デビュー25周年を迎えた吉田羊 / Photo:Aya Kawachi
【写真】大泉洋とデュエットを披露した吉田羊

女優・吉田羊のデビュー25周年を記念して、12月にWOWOWにて「祝25周年!WOWOW冬の吉田羊まつり」を放送する。これまでに出演した映画、ドラマ、舞台、さらには自身初の音楽コンサートなどを12時間以上にわたって一挙放送。それに先駆けて、初放送となるコンサート「吉田羊NIGHT SPECTACLES THE PARALLEL」、舞台「ザ・ウェルキン」など、今回の放送作品についての思い入れを語ってもらった。

よくぞ25年続けてこられたなぁと自分で自分に驚いています

――25周年記念の「WOWOW冬の吉田羊まつり」、放送ラインナップを見るとすごく盛りだくさんですね。

そうなんですよ。こんなに吉田羊を連続で見ることなんて私でもないのでありがたいなと思います(笑)。

――25周年を迎えて、改めてどんな気持ちですか?

私は飽きっぽい性格なので、よくぞ25年も続けてこられたなぁと自分で自分に驚いています。やっぱりその中で、助けてくださる方がいて、手を差し伸べてくださる方がいてこそ、今があると思いますし、何よりもファンの方が応援してくださって、期待してくださるからこそ続けてこれたんだなと改めて感謝しています。25年、結婚で言うと“銀婚式”ですからね(笑)。

――年月の重さを感じます。作品を見る人も、「この作品は学生の時に見たな」とか、自分のこれまでと重ねて見る人もいると思いますし。

そうなんです。今、おっしゃってくださったように、見てる側の人生にも照らし合わせて、「この時、こんなことをやっていたな」って思い出しながら見ていただけると2倍楽しんでいただけるんじゃないでしょうか。

“怖いな”っていう気持ちも大きいです

――たくさん出られた作品の中から、放送ラインナップに選ばれたものはジャンルも幅広く、バラエティーに富んでいるなと思いましたが。

ジャンルが幅広く、舞台から映画、ドラマ、加えて音楽ライブ、さらにコントドラマみたいなものも含めて、幅広く放送していただけるので、いろんな側面から私を見ていただけそうだなって思います。特にお芝居をしている私に関しては、これだけ連続で見ていると演技のクセみたいなものも見えてくると思うので“怖いな”っていう気持ちも大きいです。作品の内容やタイプは違っていますが、連続して見ていくと既視感が出てくると思いますし、「さっきもこういう演技を見たぞ」ってなってしまうんじゃないかと。

――それも吉田さんの個性だと思いますし、役者としての魅力かと。

そう思ってもらえたら嬉しいんですけど(笑)。放送される順番もありますが、そのまま一気に連続で見ていただくのも面白いですし、録画しておいて、もう一回見る時に見る順番を変えてみるのも面白いんじゃないかなって思うんです。映画を2本見て、コントドラマを挟んでまた映画を見たり、舞台とかコンサートとか、違うジャンルのものを挟んだりして工夫してもらえると2倍、3倍と楽しめるんじゃないかと思います。

――確かに、いろんなジャンルがあるので、並び替えて見るのも良さそうですね。

私が任せていただいたお芝居って、割と感情を表に出す芝居が多かったりするので、泣いちゃう作品が続くと見る側も疲れちゃいますから、合間に違うものを挟んで、という見方もオススメです。

――今回、舞台「ザ・ウェルキン」が初放送ということになります。

「ザ・ウェルキン」はコロナで来場を諦めたという方も多かったと思いますし、4日間中止になったりしたので、見られなかったお客さんに今回お届けできるのがすごく嬉しいです。

――18世紀の英国を舞台にした作品なので、普段のドラマや映画の吉田羊さんとは違うお芝居も見られる作品ですね。

時代設定も国籍も違うので、違う人物として見ていただけると思います。18世紀の物語ですけど、どこか今の時代にも通じるものも感じられるので、昔の作品という感じがしないんです。気づけば日常生活や現代の令和に置き換えて見てもらえる、不思議な力強い作品です。いろんなテーマが盛り込まれていて、見る人によってどのテーマを抽出するかが違ってくるので、もし誰かと一緒に見られるのであれば、見終わった後、感想を話し合うとそれぞれの視点の違いがあって面白いと思います。

「吉田羊NIGHT SPECTACLES THE PARALLEL」 / Photo:Maiko Miyagawa

自分は6人目のTEAM NACSだと思っているので(笑)

――そして9月に行われたBillboard Live TOKYOでのコンサート「吉田羊NIGHT SPECTACLES THE PARALLEL」も初放送ですね。いろんなカバー曲を歌われて、これこそいつもと違う吉田羊さんが見られたステージだったと思いますが。

コロナ以降、ファンの方とお会いする機会が減ってしまっていたんですが、とても近い距離でやりとりができたので、すごく楽しかったです。普段、Instagramでコメントしてくださる熱心なファンの皆さんのお顔が一致したりして。ずっと小劇場の舞台でお芝居をやってきましたから、あの近さは安心感がありました。ましてや今回は、会場にいた全員が私に会いたいと思ってくださっていたわけですから、ウェルカムな空気感がとても暖かかったです。

――ゲストに大泉洋さんが登場されましたが、そこにも安心感が?

ありましたね。大泉さんは同年代で第一線で活躍されている方なので、もちろんリスペクトもありますけども、どこか同志という感覚も勝手に持っていて、自分は6人目のTEAM NACSだと思っているので(笑)、絶大な安心感がありました。

――セットリストはどのようなテーマで考えられましたか?

基本的には“私が歌いたい曲”とか“思い出の曲”ですね。あとは、俳優が歌うんだったらちょっと語りの入った曲がいいんじゃないかとか、ドカン!と会場で一緒に盛り上がれる曲とかを選びました。

「吉田羊NIGHT SPECTACLES THE PARALLEL」 / Photo:Maiko Miyagawa
――大泉さんとのデュエット曲はどのように?

デュエット曲ってたくさんありますけど、最近のデュエット曲ってあんまりなくて。私のファンの方の年齢層が幅広いので、だったらデュエット曲じゃなくても、年齢関係なくみんなが知ってる曲を歌い分けてデュエットしようかなって思ったんです。それでビリー・ジョエルの曲を選んだんです。若いファンの方で知らなかったという人もいたんですけど、このコンサートをきっかけに原曲を聴くようになりましたって言ってくれたり、このコンサートのセットリストでプレイリストを作って聴いてますって言ってくれたり、そうしたきっかけになったことも嬉しいですね。

――カバー以外にも、作詞もされたオリジナル曲の「colorful」も披露されていますね。

はい、そうです。今回、大泉さんがゲストに来られたので、大泉さんとご一緒したドラマをモチーフに歌詞を書いたこの曲で、図らずもそこがリンクして筋ができた気がしました。結果的に、全部に意味を持たせることができたかなって思います。

「嫌な女」を放送するのが嬉しかったです

――その大泉さんとのドラマ「2020年 五月の恋」も放送されますし、それこそ「がんばれ!TEAM NACS」のepisode1も放送されますし、全部がつながっていますね。

一見バラバラに見える作品たちも、いろいろなところで繋がっていたりするので、改めて放送番組一覧を見ると面白いなって思いますね。あと、個人的には映画で「嫌な女」を放送するのが嬉しかったです。あまりプラットフォームに出てこない作品なんですよね。これを見逃していたというファンの人も多くて、W主演ではありますけど、初めての主演作という思い入れのある作品なので、「待ってました!」というファンの方もいらっしゃるかなって思うんです。いろんな作品をまとめて見ていただこうとすると、普段だったらいろんなプラットフォームで見ないといけませんが、今回はWOWOWさんだけでまとめて見られるというのはファンの方も喜んでくださっています。ぜひたくさんの方に見ていただけたら嬉しいです。

取材・文=田中隆信