橋本環奈“円”が一円玉で事件解決 / (C)カンテレ
【写真】橋本環奈と沢村一樹の年の差デコボココンビ

橋本環奈が主演の、“お金”が鍵を握る新ドラマ「トクメイ!警視庁特別会計係」(毎週月曜夜10:00-10:54、フジテレビ系※初回は夜10:00-11:09)。10月16日に放送された第1話では、橋本が「トクメイ」を受けて動き始め、一円玉が導く思わぬ捜査方法と、橋本演じる数字に強い特別会計係と沢村一樹演じる古き良き刑事のコンビネーションが印象的な回となった。(以下、作品のネタバレを含みます)

「トクメイ!警視庁特別会計係」とは

同作は、経費から事件解決の糸口を見つける新しい警察エンターテインメント。緊縮財政を強いられた警察の本庁から、“特別命令(トクメイ)”を背負って派遣された特別会計係が橋本環奈演じる一円(はじめまどか)だ。

経費において一円のズレも許さない几帳面な性格の円。周囲から「疫病神」と呼ばれるほどの“凶運”を持つ円が、沢村一樹演じる湯川哲郎をはじめとしたひと癖もふた癖もある個性豊かな刑事たちとともに、“お金”の面から事件解決に迫っていく。さらに警務課長・須賀安吾を佐藤二朗、上司である副署長・中塚文雄を鶴見辰吾が演じ、脇を固める。

このままでは“警察倒産”

「警察倒産」というパワーワードから始まった第1話。信じられない言葉に、会議室へ集められた刑事たちもざわざわと落ち着かない雰囲気だ。少子高齢化が原因で税収入が減り、現状のままでは財政破綻の危機を迎えるという。警視庁・万町署はこれから全国へ広げていく「経費削減20%」という大胆な事業のテストケースに選ばれた。しかも今回はテストであるとして、対象となるのは湯川の所属する刑事課のみ。

湯川は「何言ってんだあのキャリア野郎」と強い言葉で文句を言うものの、上からの圧力に弱い副署長・中塚は笑顔で「光栄です」と快く受け入れる。そこで周りから煽られたこともあり、湯川は「待ってください」と声を上げた。

日々体を張って市民の安全を守っている刑事課が真っ先に経費削減の対象になるのはおかしい、と抗議する湯川の言葉に、署員からは拍手が。しかしその言葉を受けて立ち上がったのが円だ。無言で再生を始めた録画映像には、強盗を検挙するべく奮闘する湯川の姿が映っている。目出し帽をかぶった強盗犯を、ブランドバッグなどが収められたガラスケースに叩きつけて抵抗の意思を奪う湯川。だがアクションを起こす度にガラスは砕け、店内の商品は散乱し、店員から悲鳴が上がる。

動画サイトに投稿されていた映像のようで、「警察の横暴だ」「もはや共犯で草はえた」などのコメントが寄せられているという。万町署がテストケースに選ばれた主要因が同映像であることが明かされると、さっきまで湯川に拍手を送っていた署員一同から、一転白い目で見られることに。

さらに別室で円から、破損した商品代26万8000円、店舗修繕費27万3400円、怪我の治療費1万4000円がすべて警察へ請求されている旨を告げられる湯川。自分が怪我をさせた店員も登場してさらに大騒ぎ…かと思いきや、事態は急変する。

「689万3800円…あなたが請求すべき本来の被害額です」湯川を糾弾する店員へ、円が静かにそう告げた。困惑の表情を浮かべる2人をよそに、円の言葉はさらに続く。破損したにもかかわらず、不自然に請求リストから外されている商品がいくつかあることに目を付けた円。「ダイヤのジュエリー」「ハイブランドバッグ」など高級な品であるはずなのに請求しない理由を、「詳しく現物を調べられたら偽物だってバレるから、リストに載せなかった。強盗は自作自演で、保険金狙いだった…違いますか?」と推理してみせた。

慌てて逃げ出した店員を拘束して事件は一件落着。鮮やかな手並みを見せた円は名刺を渡しつつ、「一円(いちえん)ではありません。はじめまどか、と読みます。万町署刑事課の経費削減責任者として、今後皆さんの捜査費を監督させていただきます」と堂々の態度で名乗る。納得いかないものの発端となる事件を起こした身であり、かつ目の前で犯人検挙の手並みを見せつけられた湯川は複雑な表情を浮かべることしかできないのだった。

“疫病神”と呼ばれていた凶運の持ち主

所属初日から「ペンキ塗りたて」の貼り紙がはがれたベンチに座るなど、運の悪さを発揮する円。しかしめげずに捜査雑費を20%カットするなど、経費削減目標に向けて仕事を進めていく。当然現場で動く刑事たちからの風当たりは強く、「お前は黙ってろ。現場を知りもしないくせに」とまで言われてしまう。

現場を知らないなら現場へ行けばいいとばかりに、変死体が見つかったという公園へ出向く円。だが持ち前の運の悪さを発揮してスプリンクラーの蛇口につまずくなど、結果的に捜査チームの邪魔を働くことに。

どんどん刑事たちからの評判が下落していく円。遺体が持っていたレシートと所持金がずれており、特に4枚もらったはずの一円玉の数が合わないと不思議がる円の言葉も、刑事たちには届かなかった。彼らは変死体が動かされたことを察知して、「犯行現場が犯人の身元に繋がるから遺体を移動したのだ」と忙しく捜査していたからだ。

少しずれたところのある円だが、手腕は侮れない。捜査経費のリストを見ただけで、湯川たちの班が聞き込みのなかで有力な情報を得ていないことを気づくなど見識は確かなものだった。

“疫病神”と呼ばれていた円は、現場捜査を希望していたという。しかし評価が振るわず内勤に。それでも諦められないのか、経費申請の書類不備で呼び出した湯川が持っていた捜査資料に目がくぎ付けになってしまっていた。面白がった湯川が総裁資料のファイルを右へ左へ動かす度に、円の目がピッタリついていく姿はまるでおもちゃ。そこで書類不備で追い詰められた湯川は、捜査資料を「読んでいいぞ」と囮にして逃げ出す一幕も。

それからも申請された経費が正しい使途と思えない、という円と刑事たちは激しく衝突を繰り返すことに。やはり内勤の身で捜査に口を出すのはやめるべきか…と悩みだした円へ、警務課の須賀は「一番の経費削減は事件の早期解決」と激励する。

一円玉が事件を解決

円は独自に「消えた一円」を捜索。独自に割り出した一円玉の場所を探してみると草むらのなかでついに発見した。喜びのあまり大声で「やったー!」と小躍りする円だったが、一円玉の裏に血がついていたことから刑事たちが探していた変死体の殺害現場であることが判明。

だがさすが“疫病神”と呼ばれた円。偶然にも犯行現場の近くを通りがかっていた犯人に小躍りシーンを見られ、外に声が届かない部屋に閉じ込められることに。

ナイフを取り出した犯人によってあわや被害に遭う直前、湯川が飛び込んできた。間一髪で犯人を取り押さえてくれた湯川。どうやら須賀から、円がどのようにして「一円玉を落とした地点を探り当てたのか」を聞いて駆けつけたのだという。

遺体が持っていたレシートにはカップ麺が載っていたものの、見た捜査資料によれば被害者の家にはお湯を作る手段がない。そのことから、おそらくカップ麺を買って職場である大学の研究室に向かったのではないか…というのが円の推理だった。

無事事件は解決したものの、円の越権行為は明白。改めて副署長に謝罪した円は、事件が「円の報告をきっかけに解決した」ことになっていると伝えられる。今回の責任を取らせて円を追い出すこともできたはずの湯川に事情を聴きに行くと、湯川は「理由なんかあるかよ」と取り合わない。

仲良くなれたかに思われた2人だったが、最後の最後、以前に否認された湯川の領収書が円のもとへ。最後の大捕り物で破損した備品補償費で捜査費用の削減分が相殺された怒りも相まって、円は「湯川…殺す!」と気炎を吐くのだった。

刑事課一筋で、事件解決のためなら手段を選ばず強引な捜査も行い、多額の出費もいとわない古き良き時代の刑事・湯川と、几帳面な性格で「一度見た数字は忘れません」と、ささいな数字のズレも見逃さず事件を「お金」という角度で捉える円という対照的な2人を沢村と橋本が好演。湯川が円のピンチに駆けつけるなど、“デコボコ”でありながらも“尊い”コンビネーションを見せた。