
さわやかな香りと上品な酸味を持つ、かぼす。焼き魚や揚げ物、鍋物などさまざまな料理のおいしさを引き立て、食卓になくてはならない名脇役です。
そんなかぼすの生産量日本一を誇るのが、大分県。「大分かぼす」と呼ばれ、なんと、全国の生産量の9割以上を占めているそうです。
古くから薬用として親しまれていた大分県のかぼす
「大分かぼす」は県内全域で栽培されており、臼杵市、竹田市、豊後大野市などが主な産地として知られています。
酸味と甘みが絶妙なバランスで減塩にも強い味方
「大分かぼす」の旬は8月から10月。3月中旬から8月初旬はハウスもの、8月初旬以降は露地ものが出回り、10月以降は露地ものを貯蔵しておき、年間を通して鮮やかな緑色の果皮と香りを保ったかぼすを出荷しています。
また、ミネラル由来の塩味・苦味・甘味が強く、魚や肉などの素材の味わいも引き立ててくれます。大分では醤油やドレッシングといった調味料の代わりにかぼすを使うのが当たり前だそう。塩分を控えながら料理をおいしく食べられるなんて…かぼすって本当に万能ですね!
「大分かぼす」をもっと楽しむ切り方と搾り方をご紹介!
「大分かぼす」の風味をより楽しむには、ちょっとしたコツがあります。実を横にしてカットすると簡単にたっぷり果汁を搾ることができます。横にカットした実はさらにくし形に切ると、搾った時に果汁が飛び散らないそうです。

切り口を下にして搾ると、種もたくさん落ちてしまいますが、上に向ければその心配もありませんね!

搾り汁を製氷皿で冷凍し、キューブ状にしてから密封容器に入れ直し、冷凍保存するのもおすすめ。1年ほど保存できるうえ、使いたいときに小分けで使えるので、とっても便利です。

「大分かぼす」を楽しむおすすめレシピをご紹介!
「大分かぼす」は、焼き魚や揚げもの、肉料理、麺類などに果汁をたっぷり搾るほか、輪切りにしてメイン料理に使ったり、デザートやドリンクに加えるのもおすすめです。その風味を存分に楽しめる2品をご紹介します。■鶏肉のソテー かぼす風味

鶏肉のソテー かぼす風味
材料(2人分)
鶏もも肉…2枚(400g)
かぼす…1個
塩…小さじ1/2
オリーブオイル…大さじ2
好みの付け合せ野菜…適量
作り方
1.鶏もも肉は余分な脂を取り除き、皮を包丁の先などで数か所突き、全体に塩をすりこむ。
2.かぼすは輪切りを2枚切っておく。残りのかぼすで果汁を搾り、ポリ袋に入れる。
3.2のポリ袋に1の鶏肉、オリーブオイルを入れ、袋をもむようにしてなじませる(できれば1時間以上漬け込んでおく)。
4.フライパンを中火で熟し、皮を下にして鶏もも肉に焼き色がつくまで焼く。
5.裏返して中に火が通るまで弱火で10分ほど焼く。皿に盛り、輪切りにしたかぼすをのせる。
■かぼすミルク(バナナ入り)

かぼすミルク(バナナ入り)
材料(2人分)
かぼす…1/2個
バナナ…1本
牛乳…200cc
氷…7片
作り方
1.かぼすの緑の皮を包丁で削ぎ取り、6等分に切る。種はできるだけ取り除く。
2.1と、手でちぎったバナナ、牛乳、氷をミキサーに入れて回す。
まろやかな酸味とさわやかな香りの「大分かぼす」は、和・洋・中どんな料理とも相性抜群。果汁だけでなく、スライスして香りと彩りを加えたり、皮を削って香りをより引き立たせたりと使い方もさまざま。大分県の自然の恵みをぜひ楽しんでみてくださいね。
文=岡田知子(BLOOM)