溶かしバターのきめ細かな泡をかけながら火入れするのが肝 / (C)城二郎/KADOKAWA
鶏もも肉をごちそうに格上げ!二つ星フレンチ元料理長の「鶏もも肉のクリスピー・ソテー」/二つ星フレンチ元料理長が教える おうち格上げレシピ

フランスで料理を学び、ミシュラン二つ星フレンチで料理長を務めていた城二郎さん。現在はYouTuberとしても活躍し、チャンネル登録者数は107万人超。

そんな城二郎さんが、身近な食材やメニューにシェフならではのこだわりとフレンチの手法を落とし込み、丁寧に解説したレシピ本が『二つ星フレンチ元料理長が教える おうち格上げレシピ』です。

「塩のタイミングは3回ある」「物足りないと感じたら“うま味”を加える」など、「難しすぎないけれど料理の格が上がる」「ひと手間の積み重ねで食材の旨味を最大限に引き出す」調理法を紹介。焼き方や煮込み方、塩を振るタイミング等、「ここを押さえれば料理の格が上がる」というポイントをプロセス写真付きで説明してくれます。

だれでも確実に、いつもの食材・料理を格上げ可能にする、プロのコツを学びましょう。

※本記事は城二郎著の書籍『二つ星フレンチ元料理長が教える おうち格上げレシピ』から一部抜粋・編集しました。

※分量や調理時間など、レシピ通りに調理してください

鮭のムニエル

バターの風味をまとったレストラン級のムニエルに / (C)城二郎/KADOKAWA
溶かしバターのきめ細かな泡をかけながら火入れするのが肝。

バターの風味をまとったレストラン級のムニエルに。

【材料/2人分】

生鮭の切り身 …… 2切れ

塩 …… 1切れに各ひとつまみ

小麦粉 …… 適量

オリーブオイル …… 小さじ2

バター …… 15g

A

・あさり …… 12粒

・にんにく(みじん切り) …… 1かけ分

・水 …… 200ml

オリーブオイル …… 50ml

パセリ(みじん切り) …… 適量

【作り方】

1 鮭の身の方に塩をふり、皮目を上にして15分ほどおき、表面の水分をキッチンペーパーで拭き取り、両面に小麦粉をまぶす。

◆ここが格上げ!

・表面の水分を拭く

塩をふった鮭から出てきた水分は、魚の臭みを含んでいるのでキッチンペーパーで拭き取る。また水分を拭き取ると余分な小麦粉がつかない。

表面の水分を拭く / (C)城二郎/KADOKAWA
2 Aのあさりは前もって砂抜きをしておく。

◆ここが格上げ!

・あさりは砂抜きをする

バットなどに重ならないようにあさりを広げてひたひたの水を入れ、海水と同じくらいの塩味になるように塩を入れ、冷蔵庫に半日ほど置く。

あさりは砂抜きをする / (C)城二郎/KADOKAWA
3 フライパンにオリーブオイルを強火で熱し、鮭を押さえつけながら皮目から焼き、焼き色がついたらバターを加える。中火にして、溶けたバターを鮭にかけながら両面ソテーする。金串(またはフォーク)を刺してほんのり温かかったら、バットに取り出す。

◆ここが格上げ!

・バターの泡で火入れする

溶けたバターのクリーミーな泡をかけながら火を入れ、バターのコクと香りを鮭にまとわせる。フライパンを傾けるのがコツ。

バターの泡で火入れする / (C)城二郎/KADOKAWA
4 同じフライパンにAを入れフタをして中火にする。水分が半分ほどに煮詰まったら、オリーブオイルを加えて乳化させる。

◆ここが格上げ!

・あさりを入れる

あさりのだしがきいて、チキンブイヨンなどを使わなくても水だけでうま味のあるソースになる。

あさりを入れる / (C)城二郎/KADOKAWA
・煮詰める

フライパンにあさり、にんにくのみじん切り、水を入れたら、煮詰めてソースのうま味を凝縮させる。

煮詰める / (C)城二郎/KADOKAWA
・ソースを乳化させる

オリーブオイルを加えたら素早く混ぜて水とオイルをなじませる。乳化させることでソースがなめらかになる。

ソースを乳化させる / (C)城二郎/KADOKAWA
5 鮭を戻してパセリを加え、煮詰めたソースを全体にまわしかける。

【ポイント】下処理で格上げ!

■ウロコ、骨をていねいに取るほどプロの味に近づく

ていねいに下処理をしてプロの味に! / (C)城二郎/KADOKAWA
1 ウロコの取り残しを取る

尾から頭に向かって包丁の刃を動かし、皮目に残っているウロコを取る。

ウロコの取り残しを取る / (C)城二郎/KADOKAWA
2 骨の取り残しをチェック

身の真ん中あたりを指でなぞって骨が残っていないかを確認。

骨の取り残しをチェック / (C)城二郎/KADOKAWA
3 骨を取る

毛抜きで骨を1本ずつ取る。身を押さえながら抜くと身崩れしにくい。

骨を取る / (C)城二郎/KADOKAWA
4 内臓の取り残し部分を取る

内臓の取り残しがある場合は薄くそいで取り除く。

内臓の取り残しは臭みの原因になる / (C)城二郎/KADOKAWA

【ポイント】火入れで格上げ!

■皮目をパリッと焼くのが決め手

1 身を押さえてそり返りを防ぐ

魚は皮目から焼くのが基本。鯛のように火入れすると身がそり返りやすい魚は、強火で熱したフライパンに入れたあと10秒ほど身を指で押さえてそり返りを防ぐ。

身を押さえてそり返りを防ぐ / (C)城二郎/KADOKAWA
2 皮目をしっかり焼く

そり返りが弱まったら中火にして、まわりがうっすら茶色に色づくまで焼く。

皮目をしっかり焼く / (C)城二郎/KADOKAWA
3 皮目を8割焼いてひっくり返す

皮目に8割程度火が入ったらひっくり返す。皮目をしっかり焼くとひっくり返すときに身が崩れにくい。

皮目を8割焼いてひっくり返す / (C)城二郎/KADOKAWA
4 身はサッと焼く

身の方に火が入りすぎるとパサつきの原因に。サッと焼いてしっとり仕上げる。

身はサッと焼く / (C)城二郎/KADOKAWA
■火入れでこんなに差が…

火入れでこんなに差が… / (C)城二郎/KADOKAWA
左が皮目の火入れが中途半端なもの、右が皮目をしっかり焼いたもの。

しっかり焼いた方はパリッとして食欲をそそる焼き色。火入れが足りない方は身がそり返り、皮目がブヨブヨしている。

著=城二郎/『二つ星フレンチ元料理長が教える おうち格上げレシピ』(KADOKAWA)

著者 / (C)城二郎/KADOKAWA
【著者プロフィール】

城二郎

服部栄養専門学校を卒業し、都内ホテルのレストランに就職。その後フランスへ渡り、パリのミシュラン一つ星レストランにて修行。帰国後は都内のミシュラン二つ星レストランで研鑽を積み、パリで修行したレストランの日本進出に伴い日本店副料理長として新規開業を担う。4ヶ月後、ミシュランガイドにて二つ星を獲得。その後、同グループ姉妹店開業の際、料理長に就任。

さらに日本各地への多店舗展開を行う同グループの統括料理長として全店舗の厨房指揮を任される。

退社後はYouTube チャンネル「料理人城二郎」を中心に料理動画を配信。チャンネル開設からわずか1 年で登録者16万人、TikTok のフォロワー40万人を突破。

著=城二郎/『二つ星フレンチ元料理長が教える おうち格上げレシピ』