「TOKYO CITYPOP CANDY」(写真左から)Carlos K.、ヴォーカルの夕七、TeddyLoid / ※提供写真
【写真】初お披露目、奄美出身の注目シンガー・夕七の歌唱シーン

新たな解釈でシティポップを発信するプロジェクトユニット「TOKYO CITYPOP CANDY」発のイベント「LAUNCH PARTY IN TOKYO!」が2月末に開催された。オリジナル楽曲「Candy Night」のお披露目を兼ねた同プロジェクトメンバーのTeddyLoid、Carlos K.、ヴォーカルの夕七に、同プロジェクトへの想いや、海外で盛り上がるシティポップの今などを語ってもらった。

TOKYO CITYPOP CANDYとは

MIYAVIのサウンドプロデューサーや、Adoの大ヒット曲「踊」などを手掛け国内外から注目を集めるTeddyLoidと、西野カナやLittle Glee Monsterで手掛けた楽曲がレコード大賞を2度受賞しているCarlos K.の2名がプロデューサーを務め、メインヴォーカルはライブ配信アプリ「17LIVE(イチナナ)」のライバー活動から本プロジェクトに抜てきされた夕七によるユニット。TOKYO CITYPOP CANDYとしてはこれまで、「Plastic Love(竹内まりや)」「DOWNTOWN(山下達郎)」「SPARKLE(山下達郎)」「真夜中のドア〜stay with me(松原みき)」「Fly-day Chinatown(泰葉)」といった名曲のカバー楽曲を発表。オリジナル楽曲は「Candy Night」が2月24日にリリースされている。

世界で注目されるムードミュージック・シティポップに熱視線

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ーーシティポップをリブートする「TOKYO CITYPOP CANDY」の魅力ややりがいについてお聞かせください。

TeddyLoid:シティポップの定義は諸説があるんですけれど、僕は“ルールがないムードミュージック”だと思っています。ムードミュージックは、近年サブスクで気軽に音楽が聴けるようになってすごく重要視されているジャンルなんですね。僕としては今まで自分がトライしてこなかったジャンルに挑戦できているというのも、とても光栄なことでエキサイトしています。

Carlos K.:シティポップは本当に今、世界中で人気になっていて、僕の故郷のブラジルでも今ものすごい人気です。僕も今まで作ったことがなかったジャンルですけれど、TeddyLoid君と一緒に曲を作れることもすごい楽しいし、自分のブラジルの方から反応があったり、携わっていて本当に楽しいですね。

TeddyLoid:コメントもすごいいただいていますよね。

ーーシティポップが海外で盛り上がってると聞くことが増えました。どのように盛り上がっているのでしょうか。

TeddyLoid:僕は毎月海外でDJをする生活をしていますけれど、アメリカでいうと、シティポップのイベントが多くあるんですよ。シティポップナイトみたいなクラブイベントがあって、そこでは現地のシティポップだけではなく、日本のシティポップが流れることも多くて。そういうのを目の当たりにして流行っているんだなって肌で感じますね。

Carlos K.:シティポップってやっぱりムードミュージックで、独特の雰囲気を作り上げているものだと思うので、僕たちは“今のシティポップ”を作っていますけれども、(ジャンルとしては)昔の懐かしさも、やはり新しさもあります。「これシティポップっぽい」と感じることもありますが、すごい魅力的なジャンルだなと思っています。

オシャレ感は世界共通

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ーームードミュージックが受け入れられているというのは、世界的なトレンドなのでしょうか

Carlos K.:たとえば、ブラジルはサンバとかだけじゃなくて、ボサノバも流行っていて。ボサノバも昔からあるジャンルです。シティポップは昔の曲なんですけど、その当時の雰囲気を感じる要素もあると思うし、“懐かしさ”は国境を越えてブラジル人も感じているのかなと。さらに、そこにビートが効いているからめちゃくちゃ面白いんですよね。いろいろな国の人達が“音楽の懐かしさ”を感じるようなエッセンスがシティポップに含まれていると思うんですよね。

TeddyLoid:あと…僕自信も、リスナーさんも多分そうだと思うんですが、シティポップを聴いているとなぜか「分かってる感じ」になるんですよね。「あ、このオシャレ感、僕分かってる」という感覚も楽しくて。シティポップを聴いている自分、というトレンドもありそうですね(笑)

Carlos K.:シティポップでは2大クラシックと言われている名曲があり、それが今回のプロジェクトでもカバーさせてもらった「真夜中のドア」「Plastic Love」です。実際にどういう広まり方をしていたかというと、TikTokでインドネシアのインフルエンサーの方がカバーしたりとか、YouTubeでカバー動画で広まっています。80年代の日本のダンスミュージックシーンがルーツだと思うんですけれど、そういったジャンルを全てムードミュージックというフォーマットで受け入れられる土壌がやはり世界中にあるんだと思います。

ーーシティポップは音楽的な特徴あるのでしょうか?

TeddyLoid:やっぱりボーカルミュージックであることがベースですね。ポイントは曲によっていろいろありますけど、やっぱり4つ打ちモノ(※四拍子で重低音のリズムが入る楽曲のこと)も多いですし、ちゃんとビートが効いているものが多い気がしますが、「決まった形はない」ものと僕は認識しています。ただ、昔のものをリバイバルしているだけではなくて、そこにまた新たなムーブメントが巻き起こっている感じはしています。

懐かしさと新しさ、TOKYO CITYPOP CANDYオリジナル楽曲として出来上がった「Candy Night」

「 TOKYO CITYPOP CANDY LAUNCH PARTY IN TOKYO!」より 夕七 / ※提供写真
ーーメインヴォーカルは、イチナナライバーとして活動をされている夕七さんを起用しています。夕七さんのどういう点がシティポップにハマったのでしょうか。

Carlos K.:僕たちが最初に夕七の歌声を聴いたのがカラオケボックスで、いろいろな歌声を聴かせていただいたんです。シティポップはやっぱりヴォーカルと雰囲気が大事で。歌はすごく上手だしいいなと思ったんですけど、いざシティポップにのったらどうなんだろうと思ってて、でも実際彼女の声が乗ることによって、新しい形になって、音楽として素晴らしいものができあがったんですね。雰囲気の出し方というか、空気の含み方なのか…何が上手なのか、僕でも何か分からないんですけど、夕七さんの歌声はもう本当に「シティポップ」なんですよ。(TeddyLoidに向かって)、夕七さんの歌声の何がシティポップぽいのか解明できます?(笑)

TeddyLoid:僕も制作作業をしていて、何だかタイムスリップした感じになるんですよね。Carlos K.さんは現代のトップクリエイターだけど、たぶん、昭和の時代に曲作っていてもトップクリエイターだと思っていて、そこに夕七さんの声が乗って。夕七さんも昔の時代で出会っていたとしてもきっとすごいなと思っていたから、「時代を感じさせない」という要素はありそうですね。

Carlos K.:本当に現代の人なんですかね。タイムスリップしてきたのかな(笑)

ーー夕七さんにお聞きします。TOKYO CITYPOP CANDYのメインヴォーカルとなりオリジナル楽曲「Candy Night」がリリースされました。どういう気持ちで臨みましたか?

本当にプロジェクトが始まった最初の頃は、私で大丈夫だったのかなとか、うまくいくのかなとか、いろいろ心配してたんですが。いざ始まったら歌うのが楽しくて。シティポップというジャンルをレコーディングすること自体がすごく楽しいです。今日(取材当日)が私にとって初の生ライブなんですが、生で私の歌声を届ける機会も今まであまりなかったので、今日のライブではシティポップの魅力を最大限にお届けしたいです。

ーーこれまでも「真夜中のドア」など名曲のカバーも歌われてきましたが、カバー曲はまた違った向き合い方がありましたか?

夕七:レコーディングする曲を最初に覚える時に本家の歌声を聴くんですけど、それをコピーしてそのまま歌うんじゃなくて、やっぱり新しい現在の解釈でミックスしていくので、夕七らしく自分の好きなようにナチュラルに歌うことは意識しました。そういったことを、毎回レコーディングでアドバイスされていました。

イチナナライバーから抜てき、奄美の歌姫・夕七の歌声の魅力

「 TOKYO CITYPOP CANDY LAUNCH PARTY IN TOKYO!」より 夕七 / ※提供写真
ーーご出身の奄美は元ちとせさん、中孝介さんといった奄美民謡出身の有名な歌手の方がいますが、夕七さんはクセのない歌声が印象的でした。

夕七:奄美っぽい歌、節を付けて歌うこともできるんです。テディさん、カルロスさんには普通に歌っていても、「ちょっと奄美のイントネーション入ってるよね」って言われました。

Carlos K.:最初、カラオケでやったときにすごい節回しの歌い方もされたんです。

TeddyLoid:目の前でそれ聞いて、僕らは結構衝撃を受けましたよね。すごく若いのにはこれは面白いなと思いました。喉の使い方とかうまいですよね。今回の曲はナチュラルに歌っているんですが、歌い方の演出ができるというのが素晴らしいんですね。

Carlos K.:節回してシティポップを歌っても面白いかもね(笑)

TeddyLoid:いつかそんな楽曲も生まれるかもしれないですね。

「 TOKYO CITYPOP CANDY LAUNCH PARTY IN TOKYO!」より 夕七 / ※提供写真
ーー奄美の方はやっぱり歌が身近なんでしょうか。歌手への想いは小さいころからあったのでしょうか。

夕七:歌手になりたいなっていうきっかけになったのが、高校生のときにミュージカルに歌う役で出演したことです。そのときに初めて大きいホールで人前で一人で歌声を届ける楽しさや感動を覚えて、歌手になりたい思いが強くなりました。

ーー普段は「17LIVE(イチナナ)」で、ライブ配信を通じてリスナーの前で歌われています。今後はリアルの場で観客の前で歌うこともあると思いますが、緊張しますか。

夕七:緊張してるんですけれど。本当にすごい貴重な機会なので、この空間を楽しんで、聴いてくださる方にも、私自身もシティポップを存分に楽しんでもらえたらと思っています。

TeddyLoid:僕らも、楽しめたらいいなと思っています。夕七ちゃんはライブ配信でも世界中からアクセスがあると思うので、同じ気持ちでやってもらえれば受け入れられると思います。TOKYO CITYPOP CANDYでカルロスさんと一緒にやらせてもらって、僕はすごく可能性が見えています。今回の新曲もいいものができたと思っていますし、次のアイデアもすごくあるので、引き続きCarlos K.さんと楽曲を作って夕七ちゃんの歌声を届けていきたいと思っているので、ぜひ期待してください。