ライブドアブログ「ゆっぺのゆる漫画ブログ」やInstagram(@yuppe2)で、エッセイ漫画を描いている漫画家のゆっぺさん。なかでも、2021年12月から執筆してきた「親に捨てられた私が日本一幸せなおばあちゃんになった話」は完結後、2024年2月に電子書籍が発売!読者からは「(ほかの人にも)読んでみてほしい」「とてもよい話だった」「人生で一番大切なことが書いてある漫画」など感動の声が続出している。

【漫画】「親に捨てられた私が日本一幸せなおばあちゃんになった話」を最初から読む

そんな話題の「親に捨てられた私が日本一幸せなおばあちゃんになった話」だが、4月28日の「シニアーズデイ(シニアの日)」にちなみ、作者であるゆっぺさんと漫画で描かれている現在92歳のおばあちゃん・キヨさんに、インタビューを敢行!作者であるゆっぺさんの本作に対する想いや、幸せに暮らすキヨさんの現在などをお伝えしたい。

度重なる養母からのいじめ。キヨはどうやって乗り越えたのか!?
本作では、ゆっぺさんの祖母“キヨさん”の幼少期からの実話が描かれている。幼いころ、ある日突然訪れた父の死をきっかけに、養女として叔父の家で暮らすことになったキヨ。裕福な家で何不自由なく暮らせるかと思いきや、彼女は過酷な日々を送ることに…!

泥だらけになっているのは、キヨの服!?

キヨさんと作者のゆっぺさんに話を聞いた

主人公であるキヨさんと、作者でキヨさんの孫であるゆっぺさんに、本作について話を伺った。

――電子書籍化のお話を聞いたとき、どのように思われましたか?

【ゆっぺ】この話は、家族やほかの人の声を一切聞かないようにして描いたんです。(投稿していた)ブログなどでもコメント欄を閉鎖していて。それはなぜかというと、誰かの意見を聞いたらおばあちゃんの気持ちや伝えたいことを描けなくなってしまうと思ったからです。読んでくださった方の受け取り方は自由ですが、おばあちゃんの伝えたいことはしっかり伝えないと、と。なので(電子書籍化で)KADOKAWAさんのお力を借りて、いろいろな人に発信できるならうれしいなと思いました。

――描かれたなかで、ゆっぺさんが印象的なエピソードは?

【ゆっぺ】おばあちゃんは幼いころから親元を離れただけでなく、小学校2年くらいからひとりで家族のご飯を作っていたというところですかね。今のようにガスがすぐ付いたり、蛇口をひねれば水が出たりという時代じゃなく、薪で火をおこすところから始めてご飯を炊く時代。ものすごい時間と力を要したと思うのですが、幼い子がそれをひとりでやっていたというのが…自分に置き換えたら、とても生きていけないんじゃないかと思うくらいつらいです。しかも、騙されて連れてこられていて…。

【ゆっぺ】それから、相談できる相手がひとりも居なかったというのも、つらいなと思いました。7、8歳のころにそういう大変な状況になってしまったのに何とか生き抜いてきたことに、おばあちゃんの精神性の高さを感じます。

9歳にひとりで家族の朝ごはんを全部作らせるという無茶なことをさせていた養母
――一番、反響があったエピソードは?

【ゆっぺ】女性は、生理についてのエピソードが印象的だったと言ってくださる方が多いです。公に言えない内容で、相談できる相手もいないし。ひとりでつらいことを抱えてしまう状況だったということが、腹立たしいです。同じ女性なのに、養母はどうしてそういう(酷い)ことができてしまうのだろうと思いますよね。

なぜ、裏返してはかないと行けなかったのか…その理由が壮絶すぎる!
【ゆっぺ】また、「少し角度を変えるだけで気持ちや未来は随分と変わる」という例を、本書の最後に描いているのですが、そのことについてはけっこう共感していただいたようです。同じ経験をしたとしても、考え方や気持ちの持ちようによって未来が変わってくると思います。つらい経験を引きずって「不幸だ」と思って生きるか、そういう経験を生かして明るい未来にするか…というのはその人次第かなと。そういった点は、共感して読んでいただけるかなと思います。

――次は、キヨさんにお話しを伺いたいと思います。本作ではいろいろな過去の出来事が描かれていますが、これまでの人生を振り返られて一番大変だったことは何でしたか?

何をしても文句を言われるつらい時期を過ごしたキヨ
小学校5年生くらいのときが一番つらかったです。ちょうど戦時中ですね。農家だったから食べるものには困らなかったけれど、うちでいろいろと(養母に)言われたことがとてもつらかったです。今考えても、よくあんなことを(養母は)子どもに言ったなあと。でも今考えると悪いばっかりじゃなくて、そのことは自分の宝になったとも思います。

――今は手まり作りが趣味とのことですが、どういうところが楽しいですか?

今は手まり作りが楽しいというキヨさん
(手まり作りの)本にいろいろ載っているのを見ながら、自分で柄や色を変えてつくるのが楽しいです。手まりはたくさん作っていて、孫が保育園に通っているときには、保育園の子どもたちに寄付したりもしました。100人以上の子どもがいたのですが、まったく同じ柄や大きさじゃないので、喧嘩したらいけないと思って…自分で袋を作って中身がわからないようにお楽しみ、という感じにして渡しました。喜んでもらえてうれしかったです。

「今が一番幸せ」とも語っていたキヨさん。過酷な人生をどうやって生き抜き、「幸せ」と思える人生を手に入れたのか…彼女の生き方は現代を生きる私たちにもきっと参考になるはず。まだの人はぜひ「親に捨てられた私が日本一幸せなおばあちゃんになった話」を読んでみて。

取材協力・画像提供:ゆっぺ(@yuppe2)、キヨ