抱きしめ、「デートはできないけど、これまで通りに接してほしい」という言葉も深愛を後押しした。

どうしたら那須川を救えるのか? その方法が分からない深愛はネットの匿名質問サイトに「気になる人が精神的に不安定で苦しんでいます。助けるには?」と投稿。回答の中の一つに「家が分かるなら、ポストに手紙を入れるのはどう?」という内容のものがあり、チラシを自作して、そこに自分の連絡先を書いて相手からの連絡を待つという具体的なやり方も。

もちろん回答者は冗談のつもりだったが、深愛は「これ! これだ!」と言って自分の携帯番号が入ったチラシを印刷し、那須川の自宅の郵便受けに入れた。あとは、那須川の妻・ふみこが深愛の携帯電話に連絡してくるのを待つだけ。まさに蜘蛛が獲物を捕らえるために巣を張っている状態。

第2話も齊藤の演技が光っていた。ピュア過ぎるゆえに狂気を感じさせる深愛。ハルキが那須川の息子だということを知り、不登校のハルキも救済しよう考え始める。もうすでに那須川家の人たちは深愛という“泥濘”に片足を突っ込んでしまっているようだ。

◆文=ザテレビジョンドラマ部