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何でできているの?「インドカレー屋さんの謎ドレッシング」商品化のきっかけは開発者の“素朴な疑問”

2024/02/09 19:00
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インド料理店のランチセットとしてよく提供されるのが、カレーとナン、そしてサラダ。このサラダにかかっているドレッシングだが、大体がオレンジ色をしており、「何味か」と聞かれれば少し困ってしまう。スーパーやコンビニエンスストアなどの小売店で見かけることがなく、まさに「謎のドレッシング」だ。
 
そんな謎めいたドレッシングが、ついに商品化された。それが「ふえるわかめちゃん(R)」や「リケンのノンオイル 青じそ」などで知られる理研ビタミン株式会社(以下、理研ビタミン)が開発した「インドカレー屋さんの謎ドレッシング(R)」だ。
 
2023年に発売されたこのドレッシングは、名前のとおり“謎めいた味”としてSNSで話題となり、2024年2月現在で累計販売数130万本を突破する大ヒット商品に。今回は、理研ビタミン 食品企画開発部 ドレッシング企画グループの浅子よし絵さんに、「インドカレー屋さんの謎ドレッシング」の開発秘話や、人気に火がついた理由について話を聞いた。

「インドカレー屋さんの謎ドレッシング」(190ミリリットル/356円)。インド料理店のサラダにかかっているオレンジ色の“アレ”だ
「インドカレー屋さんの謎ドレッシング」(190ミリリットル/356円)。インド料理店のサラダにかかっているオレンジ色の“アレ”だ


実はみんなが気になっていた“謎のドレッシング”を再現するまで

「インドカレー屋さんの謎ドレッシング」は2023年2月に業務用サイズ(1リットル)が発売され、家庭用サイズ(190ミリリットル)を一部の小売店で先行販売したところSNSで話題沸騰し、先行販売にもかかわらず累計5万本もの販売数を叩き上げた。この想定外の反響を受け、2023年8月に正式に全国発売にいたった。

このドレッシングは、開発担当者のとある疑問から誕生したという。
 
「私は常々、インド料理店のランチセットに付いてくるサラダにかかっているオレンジ色のドレッシングがおいしいなと思っていました。ですが、フレンチドレッシングでもサウザンドレッシングでもありませんし、一向に正体がわからないまま。市販では同じようなものが売っていなかったので、『商品として開発したらおもしろいのではないか』と思い、企画を立案しました」

「インドカレー屋さんの謎ドレッシング」(1リットル)
「インドカレー屋さんの謎ドレッシング」(1リットル)

 
開発が始まったのが、今から2~3年前。コロナ禍により外出自粛が行われていた時期で、思うように外食できない状態が続いていた。そんななか、浅子さんは料理レシピのコミュニティサイトで、意外にもインド料理店のドレッシングを家で再現している人が多いことを知り、「それなら需要があるのでは?」と開発に乗り出したそうだ。
 
「どこのインド料理店に行っても大体似たようなものがかかっているのですが、それぞれお店によって微妙に味が違っておいしいんです。でも、ドレッシング自体はどこかに売っている様子もないし、業務用でも見たことがありませんでした。インターネットで調べてみると同じように思っている方も多くいらっしゃったので、けっこうみなさん気になっていたのだと思います(笑)」
 
浅子さんたち開発チームは都内のインド料理店を何軒か訪れ、その中で最もおいしく再現性の高いドレッシングを出す店をターゲットに定め、その店に足繁く通っては店長に材料を聞いたり、ドレッシングを別売りしてもらったりして研究を重ねた。このような地道な作業を続け、2年ほどの年月をかけて商品の開発に成功した。

調理例「カレー屋さんのサラダ」
調理例「カレー屋さんのサラダ」

 

謎が多すぎて開発は苦労の連続…発売後はすぐにヒットへ

“謎”とされていたインド料理店のドレッシングだが、その正体は何なのだろうか。浅子さんはヒアリングを重ね、“店の手作りドレッシング”であることを突き止めた。一般的にはタマネギをベースに、ニンジンや香辛料で色を着けているものが多いのだとか。最初は簡単にはレシピを教えてくれなかったり、店によってレシピが違ったりと開発のハードルは高く、どのような材料を使っているかを調べるだけでも苦戦したという。
 
また、技術的な苦労もあった。インド料理店では作ったドレッシングを短期間で使い切ってしまうが、市販用のものは常温流通で数カ月の賞味期限を持って販売しなければいけないため、菌の発生防止や味の劣化などを抑えられる保存が必要だった。「そのような工業的な問題をクリアして手作りの味を再現することが非常に難しかった」と浅子さんは話す。
 
「無事に開発が終わり、2023年の2月に業務用を発売したところ、SNSを中心に『インドカレー屋さんのあのドレッシングが出たぞ!』と大きな話題になりました。その後、少し遅れて家庭用のサイズを発売したのですが、最初は商品性をしっかり伝えるため、全国の生協の宅配商品から取り扱いを始めていただきました。宅配用のカタログには『あのお店で出されるサラダが家で食べられます』といった文言で宣伝を行いました」

調理例「カレー屋さんのポテトサラダ」
調理例「カレー屋さんのポテトサラダ」

 
すると、「生協でしか買うことのできない希少なドレッシングがある」と再度話題になったのだとか。その後はカルディでの販売を経て、全国展開が実現。その際には「人気になっている商品だからぜひ取り扱いたい」という小売店が多く現れ、全国のスーパーに並ぶように。そして2024年2月時点で、累計販売数が130万本を突破する人気商品となった。
 
「発売当初から爆発的な人気商品となったため、出荷本数を調整しなければならないほどでした。このようなことは今までなかったので、とてもうれしく感じています。ドレッシングは人によって好みが分散するので、ヒットを狙うのは難しいんです。ですが、今回はみなさんの『気になるけど、一体何なのかわからない』といったモヤモヤに着目し、商品化できたのがヒットした理由だと思います」
 

使い勝手のよさが魅力。開発者おすすめの食べ方とは?

「インドカレー屋さんの謎ドレッシング」は、タマネギやニンジンがたっぷり入った甘味が特徴。そしてオレンジ色をしているため、シンプルな野菜サラダにかけるだけで料理が鮮やかになるのも人気の理由のひとつだ。さらに、このドレッシングは野菜だけでなく、肉や魚との相性も抜群だという。
 
「このドレッシングは肉や魚にかけてもおいしくいただけます。特に、サラダチキンやサーモンの刺身などと相性がよく、いつもとは違う異国の味わいを楽しむことができます。また、料理にも使うことができ、ナポリタンのケチャップの代わりにしたり、鶏肉と和えてタンドリーチキン風にしたりといった使い方もできます。ちなみに私のおすすめは、やっぱり千切りキャベツにたっぷりのドレッシングをかける食べ方です!」
 
ちなみに、本場・インドでは野菜を加熱して食べるのが一般的で、生野菜を食べる習慣はあまりないそうだ。そのため、インド料理店で提供されているドレッシングは、実は日本独自のものだと言われている。将来的にインドで生野菜を食べる習慣が広まれば、「インドカレー屋さんの謎ドレッシング」がインドに逆輸入される日が来るかもしれない。

調理例「謎ドレナポリタン」
調理例「謎ドレナポリタン」

 
最後に、浅子さんに今後の商品の展望を聞いた。
 
「『インドカレー屋さんの謎ドレッシング』は、すごく使い勝手がいいのが特徴です。実際にSNSで反応を見ると、『このドレッシングを使い始めてから毎日サラダを食べている』という方も多くいらっしゃいます。普段のサラダにかけるだけでごちそう感が出て、食卓が彩られる商品ですので、まずは一度試してみていただけたらうれしいです」
 
開発担当者の素朴な疑問から生まれた、「インドカレー屋さんの謎ドレッシング」。理研ビタミンも予想していなかった大ヒットを記録したこの商品は、今後青じそドレッシングやシーザードレッシングのように、ドレッシングの定番になるだろうか。“謎めいた味”の行方に注目したい。
 
取材・文=福井求(にげば企画)

公式サイト:https://www.rikenvitamin.jp/

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