舞台「ART」ゲネプロが公開された / ※ザテレビジョン撮影
【写真】3人の取っ組み合いで挟まれたイヴァン(大泉洋)の顔がゆがむ

イッセー尾形、小日向文世、大泉洋による舞台「ART」が、5月27日(土)から東京・世田谷パブリックシアターで開演。26日にゲネプロが公開された。

2020年は新型コロナの影響で一部公演が中止に

フランスの劇作家ヤスミナ・レザの最高傑作である同作は、1994年にフランス・パリのシャンゼリゼ劇場で初演、同年の「モリエール賞」で最優秀作品賞を受賞した。さらに、1996年にはイギリス・ロンドンのウエスト・エンドで上演されて「ローレンス・オリビエ賞」の最優秀新作コメディー賞を受賞、1998年にはアメリカ・ニューヨークのブロードウエーでも開幕し「トニー賞」最優秀作品賞を受賞するなど、世界各地で絶賛を博した。

今回の小川絵梨子版「ART」は、2020年3~4月に上演予定だったが、新型コロナウイルスの影響で一部公演が中止に。千秋楽を迎えることができなかった。今回、3年の歳月を経て前回と同じキャスト、スタッフが再び結集した。

イッセー尾形「この3年という時間も作品に反映させていきたい」

マルク役のイッセーは「3年前とくらべて濃度が上がっている」「この3年という時間も作品に反映させていきたい」と言い、セルジュ役の小日向も「年齢を重ねたことで役に対しての力が抜けた分、見え方もだいぶ変わっている気がする」と、3年たったことで変化があったことを明かす。

イヴァン役の大泉も「前回の公演の時よりも深く解釈できた部分もあり、3年前とは明らかに違う『ART』になった」と新しい「ART」ができたと言い、「3年前とはみんなビジュアルも含めていろいろと変わっているので(笑)、初演を見た方も違いを楽しんでいただけるかと思います」とアピールした。

舞台「ART」は、東京公演が6月11日(日)まで、大阪公演が6月15日(木)から25日(日)までサンケイホールブリーゼで、福岡公演が6月29日(木)、30日(金)にキャナルシティ劇場で、愛知公演が7月7日(金)から9日(日)まで東海市芸術劇場 大ホールで、長野公演が7月15日(土)、16日(日)にまつもと市民芸術館で上演される。

舞台「ART」ストーリー

マルク、セルジュ、イヴァンは15年来の大親友。ある日、セルジュが現代アートの高い絵を買ってきた。皮膚科の医師で現代アートが趣味のセルジュにとっては、やっと手に入れた自慢の作品。白い背景に白い線が斜めに入っただけの絵。ところが一緒に喜んでくれると思ったマルクは不思議な顔をするばかり。そんな二人の会話には妙なすれ違いが生まれる。

一方、結婚を間近に控えるイヴァンにとってもこの友達関係は何よりも大事。結果、3人は互いの関係を何とかしようとするが、一生懸命になればなるほど、会話はおかしな方向にずれていく。エスカレートしていくうちに、実は互いに相手に求めていることが全く違っていたことに気付く3人。それでも関係を修復しようとするが、事態は思わぬ方向に。

これは果たして喜劇か、それとも悲劇か…。

イッセー尾形コメント「キラキラした可能性をいろいろ投げ掛ける作品にしたい」

滑稽でもあるし辛練な内容でもあるけど、一回壊れたものが思いもよらない形で再生していく、そういうキラキラした可能性をいろいろ投げ掛ける作品にしたいですね。きっとご覧になる人たちによって見方が変わるかもしれない作品かなと思います。

3年前とくらべて濃度が上がっている分、頭で考えることと体を使うことが増えて疲れますが(笑)、この3年という時間も作品に反映させていきたいです。小日向さんも大泉さんも3年ぶりに共演できてすごく楽しいです。人となりがお互いに分かっている分やりやすく、配役がそれぞれに合っているなと改めて思います。

大千穐楽に向けて新たな発見もあると思うので、1ミリ1ミリがんばりたいです!

小日同文世コメント「三人三様を楽しんでみてもらえたら」

3人が元気でそろったってことがやっぱりうれしいです。3年前の初演はセルジュの役どころを生真面目な人として捉えていたので、貶されることに対してものすごい反発心やマルクに対してもっと神経質だったんですが、今回はもう少しラフな感じに役作りして、気持ち的にすごく楽になれました。

初演は本当に大変で余裕がなかったんですが、今回はイッセーさんの表情を見ていたり、大泉くんとせりふを交わす時に余裕ができて楽しいですし、年齢を重ねたことで役に対しての力が抜けた分、見え方もだいぶ変わっている気がします。

3年越しに稽古をしてそれぞれが役を楽しんでできている部分があると思うので、三人三様を楽しんでみてもらえたらと思います!

大泉洋コメント「話し合いながら創っていく作業は、役者にとっても大切な時間」

3年ぶりにまた同じメンバーで芝居ができることに幸せをかみ締めながら稽古しました。

前回の公演の時よりも深く解釈できた部分もあり、3年前とは明らかに違う「ART」になりました。イヴァンという役もさらに深めることができたと思うし、3年前とはみんなビジュアルも含めていろいろと変わっているので(笑)、初演を見た方も違いを楽しんでいただけるかと思います。

演出の小川さん、イッセーさん、小日向さんと、芝居を作っていく過程は相変わらず居心地が良くて幸せな気持ちでした。1時間半の舞台を1カ月稽古して「せりふの一言一言にどういう背景があるのか」っていうことを話し合いながら創っていく作業は、役者にとっても大切な時間だなと思いました。

今回は東京から始まって、大阪、福岡、愛知、松本と巡るので、いろんな土地で「ART」がどんなふうに受け入れられるのか楽しみです。