大人にも人気、初のWi-Fi搭載機種「たまごっちユニ」。企画の原点にペットらしさとコミュニケーション

東京ウォーカー(全国版)

X(旧Twitter)で
シェア
Facebookで
シェア

1996年に誕生し、爆発的にヒットした携帯型育成玩具「たまごっち」。2023年7月に35の国と地域で同時発売された最新機種「Tamagotchi Uni(たまごっちユニ)」では、シリーズで初めてWi-Fiが搭載され、世界中のユーザーが育てるたまごっちと交流できるようになった。株式会社バンダイのトイディビジョン グローバルトイ企画部の岡本有莉さんに話を聞いてみると、スペックの向上だけでなく、時代の変化に合わせてユーザーにたまごっちをより身近に感じさせるための工夫が見えてきた。

株式会社バンダイ トイディビジョン グローバルトイ企画部 企画1チームの岡本有莉さん【撮影=山本晴菜】


3つの「ユニ」

――はじめに「たまごっちユニ」の特徴を教えてください。
【岡本有莉】「Tamagotchi Uni(たまごっちユニ)」には3つのユニポイントがあります。1つ目は「Unique(ユニーク)」で、自分だけの個性的なたまごっちを育てられるようになっております。たまごっちが性格を持って生まれてきて、活発な子ならお部屋を走りまわったり、シャイな子なら端っこでモジモジしていたりと普段の仕草も違います。また、たまごっちにアクセサリーを付けてコーディネートできるので、見た目をカスタマイズすることができます。

【岡本有莉】2つ目は「Unite(ユナイト)」で、友達同士の通信遊びがより充実しました。本体同士の通信機能は以前からありましたが、自分のたまごっちを友達のたまごっちと一緒に遊ばせてパートナーになったり、おそろいのハンドメイドアクセサリーを作ったりできます。

今まで国内向けのたまごっちはパステルカラーを使ったデザインが多かったが、世界同一機種を発売するにあたりビビッドなカラーに【撮影=山本晴菜】


【岡本有莉】3つ目は「Universal(ユニバーサル)」です。たまごっちたちのメタバース「たまバース」という場所があり、世界中のユニークなたまごっちたちと、たまごっちを介してコミュニケーションをとることができます。

【岡本有莉】「たまバース」には「たまアリーナ」というスタジアムがあって、そこでは世界中のたまごっちが2つのチームに分かれてシーズナルのミニゲームで競い合うイベントが毎月開催されています。そのほか、たまバースで出会ったたまごっちとデートしてパートナーを探したり、一緒に旅行したり、「たまファッション」という施設で世界中のたまごっちたちのコーディネートを見たり買ったり、もしくは自分のコーディネートを飾って自慢したりということも可能です。

「たまアリーナ」ではシーズナルイベントを開催。秋にはお月見とウサギをテーマにしたジャンプゲーム、ホリデーシーズンにはクリスマスツリーにオーナメントを集めて飾り付けるゲームなどを企画した【撮影=山本晴菜】


――リアルタイムで交流できるのですか?
【岡本有莉】安全面を考えて、リアルタイムで直接やりとりするという方法ではなく、世界中のたまごっちのデータがサーバーに集められ、そのたまごっちが自分の筐体に来るという形です。自分のたまごっちも「こういうコーデをした『たま日本』の◯◯さん」というふうにサーバーに登録されて、誰かの筐体に行きます。

――イベントにはどのくらいの人が参加されるのでしょうか。
【岡本有莉】最近は5万人くらいが参加することもあります。Wi-Fi機能があるおかげで、我々とユーザーもWi-Fiを介してつながることができるので、どれくらいの人が参加してくれたのか、どんなたまごっちが一番育てられるのかといった情報を得ることができます。もちろん個人情報まではわかりませんが、たとえばイベントやアクセサリーの人気をリアルタイムで見ることができるので、「今度はこういうイベントにしよう」「同じようなタイプのアクセサリーを配信しよう」と参考にしております。

――Wi-Fiを搭載する前は、そういった情報はどう集めていたのでしょうか。
【岡本有莉】商品に付いているアンケートの回答や実地イベントで、ユーザーの方がどういったものを求められているのか考えていました。「たまごっちユニ」ではユーザーの方の反応が早く届くだけでなく、我々から筐体にメッセージを送ったり、アイテムを配信したりできるので、今までよりもフィードバックのスピードがアップしたと感じております。

――Wi-Fiを搭載したことで、随時更新されるのですね。
【岡本有莉】スマホのOSアップデートのように定期的にアップデートがあり、新しい遊びやアイテムを追加しています。初めての運営型商品で、長く遊んでいただけるところも「たまごっちユニ」の魅力です。

――「たまバース」のアイデアはどのように生まれましたか。
【岡本有莉】今まで海外と日本でそれぞれ違うシリーズを発売していましたが、どちらも認知度や人気が高まってきたので、世界同時で同仕様の筐体を発売することになりました。これまでもWi-Fi機能を搭載するという案はあったのですが、特に海外ではWi-Fiを入れていないご家庭も多くありました。「たまごっちユニ」はちょうどコロナ禍に企画が始まって、世界中の家庭にWi-Fiが広まった時期でもあったので、Wi-Fiを使って世界中の人がつながれる筐体がいいのではないかと考えました。

ペットらしさとコミュニケーションが企画の軸

――新作の企画をする際に、大切にしていることを教えてください。
【岡本有莉】たまごっちはデジタルペットであるということをとても大切にしております。そのため企画の際には「ペットらしさってどういうものだろう」というところからブレストがスタートします。今回は「同じ犬種のワンちゃんでも、うちの子ってわかるよね」というところから、ユニークなたまごっちというアイデアが生まれました。

生活の変化に合わせて、たまごっちをお世話する方法も変化させているという【撮影=山本晴菜】


【岡本有莉】また、ユーザー同士のコミュニケーションという点も初代のころから大事にしております。通信機能がない初代のものでも、シークレットキャラクターなど珍しいたまごっちがいることで「どうやってそのキャラになったの?」といった会話が生まれていたと思うんです。そういうことを大切に、たまごっちには友達と遊んで楽しい機能をたくさん入れてきました。

――2014年から搭載の「たまシッター」や「たまSNS」なども話題になりました。新たな機能はどのようなきっかけで生まれているのですか?
【岡本有莉】たまごっちはデジタルペットなので、電源のオンオフができません。ユーザーの方と同じように時間を過ごすので、ユーザーの方のライフスタイルや時代の変化を常に反映してきました。

【岡本有莉】コロナ禍ではデリバリーを利用する方が増えたと思うのですが、前作の「Tamagotchi Smart(たまごっちスマート)」からは、たまごっちが注文すると配達員がごはんやおやつを届けてくれる「たまデリバリー」が登場しました。たまごっちがより身近に感じられますし、家族を見て自分も体験したいと思っていたデリバリーサービスを、たまごっちの中でできるのも魅力かなと思います。

――たまごっちの世界も時代によって変化しているのですね。
【岡本有莉】「たまデリバリー」の前はファミリーレストランのような場所に行って食べていたのですが、コロナ禍になってからは「最近はあまり行かないよね」など、世間や自分の生活を振り返ってみて、最近のトレンドは何かということをよく話しています。

平成レトロブームも後押し。10代〜30代のユーザー増

――前作の「たまごっちスマート」からはウェアラブル型になりましたが、サイズ感や形はずっと変わらない印象です。その理由を教えてください。
【岡本有莉】たまごっちといえば、たまご形の液晶画面に3つのボタンと認知されていて、海外ではキャラクターよりも筐体の認知がとても高いんです。たまごっちの象徴として、ブランディングとして守り続けています。

ボタンの操作方法は基本的に初代から変わっていない。「平成レトロブームで大人の方も手に取ってくださいますが、操作方法を覚えてるという方もいらっしゃいます」と岡本さん【撮影=山本晴菜】


【岡本有莉】一方で、実はサイズ感はいろいろと変わっていて、ユニはシリーズの中でも比較的小さめの筐体です。海外ではもっと大きくてフィギュアが付いたものなどもあり、遊びのテーマやターゲットによって変えています。

――ユーザーはどの年代が多いのでしょうか?
【岡本有莉】多いのは6歳〜8、9歳くらいですが、「たまごっちユニ」の特徴として、20代や30代の方で過去に遊んだことがある方や、平成レトロブームでたまごっち自体の露出が増えたことにより、10代の方もおしゃれだということで、液晶画面がカラーになって以降では最も多く、大人の方にもご購入いただいております。

――これまでのターゲットの変遷について教えてください。
【岡本有莉】初代のころは女子高生を中心にヒットして、お子さんなど幅広い世代の方にも人気が広がりました。アニメが2009年に始まり、キャラクターのデザインはポップな感じになって、小学生の女の子向けの筐体が続いていました。トレンドも取り入れて、たとえば2012年に発売した「Tamagotchi P's(たまごっちぴーす)」は当時流行っていたキラキラ系の筐体にするなど、かわいいデザインが続いています。

【岡本有莉】2016年に発売した「Tamagotchi m!x(たまごっち みくす)」では、たまごっちが「お母さん似」「おじいちゃん似」と遺伝子を受け継いでいくのですが、ここで幅広い方に注目していただき、2021年に発売したウェアラブル型の「たまごっちスマート」でデザインがシンプルでクールな感じに一新したあたりからさらにユーザー層が広がりました。

「Original Tamagotchi」を手にする岡本さん【撮影=山本晴菜】


――大人のユーザーが増え始めたのは、いつごろでしょうか。
【岡本有莉】北米や欧州など海外で販売している「Original Tamagotchi」は、数年前から人気が出ているシリーズで、日本でも逆輸入のような形で2022年から発売しております。海外でケイティ・ペリーさんなどセレブの方が、たまごっちを身につけていたことがあって、そのころから懐かしいレトロなファッションアイテムとして話題になってきました。特に10代、20代の方が購入されて、少しずつ大人の方にも知名度が広がっています。海外だと50種類以上の柄を展開していて、自分が好きな柄を見つける楽しさというのも話題になった理由かと思います。

――最後に、たまごっちの今後の展望を教えてください。
【岡本有莉】たまごっちは「ペットであること」と「コミュニケーション」というふたつの軸を大切にしております。今回の「たまごっちユニ」ではWi-Fi機能を搭載したことで、お世話遊びやペットらしさ、コミュニケーションという点でかなりスペックが上がったのですが、ハイスペックというところだけに限らず、普遍的なペットという存在をより多くの方に届けていきたいと思っております。今後もペット・生き物らしい特徴は守っていきたいですね。

この記事のひときわ #やくにたつ
・時代や生活の変化を反映すると、より親近感が生まれる
・長く愛されるには「変えること」「変えないこと」の見極めが大切

この記事の画像一覧(全6枚)

キーワード

テーマWalker

テーマ別特集をチェック

季節特集

季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介

いちご狩り特集

いちご狩り特集

全国約500件のいちご狩りが楽しめるスポットを紹介。「予約なしOK」「今週末行ける」など検索機能も充実

ページ上部へ戻る