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累計100万個突破の大ヒット!「wemoに関しては波瀾万丈なことがない」というほど絶好調!想定を超えた売れ方をする理由を聞いた

2024/02/07 12:00
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医療機関などの現場ワーカーの人たちがリストバンドに何やら書き込んでいるシーンを一度は見たことがないだろうか?油性ボールペンで書いても消せるという、優れもののウェアラブルメモだ。昨今認知度が高くなってきているが、昨年2023年11月にシリーズ累計販売数100万個をついに突破!2017年に、繰り返し使える機能を持ったシリコン製のリストバンド型メモ「wemo バンドタイプ」を発売して以来、さまざまなシリーズ展開をしながら、いまだ人気の衰えが見えないヒット商品だ。

「いつでも、どこでも、書ける、思い出せる」ように開発された「wemo バンドタイプ」は、看護師をはじめとした医療職や、介護職、建設現場など立ち仕事が多い業界の人たちに愛用されている。

【写真】対応筆記具が油性ボールペン(一部のボールペンは非推奨)のため、水に濡れてもメモの内容が消えない
【写真】対応筆記具が油性ボールペン(一部のボールペンは非推奨)のため、水に濡れてもメモの内容が消えない【画像提供=株式会社コスモテック】

wemoのバンドタイプは油性ボールペンで書いたものを消せる。書き心地が滑らかなのも特徴
wemoのバンドタイプは油性ボールペンで書いたものを消せる。書き心地が滑らかなのも特徴【撮影=三佐和隆士】


「wemo」を製造販売しているのは株式会社コスモテック。2017年に販売をスタートし、2023年11月についにシリーズ累計販売数は100万個を超えた!代表取締役社長の高見澤友伸さんに「wemo」が生まれたきっかけを聞いた。

株式会社コスモテックの代表取締役の高見澤友伸さん。wemoは2018年度のグッドデザイン賞をはじめとしたさまざまなデザイン賞を受賞している
株式会社コスモテックの代表取締役の高見澤友伸さん。wemoは2018年度のグッドデザイン賞をはじめとしたさまざまなデザイン賞を受賞している【撮影=三佐和隆士】


日本のディスプレイ業界の不振をきっかけに。「ひとつの産業に寄りかからない事業展開を」

コスモテックは1989年創業。テープ材の大手メーカーであるニチバンなど、粘着テープメーカーに勤めていた経験も持ち、高見澤さんいわく「粘着テープ人生」を送っていた高見澤さんの父が立ち上げた。それまで培ってきた技術や人脈を生かし、工業用テープの製造開発を手掛け、次第にディスプレイに使用する粘着テープの製造が主な事業になっていった。

「粘着テープというとセロハンテープやガムテープのようなものが一般的ですが、我々が作っているのは工業用粘着テープになります。例えばパソコンのディスプレイは表に見えているのは液晶パネルで、パネルを光らせるためのLEDライトや、さまざまな機能を持ったフィルムやテープが裏側に重ね貼りされています。このフィルムやテープを作っているんです。では、どうやってテープを作っているかというと、何もないフィルムの上に、粘着剤を薄く塗っていきます。それで乾燥させるとテープになります。粘着剤に何をどれくらい混ぜるかによって粘着の性質が変わっていきます。このときに使用するのが高分子材料なので、我々の事業は『高分子材料の配合と塗布をコア技術とした機能性フィルムの提供』であると考えています」

コスモテックでは、現在にわたってパソコンディスプレイ向けの商品の製造がメインの事業だが、2009年ごろに大きな転機を迎えることになる。

コスモテックでは、パソコンのディスプレイ向けテープなど、工業テープが主たる事業。BtoC商品としては、「wemo」と「素肌シール」を展開している
コスモテックでは、パソコンのディスプレイ向けテープなど、工業テープが主たる事業。BtoC商品としては、「wemo」と「素肌シール」を展開している【撮影=三佐和隆士】

「ディスプレイという産業は日本が圧倒的に強かった時代がありました。ところが、2009年くらいを境に急激に負け始めてしまったんです。我々のお客さんは日系メーカーがほとんどでしたから、一気にしぼんでしまいました。そこでやったことは2つです。1つは海外展開を進めました。そしてもう1つはディスプレイという『ひとつの産業に寄りかからない』という事業展開です。我々の技術は『ディスプレイを作ること』ではなく、先ほどもお話ししました『高分子材料の配合と塗布をコア技術とした機能性フィルムの提供』ですから、それを生かした事業を模索していこうとなりました。この考え自体は今も継続しています。そうしたなかで、アイデアを募るために『東京ビジネスデザインアワード(TBDA)』に応募することにしました」

TBDAは企業とデザイナーのマッチングを目指す、企業参加型のデザイン・事業提案のコンペティション。都内にある中小企業が持つ優れた技術や素材を、デザイナーの視点やアイデアを通すことで、新しいビジネスにつなげようという試みだ。

「TBDAでは、まず我々からデザイナーの方にアイデアを求めるために、肌に貼るシールのための『肌用感圧型転写シール技術』をテーマとして提出しました。肌に貼るシールは水転写式のものがメジャーなのですが、我々は水を使用せずに、簡単に貼って剥がせる肌用シールを開発しました。この技術は30年前には完成していたのですが、主力商品ではなかったので、お客さんから頼まれたら作るいわゆるBtoBtoCの方式でやっていました。そこでビジネスデザイン会社の『kenma(ケンマ) Inc.』が肌に貼って直接書けるメモシールを提案してくれて、プロトタイプとして『肌メモ』を開発しました」

肌メモは見事、TBDAの2016年度で優秀賞を獲得する。

「肌メモはあくまでもプロトタイプで、実際に売り出す製品ではありませんでした。TBDAの主旨としては、イノベーションを起こして企業とデザイナーが継続的に組んでいってほしいというものです。なので、我々もせっかくだから何かやっていきましょうということで、商品化に向けて動くことにしました。しかし、早々に肌メモの商品化は難しいという結論にいたりました。高すぎてダメだったんです。1枚100円くらいかかってしまうのですが、シールを剥がしてしまったらもう使えない使い捨てのもので、シールも薄すぎるので1回書くと書き直しができませんでした。そこで、手首に当てると巻きつくいわゆる“パッチンバンド”をメモ帳にしてはどうかというアイデアが出てきました。シリコンゴムのバンドに表面処理をしたら書いたり消したりすることができるのもわかって、それで商品にしていこうとなりました」


wemoのバンドタイプは7色を展開。薄い色が人気だが、濃い色は遠くからメモの内容が見えないという利点がある。1個1320円
wemoのバンドタイプは7色を展開。薄い色が人気だが、濃い色は遠くからメモの内容が見えないという利点がある。1個1320円【画像提供=株式会社コスモテック】

こうしてコスモテックとして初めてのコンシューマー(一般家庭向け)アイテムであるwemoが生まれた。「wemoに関しては波瀾万丈なことがない」と高見澤さんが語るほど、wemoの開発・販売は順調にいったという。

「我々はメーカーですから、作ることが本分です。こういうふうにすればできるだろうというイメージがあったので、何回か試作はしましたが、開発期間半年ほどで順調に形にしていけました。販路確保に関しても、展示会に出品したら取材もたくさん入り、販売店や問屋からも注目していただけたのでスムーズに進みました。我々から押し込むのではなく、販売店から引っ張っていただけたので苦労はなかったですね」

■株式会社コスモテック
ホームページ:https://www.cosmotec.ne.jp/

■wemo
ホームページ:https://www.wemo.tokyo/
オンラインショップ:https://store.wemo.tokyo/

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