=LOVEの野口衣織が「映画 バクテン!!」を語る! /  撮影=booro/スタイリスト=稲葉有理奈(KIND)/ヘア&メーク=水野花菜
【写真】平成ギャルに変身した野口衣織

指原莉乃がプロデュースするアイドルグループ・=LOVE(イコールラブ)のメンバーであり、アニメ好きの野口衣織が「神セリフ」からアニメの魅力をひもといていく連載企画。第11回では、今年の7月に映画が公開された男子新体操のアニメ「バクテン!!」について語る!※この記事には、作品のネタバレが含まれています。

「バクテン!!」ってどんな作品?

東日本大震災の被災地をアニメツーリズムで支援するプロジェクト「ずっとおうえん。プロジェクト 2011+10...」の一環として制作されたアニメ作品。私立蒼秀館高等学校、通称アオ高の男子新体操部を舞台に、個性豊かな部員たちの成長を描く。7月には「映画 バクテン!!」が公開された。キャラクターの名前には宮城県の地名が使われているほか、作中には県内各地の風景が数多く登場している。

二次元だからこそ表現できる、美しい体操シーンは必見!

最初に「バクテン!!」を知ったのは、私が出演させていただいている『ジャパコンProject「二次元領域拡大通信」』(BSフジ)という番組内で、東日本大震災の被災地支援である「ずっとおうえん。プロジェクト2011+10...」の一環でアニメが制作されると特集されたことがキッカケでした。絵柄が好きだったのと、今までにもいろんな部活アニメがあったと思うんですけど、男子新体操部ってどの学校にもあるわけじゃないからこそ、気になって見始めました。

劇中の体操シーンは、とにかく美しいです!!筋肉の感じもそうですし、実際の演技を取り込む“モーションキャプチャー”で描く滑らかなシーンと、キャラクターの表情を見せるアニメ作画のシーンにコントラストがあってすごくいいなって。現実だったらこんなに色鮮やかに見えないだろうし、二次元だからこそ表現できる映像だと感じました。

私の推しキャラは、(築館)敬助先輩。新体操をやる時だけ眼鏡を外すんですけど、それがもう、ただただ私のストライクゾーンど真ん中で大好き!(笑)そして盆栽が好きで、優しくて、頭もよくて、実家が神社。え?スペック高すぎません…?こんなの、好きにならないわけがない!!立ち位置的にはアオ高男子新体操部のお母さんみたいな感じで、ガッツがあって力強いタイプの部長を支える存在。他のみんなより冷静で頼りがいがあって、優しい雰囲気の中にも芯を感じるところが好きですっ!

アオ高男子新体操部の温かさに触れたくなります

「バクテン!!」で印象的だったのは、物語の進み方がすごく優しかったこと。部活動だったらもっとビシバシ練習して、甲子園やインターハイなどの高い目標に一直線に向かっていく展開かと思いきや、「バクテン!!」はギャグもありつつ、特にキャラを深堀りするシーンが多かったように感じました。ライバル校であるシロ高(私立白鳴大学附属高等学校)の部員もしっかりと描かれていて、それが映画にもつながっていきます。

なので、アニメを見ながら、ポジティブな印象として「インターハイでは勝ち進まないのかな?」って思ったんですよ。青春部活モノって“勝ち負け”に感情移入しやすいところも好きなんですけど、「バクテン!!」は結果に重きを置きすぎず、楽しく新体操をやっている姿をたくさん見せてくれるのがうれしかったです。アオ高男子新体操部の団結力や温かさ、人のよさが目立っていて応援したくなりますし、その温かさに触れたくなるような、新しい感覚の部活アニメだなって思いました。

アオ高の色で見せてくれた“引き継がれていく青春”

アニメ版は楽しく見られるシーンが多かったんですけど、映画は悲しくて悲しくて…!(泣)序盤から大泣きで、スクリーンも見えないほどでした(笑)。共に1年過ごしてきたアオ高のメンツでしかたどりつけない、アオ高なりの終わり方があったんですよ。映画を見てから振り返ってみて「これってアオ高らしさだったんだな」と気づいた部分もありましたし、アニメ版を見たからこそ、映画版で「この終わり方こそアオ高だ!」と納得できました。

映画の中では、いろんな音が聞こえます。青春が終わってしまう音や、そこから這い上がって自分を見つけた時の音…。その全てが青春であり、青春が終わったように感じても、実際は引き継がれていくものなんだと教えてくれます。「これからも自分たちで作る青春は続いてくんだ」っていうのをアオ高の色で見せてくれたのが、すっごく澄んでいてきれいでした。

“つながり”を大切にしているプロジェクトから生まれた意味を感じた

「なくなんないよ みさぽんが点けてくれた火は 遠くに離れたくらいで 消えたりしない ……今だって、燃えてるんだ 胸の内側でポッ、ポッ」月雪ましろ

アオ高男子新体操部にとって大切な存在がどんどんいなくなり、気持ちもバラバラになってしまって落ち込んでいた翔太郎と美里くんに対して、シロ高男子新体操部のましろくんが掛けた言葉です。ましろくんって、雰囲気がほわ~っとしていて、言ってることも一見ほわ~っとしてるんですけど、実はすごく芯があるというか。彼の言葉には、確実に意味があるんですよね。

ましろくんが伝えたかったのは、「新体操をやろうと思った時にもらった“熱い気持ち”は、そのキッカケをくれたものや人が近くにいなくたって消えないでしょ?」ということなんだと思います。ましろくん自身も、美里くんの演技を見て新体操をやろうと決めた過去がありますが、お互いに熱い気持ちがあると信じているからこそ、別の道を選んだわけですよね。

劇中では、新体操の選手がみんな最初に目指していた目標として“バク転”が印象的に描かれているシーンがあります。それが「バクテン!!」というタイトルになっているのもエモいですし、全てはつながっていたんだなって。今までつないできたものが終わってしまったとしても、丸い円だから、またその先につないでくれる仲間がいる。「ずっとおうえん。プロジェクト 2011+10...」はアニメを見てくれた人が被災地へ“聖地巡礼”しにいくことで支援になるというもので、“つながり”を大切にしているプロジェクトだと思うので、ここから「バクテン!!」が生まれた意味をより強く感じました。

“聖地巡礼”をして「ずっとおうえん。プロジェクト」の一員になれたら!

「美里、大学じゃ俺がエースだからな。俺はお前が来るの、待ってるぞ」女川ながよし

もう1つ好きなのが、女川先輩が美里くんに言ったこのセリフ。先ほど「青春は引き継がれていく」と話しましたが、まさに、先輩が美里くんに“新体操”という青春をつなぐための橋を作ってくれたような言葉なんです。それがなぜかっていうのは…是非、映画を見てほしい!!(笑)

この先輩のセリフがあったから、美里くんの中で決めてしまっていた未来、この先の新体操への気持ちっていうのが変わったと思います。可能性が広がったと同時に、自分の本当の気持ちにも気づけたはず。女川先輩はアイドルオタクで、いつもはおちゃらけてるし、本人は深い意味は込めずに言ったかもしれませんが、それが素敵な未来を紡いでくれたんじゃないかなって思わせてくれました。

「バクテン!!」という作品と出会って、映画館で見られて、この感動を得られた気持ちって一生消えないだろうなって考えると、本当にうれしいです。ありがとう、この青春を見せてくれて!(泣)作品の舞台となっている場所(※宮城県岩沼市など)にも是非、行ってみたいですね。この地域にお住まいのファンの方がいて、「作品の中のこの場所、本当にあるんだよ」って教えてくださったんですよ。私も“聖地巡礼”をして、「ずっとおうえん。プロジェクト」の一員になりたいなって心から思いました!!