普段はフリーのイラストレーターとして、版権キャラクターグッズのミニキャラなどを多く手がけている、夏壱あーる(@kyomuo_721)さん。“キャラクターの魅力を伝えるにはどうしたらいいか?”を考えた結果、漫画を描き始めることにしたという。
YouTubeで“漫画動画”として公開されている『虚無男』は、“虚無化”によって頭がクマのようになってしまう社畜サラリーマン・清見向(きよみむかえ)を主人公に、サラリーマンの“あるある”な日常を描いた作品だ。“虚無化”とは、おそらく清見のみが認識できているであろう、心因性の現象で、一種の幻覚のようなもの。気持ちが沈んだり、ショックな出来事があったときに自身も他人も“虚無化”して見えるという。
今回は漫画『虚無男』から、『たばこ』をお届け。主人公の清見がたばこ休憩で喫煙場所である屋上に行くと、すでに先客がいた。清見が“パワハラ上司”のレッテルを貼っている、見た目が少し怖い上司の黒井徹(くろいとおる)だった。
清見があいさつをして隣に座ると、たばこの値上げについての会話となった。清見は「たばこなんてやめたほうがいいですよ、百害あって一利なしですよ」と黒井に忠告しながら、口からフーッと煙を吐き出す。もちろん黒井からは「全く響かない」と突っ込まれる。
たばこは2018年以降、毎年10月に値上げの一途を辿っている。たばこは価格の6割以上を税金が占めており、値上げはたばこ税の増税とともに行われることが多い。税金の内訳としては、国たばこ税23.5%、地方たばこ税26.3%、たばこ特別税2.8%、消費税9.1%だ。
「昔はたばこは安かった」というような、今となっては都市伝説なのではないかという話も聞くが、実際に昔は安くて、例えばJTの主力銘柄であるマイルドセブン(現:メビウス)の場合、発売当初の1977年は150円だった。2006年でもまだ300円。その後、2013年にメビウスという名称にリニューアルされ、2023年現在の価格は580円だ。約半世紀の間に、いかにたばこの値段が上がってきているかがわかる。
ちなみに、清見は黒井の健康を気遣って禁煙を勧めているが、それはもちろん建前であって、本音は“黒井とのエンカウント率(遭遇率)を下げる”ためだった。2023年はたばこの値上げ予定はないものの、愛煙者にとってホッとしたのも束の間。2024年以降にたばこ税を増税するとのお達しがすでに2022年末に発表されている。今後も価格があがっていくであろうたばこだが、この2人は禁煙する気配はなさそうだ。
“社泊”することも当然の過酷な職場環境で働いている主人公とその同僚たち。『虚無男』は、そんなサラリーマンたちの“日常ブロマンス”を描いた漫画で共感するエピソードも多い。今後の展開が楽しみである。
画像提供:夏壱あーる(@kyomuo_721)