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増え続ける孤独死。電球ひとつで導入できる見守りサービスをヤマト運輸が提供する理由とは

2023/07/27 12:00
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一人暮らし、高齢者の世帯数が年々増加している現代。同時に、「孤独死」も増えてきている。東京都監察医務院が公表しているデータによると、東京23区における2020年の65歳以上の人の自宅での死亡者数は4238人。2002年は1364人なので、およそ3倍に増加している。これは東京23区だけではなく、全国共通の問題となっている。

そんななか、2021年にヤマト運輸が全国で始めたのが「クロネコ見守りサービス ハローライト訪問プラン」(以下、「クロネコ見守りサービス」)。ハローライトとは、ハローライト株式会社が提供する、LEDのON/OFFを通信で知らせることができる世界初のIoT(Internet of Things)電球。自宅のトイレや洗面所にハローライトを取り付けるだけで、24時間電球のON/OFFを検知し、1日スイッチが入ったまま、もしくは消えたままの場合、異常を検知し、家族など事前に登録した通知先にメールで通知してくれるというものだ。契約数は、サービス開始から個人、法人、自治体を合わせて約9000件を超える。サービスの立ち上げ・設計から運営に関わっているヤマト運輸株式会社地域共創部価値共創チームアシスタントマネージャーの川野智之さんに、サービス開始のきっかけを聞いた。

IoT電球のハローライトを利用した「クロネコ見守りサービス ハローライト訪問プラン」。電球のON/OFFが24時間内に発生しなかった場合、「異常」として知らせてくれる
IoT電球のハローライトを利用した「クロネコ見守りサービス ハローライト訪問プラン」。電球のON/OFFが24時間内に発生しなかった場合、「異常」として知らせてくれる【写真提供=ヤマト運輸】

暮らしをサポートする「ネコサポステーション」に携わるなかで生まれたある実感

2018年、川野さんは「ネコサポ多摩ニュータウン営業所」の所長を務めていた。“ネコサポステーション”とは「暮らしのために、できること、いろいろ」をコンセプトに、荷物のことだけでなく生活全般に対して、困った際に頼れる相談窓口となることを目指すコミュニティ拠点のこと。ヤマト運輸の中核事業である物流だけではなく、買い物代行や暮らしの相談、家事のサポート、電気料金の見直しサポート、イベントセミナーの開催など、対象エリアの住民向けにさまざまなサービスを提供している。2016年に多摩市の永山団地、貝取団地に設置されて以降、宮城県仙台市や千葉県松戸市、広島県福山市、東京都町田市など、全国に8店舗を展開する。

「ネコサポステーションで、地域の方々にどのようなサービス提供ができるかを考えていました。同時に、高齢者の孤独死という問題を目の当たりにしていました。サービス提供にうかがったお客様と翌週に連絡がとれないことがあり、後日、亡くなっていたことを知ることがありました。これは全国的な問題であり、独居高齢者の増加と地域のコミュニティの希薄化というのは誰もが感じていると思います。見守りサービスの需要は高まってきている一方で、ご家族、自治体職員、福祉事業の方々など、見守る側の人材不足、担い手不足、その人たち自身の高齢化というのも顕著になっており、地域全体での見守りが必要になっていると感じています」

そうしたなかで、川野さんが見つけたのが、ハローライト株式会社が提供するIoT電球「ハローライト」だった。

2018年11月に発表された世界初のIoT電球「ハローライト」。携帯電話の基地局を経由して通信をしているので、電波が入るところなら使用可能
2018年11月に発表された世界初のIoT電球「ハローライト」。携帯電話の基地局を経由して通信をしているので、電波が入るところなら使用可能【写真提供=ヤマト運輸】

「ハローライトの発売が発表されたときに、ネットの検索で見つけました。『一緒に何かできませんか』と問い合わせしたことがきっかけで、サービス開発につながりました」

サービスの核として、ハローライトを採用したことにより、さまざまな点で従来サービスとの差別化が図れているのも「クロネコ見守りサービス」の大きな特徴だ。

「クロネコ見守りサービス ハローライト訪問プラン」の全体フロー。9時〜18時の間に依頼があった場合はヤマト運輸のスタッフが代理訪問を行い、場合によっては地域包括支援センターや警察などに通報する
「クロネコ見守りサービス ハローライト訪問プラン」の全体フロー。9時〜18時の間に依頼があった場合はヤマト運輸のスタッフが代理訪問を行い、場合によっては地域包括支援センターや警察などに通報する【写真提供=ヤマト運輸】

「ポイントは設置も取り扱いも非常に簡単であるということです。ご自宅の電球を交換するだけで利用可能なので、導入が非常に容易です。Wi-Fi不要、電源コンセント不要、工事の必要もありません。また、主な見守りサービスに用いられているカメラやセンサーといったものは、高齢者の方が“見張られている”と身構えてしまいがちですが、電球ということで普段の生活に溶けこむというのも大きなポイントです。2つ目の特徴は、電球の設置から、ハローライトが異常を検知し依頼を受けた際の代理訪問まで、サービスがパッケージ化されていることです。電球の交換だけといっても、高齢者の方がご自身で行うには難しい場合もあるので、ヤマト運輸が行うことでお客様に喜ばれています。また、異常を検知した際もご家族が遠方にお住まいの場合や、お仕事のご都合などですぐに訪問することが難しいケースもあります。これも、ヤマト運輸のスタッフの代理訪問をサービスの中に含めることで解消しました。そして3つ目の特徴は、低価格であることです。どんなに優れたサービスであっても、継続利用できる価格であるかが大きなポイントです。見守りを必要とする多くの方にサービスを利用してもらいたいという想いから、初期費用も追加費用もない月額1078円(税込)のみで提供しています」

こうしたメリットから、高齢の親を持つ40、50代の世帯だけではなく、不動産の仲介会社・管理会社といった住宅を取り扱う企業や、自治体にも導入されているという。身寄りがいない高齢者ご自身が契約し、異常検知の通知先を地域包括センターや福祉センターのケアマネージャーに設定しているケースもあるという。通知先は最低1件設定する必要があるが、家族でなくても登録可能だ。

また、サービス提供者の年齢を制限していないことから、福利厚生としてサービスを導入している企業もあるのだそう。利用料は会社負担で、単身赴任をしている社員宅にハローライトを設置し、万が一に備える。孤独死の40%は60歳未満というデータもあり、40〜50代のいわゆる働き盛り世代にとっても孤独死は無視できるものではない。高齢者に利用しやすいサービスを考えていった結果、汎用性の高いサービスになったことがうかがえる。

■ヤマト運輸
ホームページ:https://www.kuronekoyamato.co.jp/

■クロネコ見守りサービス ハローライト訪問プラン
ホームページ:https://nekosapo-order2.kuronekoyamato.co.jp/mimamori.html

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