新人漫画家の失敗と挑戦を描く…石山諒さんの『龍とカメレオン』番外編が話題 / (C)2023 Ryo Ishiyama/SQUARE ENIX
【漫画】“失敗”した新人にプロ漫画家が伝えた言葉に「めちゃくちゃ良いセリフ」と共感続出

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は「月刊ガンガンJOKER」にて連載中の、石山諒さんの作品『龍とカメレオン』(スクウェア・エニックス)をピックアップ。

不慮の事故により身体が入れ替わってしまったある二人の漫画家が、互いに“己”を証明すべく、プライドと誇りを懸けてバトルする“漫画道”を迫力満点かつ痛快に描いた本作。今回は、作者の石山諒さんが2月11日にTwitterに公開し8,000以上の「いいね」が寄せられ反響を呼んだ番外編描き下ろし漫画を、本編第1話とあわせて紹介する。この記事では、石山諒さんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについてを語ってもらった。

夢を追う若者の失敗と挑戦、周囲の人々のあたたかさを描いた番外編に反響

『龍とカメレオン』より / (C)2023 Ryo Ishiyama/SQUARE ENIX
漫画家志望の新人・真坂は上京して半年、毎週新しいネームを編集部に持ち込むもボツになる日々を繰り返していた。貯金も残り少なくなり上京した意味を自問自答する中、担当からの提案で急遽、人気漫画家・花神臥龍のアシスタントにつくことになる。

花神は、アニメ化・映画化もされた累計発行部数1億部超えの大ヒット漫画を世に生み出した“天才”漫画家。そんな花神の作業場を訪れ、リアルな現場の雰囲気と人の多さに圧倒される真坂。さらに、これまで一度もアシスタント経験がない真坂は、仕上げのベタ塗りを任された際、筆ペンからインクを大量にこぼしてしまい原稿をダメにしてしまう。

真坂が花神に恐る恐る報告すると、返ってきたのは「背景の描き直しは君に任せる!!」という意外な言葉だった。驚く真坂だったが、人気作の背景の1コマを描けることに興奮と喜びを感じ、先輩たちの助力を得ながらなんとか完成させる…。

漫画家志望の新人を主人公にしたこの番外編では、夢を追いかける若者の失敗と挑戦、そしてそれを支える周りの人々のあたたかさが、感情豊かな表情描写とともに描かれている。Twitter上では読者から「めちゃくちゃ面白い」「胸が震えるような気持ち」「世界観に引き込まれる」「ここ最近で1番熱くて面白かった!」など多くの感想コメントが寄せられ話題を集めた。

また、花神がプロの漫画家として真坂に向けた気遣いの言葉には、「その考えは無かった」「指導者としてめちゃくちゃ良いセリフ」「良い先生に巡り会えて良かった」など多くの声が寄せられ、反響を呼んでいる。

「頑張った末の失敗は、いつか成功に繋がって欲しい」作者・石山諒さんが語る創作背景とこだわり

『龍とカメレオン』より / (C)2023 Ryo Ishiyama/SQUARE ENIX
――『龍とカメレオン』はどのようにして生まれた作品ですか?

漫画家を題材に短いネームを一度作る機会がありまして(これは世に出ずボツになりました)、自分としては悩まずに熱を込めて描けたという手応えを感じました。なので漫画家漫画で連載を目指そう!と。“入れ替わり”は一つ非現実があった方が個性が出て、敷居も低くなるかなと思い捻り出した感じです。

――天才漫画家・花神臥龍と、“天才”を憎み野心を燃やす無名漫画家・深山忍、二人のキャラクターはどのように生み出されたのでしょうか。

花神は“豪快”をテーマに考えていて、初期はデザインもムキムキでした!そこに僕自身触れた事のある先輩作家の方々の優しさや、こうなれたら良いなという僕の憧れを足して出来上がったんだと思います。深山は花神とは真逆をコンセプトに考えました。卑屈だった頃の自分も入ってるのかもしれません、少しだけ!

――漫画家志望の新人・真坂が奮闘する姿を描いた番外編では、夢を持つ若者に対しての花神のあたたかい気遣いが垣間見えたのが印象的でした。読者からも多くの「いいね」が寄せられ話題を集めていますが、この番外編に込めた思いやテーマがあればお教えください。

「頑張った末の失敗は、いつか成功に繋がって欲しいな」と考えながら描き始めました!それがテーマだったのかもしれません。新人の失敗に対して花神がどういう対応を取るかは、描き始めは想定せずに進めていたのですが、真坂の背中をしっかり押してくれて良かったです。花神というキャラクターは、こういう人がいてくれたら良いですよねっていう僕の憧れの体現でもあるので、多くの方に反応していただけたのは嬉しい限りです!

――本作では登場人物たちの感情あふれる表情描写や、1ページごとに意匠を凝らした迫力ある構図もとても魅力的です。石山諒さんが作画する際にこだわっている点や、特に意識している点があればお教えください。

1番は読者の方が読みやすい・見やすい絵を描ければいいなと思い、頑張っています!迫力を出したい時や読者の方を驚かせたい時も、何が描いているか分かる上での構図を考えます。ページをめくって凄い絵が置いてあっても、何の絵か理解するのに時間がかかると驚きも薄まる気がするので。あとは毎ページ自己ベスト更新をモットーに。

――本作の中で、石山諒さんにとって特に思い入れのあるシーンやセリフはありますか?理由と共にお教えください。

短編の真坂というキャラクターに花神が「助かったよ、来てくれてありがとう!」というシーンは台詞とキャラの表情が良くて気に入ってます。あの場面で言われたら真坂が1番嬉しいだろう言葉を花神が言ってくれているのでホッコリしながら描きました。

それと1話目のラストページ、怪獣二匹(龍とカメレオン)が対峙している絵もお気に入りです!描くのがとにかく楽しかったので!

――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。

これからもより楽しんで頂けるように熱を込めて描いていきますので、引き続き『龍とカメレオン』よろしくお願いします!!