外国人のほうがむしろ知っている「忍者体験カフェ」とは!?外国人観光客に絶大な人気!!修行ができる体験型カフェの魅力に迫る!

東京ウォーカー(全国版)

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インバウンドの需要が順調に回復を見せている昨今。外国人観光客が集まるホットスポットとして注目を浴びている「忍者体験カフェ」をご存じだろうか?忍者のコスチュームに身を包み、手裏剣や吹き矢、刀といった修行が楽しめるエンターテインメント空間として、今大きな盛り上がりを見せている。日本を来訪する外国人観光客の最近の動向として、日本ならではの体験を求める傾向が見受けられる。“忍者”という日本古来の独特な文化も然り。今回は、そんな忍者の修行体験を提供している株式会社Nilgramの代表取締役社長・齊藤雅大さんに、「忍者体験カフェ」の楽しみ方や、運営するきっかけについて話を伺った。

代表取締役社長の齊藤雅大さん【撮影=三佐和隆士】


伝統的な日本文化とモダンなカフェ文化が融合!「忍者体験カフェ」ってどんなカフェ?気になる体験&カフェメニューを紹介!

ーー「忍者体験カフェ」とはどのようなコンセプトのカフェですか?
【齊藤雅大】「忍者体験カフェ」は、日本を代表するカルチャーのひとつ“忍者”をテーマにした、体験型エンターテインメントカフェです。お客様には忍者のコスチュームを着て、忍者修行を体験していただき、忍者をイメージしたオリジナルメニューを楽しんでいただきます。外国人のお客様にとっては、日本文化を実際に体験して触れていただけるユニークなカフェになっています。

ーー「忍者体験カフェ」の体験メニューとカフェメニューについて教えてください。
【齊藤雅大】体験メニューは、小太郎、自来也、半蔵、佐助の4コースがあります。これらのコースは、食事やコスチュームの有無によって分かれていますが、すべてのコースに基本メニューとして手裏剣と吹き矢、刀の3つがセットになった忍者修行体験が付いています。

【齊藤雅大】ただ、日本人と外国人のお客様で、楽しみ方が違う傾向があるんですよ。日本人は、お子さんだけ忍者修行と忍者服、ドリンクがセットになった自来也コースを注文して、付き添いの親御さんがドリンクを追加注文するパターンが多いですね。お子さんが忍者体験をしている間、お茶をしながらお子さんの写真を撮ったりする感じが日本人のスタンダードになっています。一方、外国人は、フルで楽しめる佐助コースが圧倒的に人気ですね。全員が忍者服を着て盛り上がっています(笑)。今日も午前中にシンガポールからきたファミリーが全員忍者になっていましたよ。忍者服のまま食事も楽しんでいただきました。

小太郎、自来也、半蔵、佐助という4つの体験メニューが用意されている【撮影=三佐和隆士】

巻物をイメージした遊び心あるメニューは、日本語と英語の2パターン用意されている【撮影=三佐和隆士】

ーー忍者姿でテーブルを囲んで食事をしているのってシュールですね。
【齊藤雅大】外国人のお客様は、「NINJA LAGER」というビールで乾杯したり、横綱昇進のときの祝いの席で見かけるような大きな盃で、日本酒を飲んでいるところを写真に撮っていかれています。

大きな盃で飲む日本酒「忍者」や、「NINJA LAGER」というビールも、人気メニューのひとつ【撮影=三佐和隆士】

ーー本当にお酒を入れて、そのまま飲み干すんですか?
【齊藤雅大】もちろんです!この大きな盃に「忍者」という銘柄の日本酒を1合ドボドボ注いで。めっちゃテンションがあがるじゃないすか。外国人観光客にとって日本でこれが出てきたら(笑)。やっぱりこういうディティールが大事なんで。

【齊藤雅大】そのほかに、カフェメニューは、手裏剣の形をした忍者カレーや、竹墨入りの黒いニンジャーエールが人気です。ニンジャーエールは刀の形をしたマドラーが刺さっているんですよ。見た目にも楽しいメニューがそろっています。

ーー外国人はわくわくするでしょうし、写真に撮りたくなっちゃいますね。ちなみに味は?
【齊藤雅大】忍法がかかったジンジャーエールです(笑)。

「忍者体験カフェ」の背後にあるビジネス戦略!観光産業への新たな挑戦

ーーなぜ、「忍者体験カフェ」を買収しようと考えたのでしょうか?
【齊藤雅大】我々は、大企業やファンドにコンサルティングを提供している会社なんです。それに加え、いろんな会社を買って成長させていくことも主な仕事ですが、そこでひとつ大きく注目したのが観光産業なんです。今後、日本の基幹産業のひとつになるだろうと考えていて、もともと進出の機会を探っていました。そんななかで、忍者って外国人が知っている日本のカルチャーとして王道だけど、大手企業が手掛けているイメージがないんですよね。ですから、忍者を扱ったらおもしろいと思ったのが理由です。

もともと観光産業に注目をしていたという齊藤さん。そのなかで忍者をコンテンツに展開することを選んだ【撮影=三佐和隆士】


ーーそのころはまだコロナ真っ最中?
【齊藤雅大】コロナが流行り始めたぐらいですね。

ーー店舗展開について教えてください。
【齊藤雅大】現在は、東京の浅草店と原宿店のほかに、京都の祇園店と大阪の道頓堀店の4店舗体制で運営しています。以前は、別会社が浅草店のみで運営していたのですが、当社が買収して経営に携わるようになりました。店舗ごとにデザインが異なっていて、若干違った体験を提供しています。たとえば、祇園店では、和食店を改装した空間で、より歴史的な雰囲気の中で忍者体験が楽しめたりするんです。

ーー最初は浅草の1店だけでしたよね。そのあとは、どういう順番で展開していったのですか?
【齊藤雅大】今は、関東と関西に2店ずつ出店しています。昨年(2023年)5月に原宿店をオープンさせ、8月に祇園店、10月に道頓堀店という順番で支店をオープンさせました。

ーーそこは完全にインバウンドを意識して場所を選んだんですか?
【齊藤雅大】メインターゲットはインバウンドを意識しています。でも、もちろん国内のお客様にも楽しんでいただきたいので、両方のお客様に来ていただきやすいような場所っていうことで、候補地を絞りました。ですから、インバウンドの方だけでにぎわっている場所に出店するというイメージはありませんでした。

“忍者”という日本古来のイメージを守りつつエンタメ性をプラス。「忍者体験カフェ」ならではの、楽しませるおもてなしサービスとは?

ーー前のオーナーから引き継いだあとに、新たに始めたサービスはありますか?
【齊藤雅大】店によって異なりますが、いくつかありますよ。大きな部分では仕掛けを作りました。浅草店と原宿店には回転扉を取り付けて、忍者が消えるアクションが楽しめます。道頓堀店は2Fの小さな隙間から吹き矢を吹いたり、祇園店には畳の間を作って、より本格的な剣術修行を体験していただけるようになりました。

ーースゴいですね。回転扉があったら、仕掛けを知らない外国人が見たら、驚いて盛り上がりそうですよね。
【齊藤雅大】そうなんですよね。大体の人がビックリしてくれています。壁の中から人が出てくるんですから(笑)。

回転扉が仕込まれている原宿店の壁。裏側から忍者がスッと現れるギミックが楽しめる【撮影=三佐和隆士】


ーー1日あたり、どれぐらいの来店客がいますか?
【齊藤雅大】店舗によって違うのですが、平均すると月に千数百人ぐらいですね。浅草が一番集客力が多く、1日40人ちょっと来店していただいています。分刻みのスケジュールで動いているのですごく大変です。

ーー滞在時間は、平均どれぐらいですか?
【齊藤雅大】選んだコースにもよりますが、体験を含めて1時間程度でしょうか。時間で区切っていませんが、平均するとそんな感じですね。食事をされると2時間ぐらいが平均です。

ーーどの国から来店される方が多いですか?
【齊藤雅大】アメリカ、フランス、オーストラリアです。

ーーお客さんから掛けてもらった言葉で印象に残っている声はありますか?
【齊藤雅大】このカフェを購入した当時、私自身もオペレーションを理解しておかなければと思ったんです。そこで、会社のメンバーと一緒に、忍者のコスチュームに身を包んで何度もお店に出ていました。そのときに、兵庫県から来られたお客様から「ディズニーランドよりもたくさん写真を撮った!」って、言ってもらえたことが、すごく印象に残っていますね。

コスチュームに身を包んだ忍者のスタッフがおもてなししてくれる【撮影=三佐和隆士】


ーー実践してみて、気が付いたことはありましたか?
【齊藤雅大】みなさん忍者を楽しみには来店してくれるんですが、その場がすごく楽しくなれば、多分、忍者じゃなくてもよかったんだろうなと気が付きました。店でバルーンアートとかを作ったりもしますが、みなさん楽しんでくれるんです。でも、バルーンアートと忍者は関係ないじゃないすか。結局、旅に来て、忍者というコンテンツを切り口に、「あの店、すごく楽しかったよね」という感じに思ってもらえればいいんです。ですから、忍者は、楽しむためのひとつのきっかけに過ぎないんですよね。

【齊藤雅大】私は以前、割と大きなコンサル会社に勤務していました。そこで海外出張に行っていたのですが、向こうの文化に触れるだけだと、まぁ勉強にはなるけど、そこまで楽しいことは多くはなかったんですよね。でも、出張を通じて印象的なことが起きると、やっぱりすごく楽しかったという思い出になるので、文化を伝えたいとか、そういう偉そうなことを言うつもりはなく、ただ楽しんでもらえればいいなと思っています。

ーー忍者って純粋に和の世界観ですよね。有名なテーマパークではハロウィンやクリスマスなど、季節ごとにイベントを打っていますが、「忍者体験カフェ」の場合はそういうイベントはどうされていますか?
【齊藤雅大】やはり忍者は、世を忍ぶのが基本なんですよ。ですから浮き世のものには流されません(笑)。

「忍者体験カフェ」が単なる観光地ではなく、来店者にとって忘れられない体験を提供する場所であることを強調した齊藤さん。そんな注目のスポットは、新型コロナウイルスが5類に移行して以降、多くの観光客が訪れるようになり、店舗数を拡大して需要の多さにいち早く対応。楽しさと学びを同時に提供し、日本の伝統文化とエンターテインメントの融合を体現して、多くの人々を引きつけている。こうした「忍者体験カフェ」のサービスは、日本が世界に提供する新しい観光価値を見出した革新的なビジネスモデルの例と言えるだろう。

取材・文=北村康行、撮影=三佐和隆士

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