新田真剣佑にインタビューを行った / 撮影=永田正雄
【写真】まさに華麗なる一族…!真剣佑が演じる龍たち“大神家”の集合ショット

世界を股に掛けて活躍する俳優・新田真剣佑が、4月24日にディズニープラス「スター」で独占配信を開始した(初回5話、5月1日に6、7話、5月8日に8~10話配信)オリジナルドラマシリーズ「フクロウと呼ばれた男」に出演している。同作の主人公は、あらゆるスキャンダルやセンセーショナルな事件をもみ消し、時には力技で解決してきた黒幕/フィクサー、“フクロウ”と呼ばれる大神龍太郎(田中泯)。国家の裏側・タブーに切り込んだ社会派政治ドラマだ。今作のエグゼクティブ・プロデューサーであり脚本を務めるのは、日本とアジア諸国発信のコンテンツ制作と配給を手掛けるアイコニック・ピクチャーズのデビッド・シン、演出を森義隆、石井裕也、松本優作が担当する。そんな今作で新田は龍太郎の次男・龍を演じる。初回5話一挙配信されたが、ドラマのスタート直前に新田を直撃し、作品全体のことや自身が演じる役について、共演する田中の印象などを聞いた。

「田中泯さんが演じる役がすごくいい役なんです」

――オリジナルで制作された社会派政治ドラマですが、デビッド・シンさんが書かれた台本を読まれた時の印象は?

とにかく、田中泯さんが演じる役がすごくいい役なんです。すごく味のある役で、いい親父で。台本を読みながら思ったのは、「日本のフィクサーってどんな人なんだろう?」ということでした。僕は田中泯さんが演じる龍太郎の息子・龍を演じていますが、息子は何も知らないところから始まるんです。ただ、少し違和感を覚えて…という感じで、龍の気持ちになりながら読みました。フィクサーとはどんな存在で、息子の僕は何を追い求めているんだろう?と考えながら。

――フィクサーがどういう人物なのか、漠然としたイメージはあっても、具体的なことは何も知らないですからね。

そうなんですよね。最初に思ったのは「フィクサーって何?」ということでした。

――演じた“龍”は、新田さんから見て、どういう人物ですか?

彼は真実を追い求めている人。とにかく真っすぐで正直。自分の中の正義を貫いて、答えを求めて突っ走っている人です。

――海外で生活した後、帰国して日本で働く龍は、職場の中でも誰かに頼らず、群れたりせず、自分一人でとことんまで調べたり、突き詰めるタイプなのかなと思いました。

そうですね。他人の力を使わずに自分で答えを追い求めていく姿はなかなか面白いです。

――龍はずっと海外で生活していたみたいですが、そこは海外を拠点にされている新田さんと重なる部分も多いのではないかと。グローバルな視点で物事を見たり考えたりするところとか。

そうですね。プロデューサーのデビッドさんも脚本を書いている時に、僕のことを思い描いて書いてくれていた、とおっしゃってくださったので、似ている部分があると思います。

――当て書きのような形なんですね。自分に近い役ということで、演じやすさを感じることはありましたか?

自分に似ている、似ていないというのは演じる上であまり関係ないですね。いつも演じることはチャレンジですから。今回もなかなかの挑戦でした。

――日本語と英語、両方のセリフがありましたね。

僕は日本語のセリフをしゃべっている時と、英語のセリフをしゃべっている時は雰囲気が全然違うんです。それはすごく独特で、日本語と英語の両方がしゃべられる人の雰囲気が自然と出ていると思います。

「フクロウと呼ばれた男」より / (C)2024 Disney

日本語と英語では「性格が変わります(笑)」

――新田さんご自身も普段から日本語で会話する時と英語で会話をする時は違うんですか?

性格が変わります(笑)。

――物事を考える思考回路が違ったり、考え方が違ったり?

考え方は変わったりするかもしれないですね。その辺は自分でもよく分からないです。

――意識して変えているというわけではなく、自然とそういう違いが生まれてきたんだと思いますので、自分自身を分析するのは難しいかもしれないですね。

はい。理屈ではないですから、説明は難しいですね(笑)。でも、日本語と英語の両方のセリフがある役というのは珍しいですし、この作品でしか見られない演技が見られると思いますので、それも楽しんでいただきたいです。

新田真剣佑 / 撮影=永田正雄
――龍を演じる新田さんから見た、父・龍太郎の印象も聞かせてください。

謎の多い父親です。僕は息子ながら、“父親のことをあまり知らないなぁ”という感情もあったり。物語が進むにつれて、見えてくる部分もあると思います。

――龍太郎を演じられた田中さんの印象についても聞かせてください。

めちゃくちゃ柔らかい方です。すごく温和な方で、話しやすくて、良かったです(笑)。撮影の合間にお話もさせていただいたんですけど、すごくいいお話も聞けました。すごく気を使っていただいたんだと思います。

いつもごあいさつするときに、ちょっとした会話をしてくださって。「おはようございます」だけじゃなくて、他愛ない会話ですけど、それがうれしかったです。僕が気を使わなくてもいいように接してくださったんだと思います。それと、今回親子を演じさせてもらいましたが、息子の龍の性格は泯さんによって作られています。父親役が泯さんではなかったら、違う“龍”になっていたと思いますね。

――そういう意味では、演じている時は“親子”という意識を強く持っていたんですね。

はい。まさに父親でした。

――監督陣からの演技に対してのディレクションはいかがでしたか?

最初の頃はキャラクターについて話し合うこともありました。よりキャラクターに近づけるように、話しましたが、それも本当に最初のシーンの時だけで、あとは細かなディレクションなどは特になく、任せていただきました。

――外国人記者のサラさんとのシーンで、日本食を食べる場面がありましたが、新田さんが外国の方に日本料理を何かオススメするとしたら?

100%「焼肉」です! 焼肉しか勧めないです。焼肉は正義です(笑)。

――アメリカにはステーキとかもありますが、やっぱり日本の焼肉が…?

はい、日本の焼肉が最強です(笑)。

――あらためて今作の注目ポイントをお願いします。

最初に5話まで配信されるので、前半部分を一気に見ることができます。前半の見どころは、いろんな問題が次々と発生してきます。それらの問題がどうなるのか、後半を楽しむためにもじっくりと見ていただけたらと思います。見ていて「ここからさらに面白くなってくるぞ」って気持ちになりますから。

――最後に、近年は日本でも俳優の方が演じるだけでなくプロデュースも手掛けられることも多くなりましたが、もし新田さんがプロデュースするならどんな作品がいいか教えていただけますか?

そうですね。オリジナルの作品をやってみたいです。普通ではあり得ないような登場人物だったり、非現実的な人物だけど、それを現実的に見せる役だったり。そういう作品が面白そうですね。

◆取材・文=田中隆信

「フクロウと呼ばれた男」ティザービジュアル / (C)2024 Disney