“ガリタP”こと明松功と、電通のクリエイティブディレクターとして多くの広告を手がけてきた中尾孝年 / ※ザテレビジョン撮影
【写真】「ガリタ・カレン社長のやらかしちゃん」

『めちゃイケ』でプロデューサーを務めていた“ガリタP”こと明松功と、電通のクリエイティブディレクターとして多くの広告を手がけてきた中尾孝年が、昨年クリエイティブカンパニー「KAZA2NA(カザアナ)」を共同創業した。「KAZA2NA(カザアナ)」では、明松氏と中尾氏、テレビ業界と広告業界の2人が会社を立ち上げたわけだが、エンタメを活用した事業を展開している。そんな2人が「水曜どうでしょう」の藤村D、嬉野Dと「水曜日のおじさんたち」(ニコニコチャンネル)で対談。配信後の2人に、最近のテレビ業界について話を聞いた。

「エンタメの力」でいろいろな課題を解決していきたい

【写真】「ガリタ・カレン社長のやらかしちゃん」 / ※ザテレビジョン撮影
ーー明松さんは、「ガリタ・カレン社長のやらかしちゃん」(ニコニコチャンネル)というWEB番組もスタートされましたね。多彩に活動されていますが、明松さんと中尾さんが共同創業されたKAZA2NA(カザアナ)はどういった会社なのでしょうか?

明松:一言で言うと、ボーダレスクリエイティブカンパニーです。ジャンルレスで色々な人が集まって、楽しいことを作り上げるために会社を設立しました。分かりやすく言うと、動画を作る企画会社みたいな感じです。エンタメによるコンサルというイメージをしていただければと思います。

中尾:エンタメの力を借りながら、様々な問題を解決していくことが目標の会社です。ボーダレスにしたのは、エンタメの力をいろいろなところで発揮するためです。

明松:エンタメ×〇〇 のエンタメソリューター、と言っていますね。

――早速お二人に聞きたいのですが、最近、テレビ局の有名プロデューサー、ディレクターが独立するような動きがありますが、そのような風潮はあるのでしょうか。

明松:あると思います。今までテレビ番組を作ってきた人たちが、アウトプットは他のものでも良いんだと思うようになったんじゃないですかね。テレビさえやっていれば影響力を持てたテレビ黄金時代とは明らかに様相が違うので、テレビにこだわる必要がないと皆さん思っているのではないかと。

ーー広告業界でもそういった風潮はあるのでしょうか?

中尾:広告業界は、仲良くやっている感じですね。(笑)デジタルは魔法の杖だみたいな時期があったんですけど、魔法がかかならいものもあるなってなったんです。CMは凄いものだって時期もありましたけど、意外とダメなところもあって。それがお互いに分かってきているから、その特徴を活かしながらやっていくっていう時代になっていますね。

「テレビ離れは」生活様式が変わっただけ。むしろ「映像中毒者」は増えている

“ガリタP”こと明松功と、電通のクリエイティブディレクターとして多くの広告を手がけてきた中尾孝年 / ※ザテレビジョン撮影
ーー最近はテレビ離れが進み、VOD時代とも言われています。お二人から現在の状況はどのように見えていますか?

明松:生活様式が変わっているわけじゃないですか。テレビでしか映像が見られない時代から、スマホでいつでも見られる時代になって。そういう変化には抗えないんじゃないですかね。テレビだけ見てって言っても、無理ですし。だから仕方がないと思っています。ただ、テレビマンの底力はまだあると思っているので、その人たちがコンプライアンスも掻い潜りながら、フルスイングで自分の才能を発揮すれば良いんじゃないかと。クオリティが高い映像を地上波だけでなく、配信プラットフォームでも見てもらうとかね。テレビ側の目線で言うと、可能性は広がっていると思いますね。

中尾:テレビ離れはしたかもしれないけど、映像離れはしていなくて、むしろ映像中毒率は上がっているのがポイントかなと思っています。より映像が身の回りにいっぱいある世の中になって、これはチャンスじゃないかと。ただ、テレビは無料で見られるものとしてオーバークオリティ過ぎて、今の生活様式に合っていないんですよね。無料で見られるものはもっと低クオリティ大量生産で、BGMのようにだらだら流すっていうのが求められている。だからこそ、YouTubeが流行ったのではないかと思います。有料で高いクオリティのものと無料で低いクオリティのものの中間で、ハイクオリティなものを作りすぎていたから、テレビは今のニーズに合わなくなっただけかなと。テレビの世界にいた人がどちらかの世界に行ったら、めっちゃ活躍すると思っていますよ。

――テレビを盛り上げていくための突破口はどのような部分だと思いますか?

明松:強味は、ニュース、スポーツのような「ライブ」があると思います。今ここで起きていることをスマホじゃなくて大画面で見たいと思うおうな、生活様式を超えてくる強味があると思います。とあるYouTubeの方に話を聞いたら、「テレビがYouTube的な内容に寄って来てるのが分からない」「YouTuberではつくれないピッカピカのコンテンツをやられるほうが困る」なんてこともおっしゃってたんですよね。YouTubeでは出せないクオリティでお客さんを集める力はあると思います。

中尾:テレビがテレビらしさを続けることが勝ち筋だと思いますね。情報の重みと正確さはテレビ、速さと量はWEB。YouTubeやWEBではできないことをやるのがテレビだと思います。それはCMでも同じですね。それぞれの良さをキープしていくことが大事なんじゃないですかね。

テレビの勝ち筋は「テレビらしさを持続させること」

中尾孝年氏 / ※ザテレビジョン撮影
ーーこれからの時代、テレビに勝ち筋があるとするとどんなものだと思いますか?

明松:一つはライブだと思っています。ニュースとかスポーツみたいに今リアルタイムで起きていることは、スマホよりもテレビで大画面で見たいって人が一定数いるのではないかなと。わざわざ時間を割いて見るという、生活様式を超えてくる強みがライブにはあります。あとはキャスティングやスケール感も含めて、YouTubeに寄せるのではなく離れていくことですね。YouTubeではできないクオリティの映像を作ることで、お客さんを呼び込めるのではないかなと思います。

中尾:僕はテレビがテレビらしさを持続させることが勝ち筋だと思っています。YouTubeを参考にしていることが、テレビの魅力を破壊しているのではないかなと。例えば昔のニュース報道番組は、信憑性が高かったじゃないですか。でも今はインターネットで検索したことをテレビで流すようになっていて、それが壊滅的だと思いますね。ウェブサイトで見たニュースをテレビで確かめるみたいな流れができれば、テレビの価値が出るはずなんですよ。

バラエティ番組は「若い人が作らないとダメ」

明松功氏 / ※ザテレビジョン撮影
ーーもし2人で番組を作るとしたら、どんな番組を作りたいですか?

明松:僕はお笑い界で仕事をさせてもらっていたので、その恩返しをしたくて。お笑いスター誕生の一端を担えたら、そんな幸せなことはないと思っています。なので、お笑いスターを発掘するような番組を作りたいですね。テレビは国民的スターを生み出さないといけないと考えています。

中尾:元々広告クリエイターなので、いざ番組をやるとなっても、何をやりたいか分からないですね(笑)。絶対にこれをやりたいというものがなくて。無理難題を振られることにやりがいを感じています。

ーーテレビ局からバラエティ番組制作のオファーがあったらお受けしますか?

明松:受けないですね。本音で言うと、バラエティ番組は若い人が作らないとダメだと思っていて。俺みたいなやつが番組作っても、絶対面白くないんですよ。52歳のおっさんが面白いと思っているものは面白くないから。バラエティは若い人に見てもらうべきだから、やっぱり若い人が作った方が良いですよ。

石橋貴明さんとスターを発掘する、という話しになった際に「俺が面白いと思ったものはきっと間違ってる」っておしゃってたんですよ。「なんだこいつわっかんねえな!みたいな奴がスターになるべきだ」って。それは僕も同じ想いですね。

ーー最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

明松:ボーダレスクリエイティブカンパニーKAZA2NA(カザアナ)の2人と一緒に、風穴が開くような楽しいことをやりましょう。

中尾:時代の変化に対していち早く何かを仕掛けたいとか、自分たちの会社も変わりたいという思いがあるのであればお声がけください。我々がお手伝いして、古い構造やシステムに風穴を開けますのでぜひ!