連続テレビ小説「舞いあがれ!」が放送スタート! / (C)NHK
【写真】桜が映える福原遥

10月3日、連続テレビ小説「舞いあがれ!」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は月~金曜の振り返り)が放送開始となった。同作は、1990年代から今を舞台に、ヒロイン・岩倉舞(福原遥)がものづくりの町・東大阪と自然豊かな長崎・五島列島でさまざまな​​人との絆を育みながら、空への憧れに向かう中で経験する挫折と再生を描く物語だ。放送を前に、同作の制作統括を務める熊野律時チーフ・プロデューサーにインタビュー。作品に込めた思いや福原、赤楚衛二、目黒蓮、長濱ねる、高杉真宙らキャストの起用意図、舞をどのようなヒロインとして描いていきたいかなどについて聞いた。

舞は周りの人と手を携えて進むヒロイン

ーー「舞いあがれ!」はどのような物語なのでしょうか?

キャッチコピーが「向かい風を受けてこそ飛行機は空高く飛べる!」なのですが、まさにヒロインの岩倉舞がいろいろな困難もある中で空を見上げて進んでいくという成長物語として作っています。現代にはさまざまな辛いことや大変なことがありますが、それを受け止めてポジティブに前に進んでいく力に変えていけるような生き方を、ヒロインを通して伝えていけたらと思っています。

ーーヒロインと空を結びつけようというアイディアはどのように?

一番最初に、脚本の桑原亮子さんとどのようなヒロインにしましょうか、というお話をした時に、桑原さんが飛行機がお好きと言うこともあったのですが、空を見上げたり空に向かっていく、前向きな希望のあるイメージが、今の時代の“朝ドラ”が届けるメッセージとして大切なものになるんじゃないかなと。

ーー「舞いあがれ!」のヒロイン・岩倉舞の役どころを教えてください。

舞は周りの人の気持ちがよくわかる人です。真ん中に立っているわけではない人にも目を向けて、その人が何を感じているのかを受け止めつつ、その人も一緒にできることってなんだろう、と考え、一緒に困難を乗り越えていきます。いろんな人のいろんな生き方を尊重しながら、一緒に協力できることってあるよね、と緩やかにいろんな人をつなげて前に進んでいくようなイメージを大事にしています。

空に舞いあがるように未来と夢に向かって前向きに、というメッセージを大事にしたいと同時に、いろんな人がいろんな事情を抱えているということも理解した上で、より幸せになるために進んでいくヒロインでありたいと思っています。

福原遥の周りにはひだまりができるよう

ーー舞を演じる福原遥さんの魅力を教えてください。

舞は先頭を切って周りをぐいぐい引っ張っていくのではなく、周りの人たちのことを考えながら、もっと幸せになれる方法を一緒になって見つけていくようなヒロインですが、福原さんはご本人がそういうタイプの方なんです。

引っ張るというのとは違いますが、福原さんの周りに温かいひだまりができて、みんなそこに集まって一緒にニコニコお喋りしながらお茶を飲んで、和やかに楽しくおしゃべりをしながら、ふと気がつけば本番になっているような雰囲気の撮影現場なんです。やっぱり、福原さんの独特の魅力だなと。今回目指しているヒロイン像をまさに体現していただいていると思います。

幼なじみを演じる山下美月&赤楚衛二の魅力

ーー舞の幼なじみである望月久留美、梅津貴司は第1週から登場し(※幼少期は子役)、舞と長く付き合っていくことになる大事なキャラクターです。それぞれを演じる山下美月さん、赤楚衛二さんの起用意図は?

久留美役の山下美月さんは、実際にお会いして見ると、非常に落ち着いていて、ていねいに考えてお話しされている、堅実な部分のある方だなという印象を受けました。

久留美はいろいろなことが恵まれている方ではない苦労人ですが、それでも自分自身でしっかりとやっていくんだ、という地に足のついたキャラクターです。舞とは対照的ながらも、お互いにつまづいたり難しいことが起こった時には気軽にアドバイスしたり、一緒に喜んだり悲しんだりということができる存在になります。なので、山下さんの落ち着いた雰囲気が合っているなと。

赤楚さん演じる貴司は、“朝ドラ”の男性の幼なじみとしてはなかなか見ないようなキャラクターです。文学的なことが好きだったり、不器用だったり、「普通」に合わせられなくはないけれどストレスを感じてしまったり。そして優しい。「男らしさ」とか「たくましさ」という方向性ではなく中性的な彼は、舞が一緒にいて心地よい、自分の思いを素直に語ったりできる相手として長く、関わっていきます。

「大変なことがある中でもこういう人がいてくれるとちょっとホッとできる」というような存在として描いていきたいなと思っていますが、赤楚さんは柔らかい笑顔がとても魅力的な方ですので、ぴったりだと思っています。

長崎・五島列島出身の長濱ねるも出演

ーー舞が五島列島で出会うさくら役を演じる長濱ねるさんは舞台となる長崎・五島列島出身ですね。

長濱ねるさんは、元々五島列島にお住まいで、五島に対する思いを強く持っていらっしゃるということを伺っていました。“朝ドラ”は、普段ドラマの舞台としてあまり取り上げられないような地域でも取り上げ、土地柄や住んでいる人のことを時間をかけて表現することができるのがいいところだと思っています。そういう意味では、元々強い思い入れがあって、しかも、今でもたびたび訪れているという方に参加していただくということはとても大事だなと。

しかも、ご本人の魅力という点でも、お部屋に入って来られるだけでもフワッと柔らかく明るくなるような、独特の雰囲気を持っていらっしゃる。「五島の言葉で、びっくりした時は『あっぱよ』って言うんですよ!」なんて教えてくださったりして、朗らかな空気感を作ってくださるんです。やっぱりこういう方に五島の人を演じていただきたいと思い、お願いしました。

目黒蓮は「はっとさせるような変化をチャーミングに」

ーー今後、大学や航空学校で舞にはさまざまな出会いが訪れます。大学の人力飛行機サークル「なにわバードマン」で設計を担当している刈谷博文を演じる高杉真宙さん、航空学校の同期でエリートパイロット一家の息子・柏木弘明を演じる目黒蓮さんについて教えてください。

高杉さんに演じていただく設計担当の刈谷は、飛行機の設計のこだわりがあり、とんがった部分のある、非常に頭がいいキャラクターです。ある種とがり過ぎていて、周りとぶつかりがちなのですが、それはピュアで、思い入れが強いからこそ。不器用さと熱さを持っている人物なので、高杉さんの持っているキャラクターがハマるんじゃないかなと。

目黒さん演じる柏木はエリートパイロット一家の息子ということで、非常に優秀だけれども結構プライドが高く、ちょっととっつきにくい人です。舞はすごい突出した能力あるわけではなく、コツコツと自分のできることを一生懸命頑張ってやっていくキャラクターなので、最初に彼と出会った時には、少し近寄りがたいと感じます。けれど、飛行機はいろいろな人が連携して初めて飛ぶものなので、自分だけが非常にできる、ということだけでは回って行かない。一方で舞にはチームワークをよくしていくことに適正があったりする。そこでお互い一緒にやっていく中で、関係性が変わっていったりします。

ちょっと距離感のあるところから、「こんな笑顔をするんだ」みたいな、はっとさせるような変化をチャーミングにやっていただいています。目黒さんの魅力に、非常にぴったりだなと思っています。

ーーヒロインの恋模様なども気になりますが…?

これは事前にはなかなか言いづらいですね(笑)。詳しく言ってしまうとつまらないので、ぜひ楽しみにしていただきたいと思います!