マスクで表情が見えにくくなり、さらに直接会って人とコミュニケーションする機会も格段に減ったこの頃。相手との距離感に悩んだり、人間関係で必要以上に気疲れをためてしまいがちでは?
『気にしない習慣 よけいな気疲れが消えていく61のヒント』では、心理学者の内藤誼人さんがネガティブな感情を手放して、もっと楽に毎日を送るヒントを伝授。世界中の心理学の最新研究をもとに、すぐに使えて役に立つ、人間関係での「チカラの抜きどころ」をご紹介します。
人間関係で大切なのは「笑顔」。作り笑いでも、愛想笑いでも、とにかく笑顔を見せることが何より大事。
※本作品は内藤誼人著の書籍『気にしない習慣 よけいな気疲れが消えていく61のヒント』から一部抜粋・編集しました
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5 表情は作り笑顔でもぜんぜんかまわない
人間関係においては、笑顔がとても重要です。
細かいことはどうでもいいので、とにかく笑っていれば、たいていの人間関係はうまくいくものです。
「そうは言っても、私、うまく笑えないんです」
「愛想笑いは、どうも苦手で……」
そう思う人がいるかもしれませんね。
ですが、はっきりと申し上げておきましょう。
笑顔というものは、「見せる」ことが重要なのであって、うまいとかヘタは関係ありません。どんなにヘタでも、「見せない」よりは、「見せる」ほうが、絶対に好印象を与えます。
作り笑いでも、愛想笑いでも、ぜんぜんかまわないのですよ。
無表情とか、不機嫌そうな顔に比べれば、作り笑いのほうが、はるかにマシ。ですから、たとえ「自分は笑顔を見せるのがヘタ」だという自覚があっても、あまり気にせず、どんどん作り笑いを見せるようにしましょう。
少しくらいギクシャクとした笑顔でも、見せないよりは見せたほうがいいのだ、と割り切って頑張りましょう。
「笑顔」であることが何より大事
イギリスにあるアバディーン大学のリンデン・マイルズは、男女3名ずつのモデル写真を用意しました。それぞれ、①自然な笑顔 ②作り笑い ③無表情の写真で、それを40名の大学生に見せて、どのくらい好意を抱くのかを調べてみました。
その結果は、やはりというか、もっとも好まれたのは①の自然な笑顔でしたが、作り笑顔のほうも、決して悪くありませんでした。無表情に比べると、作り笑顔のほうが10倍も好ましく評価されたのですから。
ということは、作り笑顔でもかまわず、どんどん笑うことが得策ということになります。
「そうは言っても、私は笑顔を見せるのが本当にヘタで……」と言う人もいるでしょう。
けれども、最初からとびきり魅力的な笑顔を見せられる人なんて、この世にいません。だれでも練習を繰り返して、少しずつ上達していくものです。
どんなにヘタな笑顔でも、毎日、人に会うたびに練習していれば、そのうちうまくなっていきます。
人に声をかけられたり、目を合わせたりしたら、もう自動的に笑顔のスイッチが入るくらい、練習してみてください。
これを心がけるだけで、たいていの人間関係はうまくいくようになるはずですから。
6 緊張して顔が赤くなると好感度がアップする
人に会うときに、すぐに顔が赤くなることを恥ずかしく思う人もいるでしょう。それは考え方を間違えています。
むしろ、「だから、好かれるんだ」というように発想の転換をしてみてください。
赤面したり、恥ずかしがったりするのは、悪い評価を受けるどころか、むしろ〝好ましく評価されることのほうが断然多い〟という事実があります。
ウソではありません。そう指摘しているのは、カリフォルニア大学バークレー校のダッチャー・ケルトナーです。
「どうして恥ずかしがり屋のほうが好ましいんだろう?」と思いますよね。
その理由は、ケルトナーによると、相手の緊張を解くことができるからです。
赤面は相手の緊張を解きほぐす
私たちは、見知らぬ人に合うと、どうしても警戒しますよね。
「この人は自分に害を与える人なのかどうか」「危険な人なのかどうか」ということがわからないためです。
けれども、赤面したり、恥ずかしがったり、モジモジしていたりすると、「ああ、この人なら、私に害を与えることはないだろう」とホッと胸をなでおろし、警戒心を解くのです。
相手にいらぬ緊張をさせず、のびのびとリラックスさせることができるので、恥ずかしがり屋は好ましく評価されるというわけです。
内気であったり、恥ずかしがり屋だったりするのは、言ってみればおびえた小動物。そういう人は「なんだかカワイイな」と思われることがあっても、嫌われるようなことは、絶対に、もう絶対確実にありませんから、むしろよいことなのですよ。
どうでしょう。こんなふうに考えると、すぐ顔が赤くなってしまうことが、素晴らしいことだと思えるようになるのではないでしょうか。
「顔が赤くなるのをどうにかしたい」
「もっと自信を持って、堂々としていたい」
内気な人ほど、そういう気持ちになると思うのですが、それは間違えた考えというもので、もし堂々とした人間になってしまったら、今のように好かれることがなくなってしまうかもしれません。
つまり、自分のいいところを失ってしまうことになるのです。
私たちは、ないものねだりなところがあって、本当はものすごくいいところを持っているのに、「他人の芝生をなんて青いんだろう」と考えてしまいがちです。
ぜひ「ない」ものではなく、「ある」ものに目を向けるようにしましょう。
赤面することなど、これっぽっちも気にすることはありません。それは立派なアピールポイントですので、もっと自信を持っていいのです。