アニメ「『SPY×FAMILY』Season 2」MISSION:27が放送 / (C)遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会
【写真】ドアの隙間から顔を覗かせるアーニャ・フォージャー(CV:種崎敦美)

少年ジャンプ+にて連載中の同名コミックをアニメ化した「SPY×FAMILY」Season 2(毎週土曜夜11:00-11:30ほか、テレビ東京系ほか/ABEMA・ディズニープラスほかにて配信)。凄腕スパイの<黄昏>ことロイド・フォージャー(CV:江口拓也)が“仮初め”の家族を築き、任務と新生活に奮闘する痛快コメディー。10月14日に放送された「MISSION:27」は、フォージャー家のペットで予知能力犬のボンド(CV:松田健一郎)の妄想・暴走っぷりがかわいい「ボンドの生存戦略」と、ガキ大将ながらもどこか憎めないダミアン・デズモンド(CV:藤原夏海)とその取り巻きたちの友情が美しい「ダミアンの野外学習」の2本立て。それぞれ、キャラクターたちの新たな魅力が光った内容となった。(以下、ネタバレを含みます)

ボンド、アーニャ級の妄想癖が発覚

Aパートは「ボンドの生存戦略」。ソファーで寝ていたボンドが目を覚まし、何気なく未来を予知するが、未来は真っ黒で何も見えない。停電や目隠しのサプライズなど、視界が真っ暗になる理由を想像してみるボンドだが、ついには「自分が死んでしまうから真っ暗」という結論に至ってしまう。

さらに、死の原因がヨル・フォージャー(CV:早見沙織)が作る晩ご飯だと推測したボンドは、ロイドにご飯を作ってもらえば生き延びられると、彼の仕事を手伝うべく家を飛び出すのだった。

冒頭から妄想の限りを尽くした挙句、一人で七転八倒するボンドはとにかくかわいいの一言。自分の死を悲しむアーニャ・フォージャー(CV:種崎敦美)らの姿を想像して満足気な笑みを浮かべたかと思えば、ヨルのご飯を拒否すれば殺されると思い込んで恐怖に慄くなど、アーニャに勝るとも劣らないコメディーリリーフっぷりを遺憾無く発揮している。

家を飛び出したボンドは、数々の冒険を経てようやく任務中のロイドの元へたどり着き、ともに潜入ミッションに挑むことに。途中、敵に見つかる未来を予知したボンドは、ロイドに危機を知らせることでミッションの早期成功に大きく貢献する。結果、ロイドは予想よりも早く帰宅できることとなり、ヨルの晩ご飯(=死)を回避することに成功するのだった。

ボンドの豊かな想像力、もとい妄想力は最後まで健在だ。ロイドの元へ向かう道中では、夕日を眺めて涙を浮かべるなどセンチな一面も見せてくれており、これまで知らなかったボンドの多彩な感情をうかがい知ることができたのもうれしい。

ちなみにヨルに対する恐怖心は尋常ではないらしく、妄想の中でヨルがどんどんと残忍で凶悪になっていくのも面白いポイントだ。ふだんはどっしりと構えているボンドだけに、かなりギャップの光ったエピソードとなった。SNSでは「ほぼ死因がヨルさんなのしんどい笑笑」「ボンドがかわいすぎるッッ!!!!」「めっちゃ癒やされるニコニコしちゃう」「生き延びた。良かった良かった。」など、ヨルへのイメージの悪さに対するツッコミと、ボンドに癒やされたという声が多く挙がっていた。

アニメ「『SPY×FAMILY』Season 2」MISSION:27より / (C)遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会

取り巻きコンビに謝罪が必要!? これまで誤解してました!

Bパートは「ダミアンの野外学習」。徹夜での勉強がたたって寝坊してしまったダミアンは、罰として寮内の手伝いを命じられてしまう。父に褒めてもらうため、心身ともに無理をしているダミアンを案じたエミール・エルマン(CV:佐藤はな)とユーイン・エッジバーグ(CV:岡村明香)の二人は、自らも進んで懲罰を受け、ダミアンと共に手伝いに参加することに。

そして、その様子をこっそりと見ていた寮長のヘンリー・ヘンダーソン(CV:山路和弘)は「その友情、プレシャスエレガント」と漏らすのだった。

Bパートの主役はダミアンと取り巻きの二人。どんなときもダミアンにくっ付いてヨイショを欠かさないエミールとユーインは、これまで権力に従う金魚のフンというイメージが強ったが、それは間違いだったのかもしれない。彼らは本気でダミアンのことを心配し、自分から進んで罰を受けたのだから。これには寮長でなくとも思わず「プレシャスエレガント」と言いたくなってしまう。

さらに3人は、生活指導のグリーン先生(CV:白熊寛嗣)と共に野外学習へと出発。ボートでの川下りに始まり、たき火、魚釣り、虫捕りなど、普段の生活では味わえない体験に、張り詰めていたダミアンの心は次第に解きほぐされていく。エミールとユーインと一緒に満天の星空を眺めていたダミアンは、その日初めて心の底から笑うのだった。

川や森、湖、星空といった自然の作画や、徐々に変化していくダミアンの表情を丁寧に描いた演出が素晴らしい。また、グリーン先生の教育者としての振る舞いも印象的だ。少年たちの夢を何一つ否定せず、「素晴らしい」と100%応援してくれるシーンなど、大人とはこうありたいものだと感じさせてくれる。

そして何よりも、この3人には大人になっても変わらぬ友情で結ばれていてほしい。そんな思いを強くしたほっこりエピソードだった。SNSでは「こいつら、ほんといい友達だな」「ダミアンがたくさん笑ってて良かったよ〜(泣)」「ヘンダーソン先生もグリーン先生も本当に良い教育者だ…」といったコメントが溢れており、優しさに包まれたストーリーに、図らずも心が洗われた人が多かったようだ。

※種崎敦美のの崎は、正しくは「たつさき」

■文/岡本大介

アニメ「『SPY×FAMILY』Season 2」MISSION:27より / (C)遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会