「親との別れの際、多くの人が『もっとこうしておけばよかった』と思うのではないでしょうか? 父との不仲のせいで実家とは疎遠になり、両親のことを兄に任せっきりになっていた私は、母が亡くなったときにとても後悔しました。私のような思いをしないためにも、両親とはできるだけ会っておいてほしい、そう思います」
親や夫、子ども、友人に職場の同僚、ご近所さん...。アラフィフ女性を中心に、みなさんから寄せられた人間関係の「モヤモヤ」「スカッと」「泣ける」実体験エピソードを、過去の人気記事をもとにして漫画で再構成しました。この時、あなたならどうしますか?
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痛々しい母の様子に胸が苦しくなりつつ手を握ると、なんとか私のことは分かったようで、弱々しく手を握り返してくれました。
その日は安定した状態だというので、実家に戻り泊まらせてもらいました。
「母さん、お前だって分かったか?」
父がそう聞いてきました。
「多分ね、手は握り返してくれたから」
「そうか...」
父と交わした会話はそれだけでした。
次の日に見舞いに行くと、母は午前中こそときどき目を開けたりしていましたが、午後になると昏睡状態に陥りました。
父はずっと母の手を握っていました。
私がいるからと病室を空けていた兄も慌てて戻ってきて、それからはずっとみんなで病室にいて、見守る状態になりました。
日付が変わり、私が来た日から3日目に当たる日の未明に母は静かに息を引き取りました。
昏睡状態のまま、ゆっくりと呼吸が間延びしていき、やがて眠るように逝きました。
不思議なくらい現実味がなく、涙も出ませんでした。
なんとか最後に顔を見せられたのは救いでしたが、父ともう少し折り合いよくやれていたら、もっとしっかりと看取ってやることができたと思います。
後悔先に立たず、今さらやり直せるわけもないのですが、それだけが心残りとなりました。



漫画:にーや/原案:「毎日が発見ネット」みなさんの体験記