<この体験記を書いた人>
ペンネーム:夏子
性別:女性
年齢:45
プロフィール:同じ年の夫と私、子どもの3人で郊外の住宅街に住んでいる主婦です。毎日のんびり近所の公園を散歩して癒されています。



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20代後半の頃、仕事が楽しくて仕方がない時期がありました。
他の社員よりも早く出社して、夜10時過ぎまで会社にいる仕事漬けの毎日。
私がタイムカードを押す頃には、もう社長(60代くらい)と部長(50代後半くらい)しか残っていないことがほとんどでした。
勤務していた会社の社長は、ひらめきで仕事を振るタイプです。
私は長時間社内にいたので、社長が何かひらめいたときに話し相手になることが多く、そのまま仕事も任される流れになるため、社長との打ち合わせが他の平社員より頻繁にありました。
社長に振られた仕事をがむしゃらに形にしているうちに、社外の視察や出張で社長に同行する機会も増加。
業界の展示会などで社長と一緒にいるのを目撃されて、取引先に「社長の娘」と勘違いされたこともあります。
入社して数年後、私が開発に関わっていた商品が業界で評価され、とある賞を獲得したことがありました。
勤務していた会社では、年に1度その年に活躍した社員を表彰する制度があります。
その年は賞を獲ったということで、私が表彰されることになりました。
表彰式の後、同じ部署の人たちと雑談していると、先輩の男性社員(30代くらい)が「社長のお気に入りだから賞をもらったんでしょ」とポロリ。
言った直後に「やばっ」とでも言いたそうな顔をしたので、特に追求しませんでしたが...。
先輩の男性社員は同じ業界にいて同じ仕事をしているわけですから、社長の力で獲得できる賞ではないことくらい知っているはずです。
なんでそんなことを言うのか、とても不愉快でした。
後日、席が近い女性社員(30代くらい)と雑談していたとき、先輩の男性社員の話になりました。
「そう言えばあの人、夏子さんは社長の愛人だってうわさしてるよ」
「入社して何年もたってないのに、視察に同行させるなんて早過ぎるし怪しいって」
「賞のこともまだ社長が獲らせたって言ってる。気を付けたほうがいいよ」
などと言われ、とても驚きました。
思い返せば社長と一緒に出張する際、ホテルを手配する担当の社員(30代くらい)とこんな会話をしたことがあります。
「出張の部屋は社長と1部屋でいい?」
「別の部屋がいいの? じゃあ、ツインを2部屋にしておくよ」
そのときは冗談がキツイくらいに思っていましたが...。
現地に着いたら、私の部屋は本当にセミダブルのベッドが2つある広い部屋だったので「平社員だからシングルで十分なのになんで?」と不思議に思ったものです。
他にも会社の職人さん(60代半ばくらい)に「夏子さんは社長派だから」と妙にニヤニヤしながら言われたことも。
もしかしたら、あの男性社員以外にも愛人と思われていたのかもとギョッとしました。
社長とは小説やTV番組などの好みも合うため、仕事以外の雑談も他の社員よりかなり多かったと思います。
そんなところも誤解される原因になったのかもしれません。
仕事の打ち合わせは仕方がないですが、雑談はあんまりしないほうがよかったかなぁと反省しました。