理想の未来「車屋2.0」に向けて徹底した透明性主義で中古車業販日本一に!バティカ中野優作社長が語る、中古車業界改革の裏側

東京ウォーカー(全国版)

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「中古車業販」と聞いて、どのようなイメージを思い浮かべるだろうか。昨今、一部の不誠実な販売業者による詐欺行為や不正行為がメディアに取り上げられていることもあり、「ダマされる」「怖い」といった印象を持ってしまう人もいるかもしれない。

そんななか、業界のイメージを一新しようと「透明性の徹底」を掲げる、株式会社バディカが注目を集めている。特に同社の代表取締役社長・中野優作さんは、YouTubeチャンネル「中野社長 / クルマの通販『BUDDICAダイレクト』」で「新車を作らず、愛車を作ろう。」というミッションのもと、損をしない車の買い方や売り方を発信している。

また、中野さんをはじめ、株式会社バディカ(以下、バディカ)の社員たちはSNS上で顧客対応を行うなど、ほかに類を見ないマーケティング戦略を展開しているのだが、なぜここまで徹底した経営をしているのだろうか。

今回は、中野さんにバディカおよび新会社バディカダイレクト立ち上げの経緯、さらに彼が思い描く中古車業界の未来について話を聞いた。

今回取材に応じてくれたのは、株式会社バディカならびにバディカダイレクト株式会社代表取締役社長・中野優作さん【画像撮影=西脇章太】


誰も損をしない業態を実現したい!バティカ創業の背景

ーーまず、バディカ立ち上げの経緯についてお聞かせください。

【中野優作】バディカ創業にいたった経緯はいろいろとありますが、まず2016年1月に株式会社ビッグモーター(以下、ビッグモーター)を離れて、株式会社ハナテン(以下、ハナテン)へと移籍しました。この企業は、ビッグモーターが大多数の株式を保持しており、もともとは東証二部に上場していた子会社でした。私の役割は、公開買い付けにより上場を廃止となったハナテンの再建だったのです。

【中野優作】その過程でさまざまな困難があり、それは私の著書『クラクションを鳴らせ! 変わらない中古車業界への提言』(幻冬舎)にも書いていますが、企業改革に際して、スタッフをクビにしたり、転勤させたりなど、強制的な措置を取ることが避けられない場面もありました。これが精神的にとてもつらかったんですね。なので私は、その当時一緒に働いてくれていた人たちに新たな居場所を提供したいと考えたんです。

2023年8月31日に発売された『クラクションを鳴らせ! 変わらない中古車業界への提言』(幻冬舎)【画像提供=バディカダイレクト】


【中野優作】同時に、ビッグモーターでの二代目社長の世代交代を経験し、これまで日本一の座を獲得し、自らの手腕に自信を持っていたものの、新しい経営陣と方向性が合わないと感じるようになりました。他社への転職も考えましたが、ハナテンで解雇してしまったスタッフたちのために、新たな受け皿を作ることにしたんです。

【中野優作】そうした想いから、2017年にバディカを創業しました。社名は「Buddy」(相棒)と「Car」(車)を組み合わせたもので、これには「過去の競争を超え、信頼できるパートナーとしての関係を築きたい」という願いが込められています。ビッグモーター在籍時代には、市場を切り取るような仕事をしていたこともあって、他社からの嫌がらせもたくさん経験しました。ただ、お客さまには常に愛していただいていたんです。

【中野優作】だから、今度はそういった乱暴なことは一切なしにしようと。「お客さまだけでなく、社員を含め、みんなの相棒として愛されるような組織を作ろう」というのが、社名の由来ですね。ちなみに、かつて一緒に働いていた人たちの多くはバディカに合流してくれています。

一流の営業パーソンの集団、それがバディカだ【画像提供=バディカダイレクト】


ーー現在、貴社は中古車業販日本一ですが、バディカ創業からしばらくは、中古車業販から離れていたと伺いましたが、なぜなのでしょうか?

【中野優作】まず、中古車業販から離れるという選択しか取れなかったというのがあります。また、中古車業販の市場が空いていたというビジネスチャンスがあったのも事実ですが、小売をしたくなかったのかどうかというと、記憶は正直曖昧なんですよ。ただ、ひとつ言えるのは、私がかつて所属していたビッグモーターと競合するような組織を作るのは嫌だったんです。

【中野優作】そこで「業界の力になれることとは?」と考えたときに、業界で働く人もそうですが、私自身商品を調達する能力にはとても自信があったので、私たちの商品を使って商売ができるような事業をしたかったんですよ。たとえばマーケットインしたときに、10ある市場を誰かが8、9と引いて、その分誰かが割を食うのではなく、10がそのまま活かせる商売がしたくて。何なら10を11、12と広げていけるようなことをしていきたいと考えると、やはり車の卸売りに徹して、アフターメンテナンスに関しては別の業者さんにお任せするほういいのではないか、というのが中古車業販から離れようと決めた発想のもとですね。

【中野優作】仮に私のような人が出てきて現社長に切られたとしても、私たちが車の在庫さえ持っておけば「うちの車を使って商売しろ」と言えば、その人はフリーランスになって車の販売営業ができますよね。こうしてコンサルのような業態で支援しようと思ったんです。そのためには何かしらタイトルが必要だと思ったので、そこから「業販日本一を取りに行こう!」と目標を掲げ、それが私たちの基本戦略となりました。

いろいろな人が助けを求めてバディカへ来店...そのワケとは

ーー「業販日本一」を目標に掲げ、現在の貴社に近づいていくのですね。

【中野優作】本当に少しずつ変化していったんですよ。最初は車を販売するつもりはなかったんです。当時、私はSNSもやっていなかったのですが、地元の香川県さぬき市が小さいこともあって噂になっていたんです。それこそ、看板は立ててないけど、おいしいからとお客さまがたくさんくる、知る人ぞ知るご飯屋さんみたいな感じでしょうか。

【中野優作】一応、中古車業販はしていたものの、来店された方には「うちは整備もできないし、買わないほうがいいよ」と言っていました。それにもかかわらず、友人やその知り合いくらいの方が毎日来店されるんですよ(笑)。理由を聞くと「いろいろなところに行ったけど、ぼったくられそうになった」と答える方が多かったんです。以降、他店がダメだった理由を、都度お客さまに聞くようになりました。

顧客の駆け込み寺のようになっていた当時のバディカ【画像提供=バディカダイレクト】


ーーそれほどまでに、中古車業販の実態が不透明だったということですね。

【中野優作】そうですね。私も当時は営業をしていたので、お客さまから直接そうした話を聞いているうちに、少しずつ罪悪感が芽生えてきました。同時に正義感も湧いてきて、中古車業界をどうにかしなければいけないなという想いが、日に日に強くなっていったんです。そこで試しに「カーセンサー」に在庫を掲載してみたのですが、これが思いのほか多く売れたんです。そこから徐々に、中古車業販がメイン事業になっていきました。

【中野優作】ちなみに当時は、車の本体価格を下げて諸費用で儲けるといった販売方法が業界の主流でした。2022年8月に中古車業界の問題が報道で明らかになりましたが、年々コーティング費用や補償費用が上がっていくなど、正直いつパンクしてもおかしくないくらいやりたい放題になっていました。

ーーもう歯止めが効かない状態だったんですね。

【中野優作】諸費用を競って上げていくのですが、その分本体価格は下げているので、一見とても安く見えるんですよ。たとえば、オークションで本体価格100万円の車を買ってきて80万円で販売するといったように。対して私たちは、100万円の車に諸費用を乗せて120万円で販売しているので、不審に思った方が私たちのところに来るんです。

【中野優作】ただ、車は頻繁に購入するものではありませんので、「店舗が立派で、CMも放映しているし、担当者も親切だから、まあ大丈夫だろう!」と思ってしまうんです。一応、法律の範囲内ではあったのですが、とても不透明な商売だったんです。創業当初、私たちのプレハブオフィスにお客さまが集まってくださったのは、こうした状況が背景にあったからだろうなと思っています。

そして2024年3月現在、来期の売り上げ目標は100億円。顧客の信頼が数字に表れている【画像提供=バディカダイレクト】


ほとんどの社員がSNSを運用!「透明性」を徹底するワケ

ーーそんな中古車業販の不透明性とは逆に、貴社は「透明性」を徹底していると伺いました。何でもほとんどの社員さんがSNSを運営しているそうですが。

【中野優作】中古車業販だけでなく、あらゆる業態で見ても、私たちほど透明性を徹底している会社はないと思います。いろいろな方に絡まれますし、嘘も言われたりするのでとても大変ではあります。もちろん、会社として勝機があるのは前提にありますが、これは僕の覚悟なんです。ただ、見る人が見たら、騙すことが割に合わないということはわかるんですよね。

【中野優作】一度騙したら、それがすべて自分に返ってくるので、普通に考えればやらないと思うんです。これまで業界では、車を購入するという思い切った決断が必要だから、多少は大丈夫だろうと思われていたかもしれませんが、実際に「何か騙されていないかな」という気持ちが少しでもあると、車選びが楽しくなくなりますよね。そんな気持ちを取り除いてあげるのが、私たちの役割だなと。

「一度騙したら、それがすべて自分に返ってくる」。ビジネスだけでなく、人生全般においても大切な教訓だ【画像提供=バディカダイレクト】


ーーそんな透明性を徹底するうえで、苦労したことなどはありますか?

【中野優作】やはり、強い心を持つことが大事だし、維持するのは大変だと思います。先ほどもお伝えしましたが、本当にいろいろな方に絡まれますので。これまでも数々の嫌がらせを受けてきましたが、普通にやっていたら心が折れてしまいます。ただ、私はそれらをネタにすると決めているんです。これは捉え方の問題で、常に攻撃されていることと向き合っていて思ったのは、アンチの方々は無料で第三者機関としての役割を果たしてくれているんです。

【中野優作】もちろん私たちは苦しいけど、常に見張られている感覚になるので、おのずとお客さまを騙せない環境がつくられるんです。つまり、お客さまにとってはプラスになりますよね。私が折れなければいいわけで。ですが、社員に対して「SNSとはこういうものだ」と浸透させるまでには時間が掛かりましたね。実際、絡まれて発信ができなくなってしまった社員もいますから。

ーーそうした社員さんたちには、どのように指導されているのでしょうか。

【中野優作】以前は公の場に顔を出すこと自体が珍しい時代でしたが、今ではSNSでの露出が当たり前になりました。もし自分の顔を出せないと言っても、現代の市場では通用しないでしょう。これは確定した未来で、私のようにYouTuberとして何十万ものフォロワーを持つ人間がいて、そこへあらゆる業界の方がそこに参入してきているわけですからね。社員には「そうした巨大な未来が待っているよ」という話をして、モチベーションの指導をしています。

【中野優作】また、SNSで発信していると、お客さまから感謝の言葉をいただいたりするんです。たとえば、お客さまがSNSを運営していて、担当している社員に直接感謝の気持ちを伝えられると、その社員もその喜びを共有したいので、SNSを再開するきっかけになったりするんですよ。

顧客からの感謝の気持ちが、社員の大きなモチベーションのひとつになっている【画像提供=バディカダイレクト】


ーーSNS上で発信をしているなかで、中野さんが最も印象に残っているお客さまからの感謝の言葉は何ですか?

【中野優作】そうですね。もうそういった言葉をいただいては、しょっちゅう泣いてますよ(笑)。なので一番を決めづらいんですが、最近刺さったのは、お客さまのお子さんが「赤い車がほしい」と言っていたのでトヨタの赤いプラドを購入されたときの話ですね。お子さんがとても喜んでくれて、その様子を動画にして送っていただいたのですが、これは号泣しましたね...。

【中野優作】ほかにも世話になった車を、最後に手がカサカサになるまで洗ったというお話をしていただいて、最後には「バディカダイレクトに出合えてよかったよ」と言ってもらえたりします。その場面を想像すると泣けてくるんですよ...。

【中野優作】また、これまで業界の不透明な様子を見てきたので、お客さまから「最初は怖かったけど、バディカなら安心して購入できました」といった声をいただくとかなりグッときますね。あらためて車を移動手段としてだけではなく、お子さんやそのご両親、大切な友人との思い出など、人生の貴重な瞬間を提供させていただいているのだなと感じます。

ーー業界が変わっていく様子を見ているようで感慨深いですね。

【中野優作】絶対信用できる存在でありたいんです。たとえば、大手の家電製品を購入して保証書をしっかりと保管している方はけっこう少ないと思うんですよ。それは企業への圧倒的な信用があるからそうなっているわけで、私たちが目指しているのはまさにそこなんです。私たちは中古車業販者なのでそこまではいかないにしても、「バディカなら悪いようにはしないだろう」という安心感だけは絶対に担保してあげたいんですよ。

【中野優作】展望としては、まず私たちの店舗に行列ができて「うちでは売り切れないから、ほかの会社の店舗を通じて商品を届けさせてくれ!」と言えたら理想ですね。利益も折半にして、その後の車検などのメンテナンスをお任せして、その会社も儲けられるような構造にできたらいいなと。仮に不透明な行いをしたら、バディカのライセンスを剥奪するというようなガバナンス体制を構築していきたいなと思っています。

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