エッセイや創作などの漫画をSNSを中心に発信している漫画家・虹走(@nijibashiri)さん。これまでに、「ボクと壊された初恋 ゲームに、女子に、チャットに夢中だったあの頃(KADOKAWA)」や「妻で心が安らいだ話(東京ブックス)」などの書籍も刊行している。最近は「ボクの妻がゲーム好きな話」という漫画を連載している関係で、SNS上で“仲良し夫婦の漫画”として広まり、PRの仕事や商業漫画の連載の仕事も舞い込んできているという。
漫画「店員さん、野口。」は、もともとは仕事として依頼された連載漫画のひとつ。虹走さんがかつて接客業で長く働いた経験を活かして描いた作品で、接客経験者なら思わず頷いてしまう共感エピソードが盛りだくさんだ。
今回紹介するエピソードでは、いつもはクレーム客に毅然とした態度で対応しているかっこいい野口さんが、何やら悩んでいる様子。「最近の私、愚痴ばっかりで…人生がつまらなく感じてる気がする」とどんよりとしていた。昨今、変な言いがかりをつけられて理不尽に客から怒鳴られたり、“本社にクレームが来た”と本社からも怒られたり、小さなストレスが重なっていき、好きだったはずの接客業が楽しくなくなってしまっていたのだ。
そんなときに立ち寄ったカフェで、まばゆいばかりの笑顔で接客する女性店員に目が止まる。「私にもあんな頃があったのだろうか…」と以前の自分を回想する野口さん。確かに自分にも輝いていた時期があったことを思い出し、当時の自分を取り戻すために画策をし始める!果たして野口さんはどんな方法でモチベーションアップを試みたのだろうか?
野口さんは自ら仕事に対するやる気や意欲を回復させようと行動を起こしたが、社員のモチベーションをアップさせることは、多くの企業の課題でもある。各企業でさまざまな施策を講じているが、とてもすてきなのが世界屈指の高級リゾートホテル「ザ・リッツ・カールトン」の「ファーストクラスカード」というシステムだ。
自分の仕事を手伝ってくれた人、助けてくれた人に「あなたはファーストクラス(最高・一流)です」という感謝の思いを伝える手段として「ファーストクラスカード」を渡す。カードは、もらった人が人事考査でプラスに評価されるのはもちろん、渡した人も感謝の意をちゃんと伝えたとして人事考査で評価される仕組みだ。それによって社員間のコミュニケーションが円滑となり、社員同士で褒め称え合う社風が育ち、社員それぞれのモチベーションアップにもつながる。同じような取り組みで、「株式会社メルカリ」では「mertip(メルチップ)」、「日本航空株式会社(JAL)」では「Thanks card」など、各社で導入されているシステムがある。
野口さんは自分で自分のモチベーションをアップさせるため、“あること”に取り組むのだが、果たして続くのだろうか?「店員さん、野口。」は、主人公の野口さんが我慢しながらも変な客の対応をしたり、嫌味な客に小気味よく返してスカッとさせてくれたりして、読者に好評な作品だ。接客業経験者には頷ける内容が多いので、ぜひ読んでみて!
画像提供:虹走(@nijibashiri)