「死にたい」を消すために大事なのは“選択肢”うつ病を経験した漫画家の経験談 / 画像提供/如月あい さん
【漫画】「死にたい」気持ち“希死念慮” 精神科医は励ましよりも「選択肢」の提示が必要と語る

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、如月あいさんの「希死念慮をなくす方法」をピックアップする。7月13日に本作をX(旧Twitter)に投稿したところ、4.5万以上の「いいね」や150以上の「コメント」が寄せられるなど大きな反響を呼んだ同作。如月あいさんにインタビューを行ったところ、デリケートなテーマを扱う漫画家ならではの工夫を語ってもらうことができた。

希死念慮はなぜ起きるのか?丁寧にプロセスを辿ることで発見したこと

希死念慮をなくす方法(2/15) / 画像提供/如月あい さん
“ニワトリ”として描かれる如月さんは、医者に対してとある相談を投げかける。「なぜ〇にたいと思うのか」ということであった。過去にうつ病を発症したことがある如月さんは、その際に1〜2ヶ月のあいだ「〇にたい」という思いを感じる「希死念慮」に苛まれた経験があるという。

まず第一に「〇ぬ以外に選択肢がなかったから」であると、医者は真っ先に返答した。

生きるという選択肢があるのに関わらず、それが見えない状態であるときに死ぬというルートしかないと思い込んでしまう。それによって「希死念慮」というものに苦しめられるという。

たとえば「僕はダメな人間だ!死ぬしかない!」と希死念慮を抱えた人がいたとして、その人に対してどんな言葉をかけてあげるべきなのか。実は「君は素敵な人間だよ」と励ますのではなく、「3カ月休職してから〇ぬか考えてもよくない?」と“別の選択肢”を与えるのが有効だと医者は説明する。その説明に、如月さんはなるほどと納得しながら過去を振り返る…。

「明るく楽しくうつ病の現実を伝える」実体験をもとに描く如月さんの漫画の強い説得力

希死念慮をなくす方法(7/15) / 画像提供/如月あい さん
――本作を描いたきっかけや理由があればお教えください。

SNSで希死念慮に悩む人を見かけたことがきっかけです。

「精神病棟に入院するくらいなら〇んでやる」という書き込みを見かけて、この人を救いたい!何とかしなければ!という気持ちになり、この「希死念慮をなくす方法」を描きました。

――本作を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。

「希死念慮」はとてもデリケートで暗いテーマになりがちなので、なるべくポップに明るく、気軽に読めるよう工夫しました。

他にもうつ病に関するエッセイ漫画を描いているのですが、そのエッセイのモットーが「明るく楽しくうつ病の現実を伝える」なので、作品を描くときは常に暗くならないように心がけています。

――ご自身がうつ病に苛まれた際、「他の選択肢」を見つけるきっかけはなんだったでしょうか。

「やりたい事をやること」でした。

自分の肩書きやイメージなど、すべてを忘れて自分の気持ちに従って生きてみようと思い、1か月間、仕事をせずゲームやお菓子作りなど、趣味に没頭したのがいいきっかけになったと思います。

お陰で本来の自分と向き合えて、漫画家以外の「他の選択肢」が見えるようになりました。

――如月さん自身は、「希死念慮」に悩んでいる人を見かけたことはありますか。

精神疾患を持つ方を多くフォローさせて頂いているので、SNSで毎日のように見かけます。

友達にも、希死念慮に悩んでいた人はいます。

――「人生の選択肢をいっぱい考える」ために、普段からしておくといいアクションはなんだと思いますか。

一人で悩まないことだと思います。

信頼できる人や、カウンセラーさんに、自分の話を聞いてもらうことで道が開けることが多いように思えます。

一人で悩んでばかりだと、堂々巡りになってしまうことが私は多いので…。

信頼できる相手がいない場合は、日記に自分の気持ちを書き出してみたり、ぬいぐるみ相手に話したりすることで、自分と向き合う時間ができ、人生の選択肢が増えるのではないかと思います。

――今後の展望や目標をお教えください。

これからも、うつ病の実態をマンガを通して伝えることができたらと思っております。

うつ病は心の病気ではなく脳の病気であること 。ポジティブな人でもうつ病になること等。世間に知られていないことがたくさんあるので、それらを伝えていけたらと思っています。

活動を広げるために、本の出版や、グッズ販売、動画投稿等も考えております。

あと漫画家さんや漫画編集さんを集めて、うつ病に関する講演会も開きたいです。

――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。

いつも作品を読んでくださってありがとうございます。

自分の経験が誰かの役に立てたら嬉しいので、これからもマンガ制作がんばります!