紀伊国屋書店ビジネス部門ランキング3位、無期限活動休止中のてんちむさんの新刊が好調。著者に聞く、企画の狙いと裏側

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今回取り上げるのは、ユーチューバーてんちむさんの新刊『推される力 推された人間の幸福度』。紀伊国屋書店ビジネス部門ランキング3位も獲得した本書について、著者である秋カヲリさんの話を交えながら、躍進の秘密に迫る。

『推される力 推された人間の幸福度』について、秋カヲリさんに話を聞いた。

ーー『推される力 推された人間の幸福度』の発行にあたって想定した読者像を教えてください。
てんちむファンはもちろん、ブランディングや自己プロデュースの方法、逆境に置かれたときのメンタルを鍛えたい人です。ファン以外にも手に取ってほしかったので、通常版のカバーはあえて本人の写真を使わず、イラストにしました。

ーー『推される力 推された人間の幸福度』の目玉となるポイントは？
壮絶なノンフィクションのSNS逆転劇から、読者自身の幸福観や生き方を見つめ直せる点です。YouTube動画もQRコードで読み込めるようにしていて、どのように見せていたかという”表”の部分を見ながら、リアルすぎる“裏”の葛藤を知ることができます。

ーー『推される力 推された人間の幸福度』のアイデアはどのようにして生まれたのでしょうか？
てんちむさんの本を作るにあたり、彼女のすごさを伝えるなら炎上からの5億円返済だと考え、それを徹底的に深ぼることにしました。客観的にライターが本人＋関係者に取材して書くことで冷静に分析し、かつ活動休止に至る幸福観の変遷にも迫りました。

ーー読者へ伝えたいことはありますか？
お金や人気で幸せにはなれない、向上心は呪縛にもなる。持続する平穏を幸せを感じることこそが幸福である、とお伝えしたいです。また、インフルエンサーの裏側にある努力や葛藤について知ることで、想像力を持って相手を見ることが大事なのだと理解していただけたらうれしいです。

SNS逆転劇の裏側がわかる

星天出版から2023年11月に発行された書籍『推される力 推された人間の幸福度』(著／てんちむ・秋カヲリ、1700円)は、炎上から半年で約5億円を返金し、2023年9月に無期限活動休止をしたユーチューバー、てんちむさんの半生を追うノンフィクション型実用書。著者のてんちむさん自身は活動休止中ながらも、発売翌週に紀伊國屋書店新宿本店“単行書週間総合ランキング”で4位、“ビジネス書週間ランキング”で3位と、大きな注目を集めている。

見どころは、てんちむさんの大炎上から半年で5億円を支払ったSNS逆転劇の裏側と、無期限活動休止に至る葛藤。バッシングも追い風にしたてんちむさんの戦略と行動力、SNSコンテンツ作りやブランディングの秘訣を明かす1冊に仕上がっている。

てんちむさんによるコメント

なお、著者のてんちむさんは、今回の書籍の発刊に際し、次のようなコメントを寄せている。

「この本は『私を知ってほしい』とかよりも、だれかが生きるうえで辛いことがあったとき、ちょっと荒治療かもしれないけど、乗り越えることや諦めて受け入れること、マインド含め、何か得られるものがあったら、と思って作りました。今回の本は、要らない見栄や理想を省きたかったのと、私自身が客観視した私を見たかったので、ライターさんに書いてもらっています。この本を読んだあなたは、私に対してどんな印象を受けるんだろう。強い？自立？自由？破天荒？想像通り？私はこの本を読んで『とても頑張ってるはずなのに、かわいそうな人』に見えました。この本の取材期間中は、私自身を見つめ直す期間でもありました。読んでくれた方が『自分の幸せは何だろう？』と考えるきっかけになったらうれしいです」

炎上後の出来事も赤裸々に描く

今回の書籍では、てんちむさん本人の言葉のみならず、アシスタントや友人、元恋人などへの取材で得られたエピソードも掲載されている。周囲から見た「てんちむ」像とは？次に、その一部を紹介する。

「たかが2億2000万円を守って、てんちむ生命を終わらせてたまるか。炎上商法と言われるものをやって、今のバッシングも全て生かして、私を死なせててんちむを生かして、道化として生きて最後の金稼ぎをするしかない」(てんちむさん)

「炎上後は『全身整形して別人として生きていきたい』って何度も言ってました」(アシスタント)

「銀座にバケモンが来たな、と思いました。こんなに売上を立てる人は見たことがないですし、たぶん今後も現れないと思います」(クラブ・黒服)

「過程から本番までの見せ方がうまくて、女性は『夢中になってるてんちむを見てると幸せ』ってなるし、男性は『無邪気で愛せる』ってなる。『コイツ、おもろいから追い続けたいな』って思うんです」(友人)

「彼女はどれだけ避けても、投げ出しても、逃げ出しても、その場その場で成功してしまった。家出して上京しても、芸能活動を辞めても、モデルを辞めても、人と向き合わなくても、それでもずっと成功してきた子なんですよね」(元恋人)

「幸福感」について考えるきっかけに

てんちむさんは、10歳から29歳まで推され続けた天性のインフルエンサー。彼女の鬼の自己プロデュースによる【推される力】を丁寧に紐解く今回の書籍からは、アンチすらもファンにする「推されるコミュニケーション」を学ぶことができそうだ。さらには、自分自身幸福感も見つめ直すきっかけにもなるだろう。

てんちむさんの心の中をチラ見してみたいというファンや、どん底から這い上がる逆境力を身につけたいという人に、おすすめの一冊だ。