ケータリングサービスはコロナ禍を経てどう変わった?「nonpi foodbox(R)」がユーザーを増やし続けられた理由とは

東京ウォーカー(全国版)

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コロナ禍で大打撃を受けた飲食業界。とくに、集団での飲食はしづらい状況が続いたことは誰もが記憶していることだろう。苦境に立たされる一方で、新しい飲食シーンが生まれ、そこにビジネスを見出した事例も多い。例えば、それまで店内飲食でしか料理を提供していなかった店が持ち帰りメニューを用意するようになったり、フードデリバリーサービスが躍進をしたりといった具合だ。

「nonpi foodbox(R) for office」で提供するクリスマスや忘年会にぴったりなメニュー。見た目も華やかで盛り上がりそうだ【画像提供=株式会社ノンピ】

オンライン飲み会もコロナ禍とともに生まれた新しい飲食シーン。それを支えるサービスとして生まれたのが「nonpi foodbox(R)」だ。クール便を利用し、全国どこにでも(一部離島を除く)料理とドリンクを配送してくれる。オンライン飲み会に対応した「nonpi foodbox(R) for online」に加えて、今年5月にはオフィスでのパーティー開催向けの「nonpi food box(R) for office」のサービスも開始した。「nonpi foodbox(R)」がどういった想いで事業を展開しているのか、株式会社ノンピの執行役員・光山徹圭さんに話を聞いた。

同じ食事を一緒に取ることで生まれるコミュニケーションを大事に

もともとノンピでは長年ケータリングサービス事業を展開していた。

「2003年にノン ピウ ファーメとして設立したのが最初です。“non piu fame”、英語では“no more hungry”、つまり『もう腹ペコにさせないよ!』から来ていて、現在のノンピという社名やサービス名もここからきています。もともとは飲食店事業からスタートしていますが、翌年にはケータリング、デリバリーサービス事業をスタートしていまして、そこから途切れることなくケータリング事業を展開してきました」

2018年には飲食店事業から完全撤退。これは法人向けケータリングサービスへの未来を感じての決断だったという。

「飲食店だと席数に合わせてお客様の上限が決まってきますが、ケータリングだと我々が作れさえすれば1000食でも2000食でも対応ができるので可能性が広がります。その点がケータリングサービスへ注力していくうえで魅力でしたし、共食機会を増やすことにもつながるのでクライアントのビジネスの発展に貢献できると考えました」

しかし、2020年にコロナが到来。歓送迎会が多くなる3月、4月は繁忙期になるはずだったが、ケータリングの注文は9割方がキャンセルに。今後どうしていくべきか、早急な対策が求められた。そして生まれたのがnonpi foodbox(R)。オンライン飲み会当日または前日に、飲み会参加者それぞれの希望した住所に同一の料理とドリンクを届けてくれるというものだ。

「コロナ禍以前からケータリング事業は『munchies catering(マンチーズケータリング)』という名前で展開していました。注文のキャンセルが続き、今後どうするか話し合いをしていくなかで、3月下旬にはnonpi foodbox(R)の素案はできあがっていたと思います。そこから動き出して、2020年8月には正式にnonpi foodbox(R)のサービスをローンチしました。ローンチにあたって難しかったこととしては、全国配送への対応でしたね。これまでのケータリングはセントラルキッチンから自社配送便で首都圏のお届けできる範囲で対応していました。宅配業社を利用することで全国配送に実現しましたが、ダンボールのサイズはどうするのか、荷崩れしないようにするために梱包をどうしていくのか。ローンチまでの間にそういった物理的な部分を改善していきました。とはいえ、ケータリング事業を長年やってきていましたから、培ってきたノウハウや経験が非常に生きました。まったくの手探りというわけではなく、ある程度見通しがあったうえだったので、半年もかけずにサービスの開始にこぎつけられたのだと思っています」

システム部分についてもユーザーにとってより使い勝手のいい形に改修し続けた。オンライン飲み会の場合、参加者全員分の配送先住所や配送希望日時をノンピ側が把握する必要がある。参加者にはフォームに情報を入力してもらうのだが、サービス開始当初は、ユーザーにあたる幹事には誰がフォームに回答済みなのかわからなかったため、回答状況をノンピに問い合わせする必要があった。

「オンライン飲み会で参加者みなさんに料理をお届けするとなると、個人情報をどう扱うかというのが課題でした。サービス開始当初はGoogleフォームを利用していましたが、現在はノンピ独自のシステムを構築し、マイページ機能を持たせています。個人情報保護の仕組みが強化され、幹事の方には誰が回答しているのか管理画面上で確認できるようになりましたが、住所は閲覧できないようになっています」

「nonpi foodbox(R) for online」では、老舗「神田明神下みやび」とコラボしたメニューを提供。写真は2024年2月28日(水)まで期間限定で販売している「神田明神下みやび 冬の味覚プラン」【画像提供=株式会社ノンピ】

ユーザーの利便性にマッチしたサービスにブラッシュアップしていくことで、nonpi foodbox(R)の利用者は増加。1000人規模のオンライン飲み会にも対応しているという。オンライン飲み会でnonpi foodbox(R)を利用することで「見た目も美しく、味もよい高品質な料理をともに味わう楽しさを参加者みんなで共有できる」と光山さんは話す。

「ノンピがずっと大事にしていきているのは“共食”ということ。ケータリングサービスを開始した当初から自分たちが提供する料理を“コミュニケーションフード”とも呼んでいて、食事はコミュニケーションを円滑にするための重要なファクターだと考えています。ノンピでは社員食堂事業も展開していて、Google社へランチケータリングをお届けしていたことがあります。Google社の社食を見ていると、食事をしながら社員同士の会話が弾み、そこからどんどん新しいサービスが生まれていっている。クライアントのビジネス発展に食が寄与しているわけです。オンライン飲み会においてもそこは変わらないと考えています」

今年5月にコロナが5類に移行。企業での飲み会の状況はどのように変化しているのだろうか?

「5類に移行するタイミングで、リアルへの回帰というのは相当起きるだろうと予想していました。実際、4月中旬くらいからオンライン飲み会向けの注文は減っていきました。予想より早くその波がきたということはありましたが、オフィスでのパーティーが増えることを見越して『nonpi foodbox(R) for office』の準備を進めていました。おかげさまで事業として軌道に乗って、コロナ禍以前と同じくらいの売り上げに戻ってきています。11月から12月にかけて、ノンピで年末年始の新・忘年会の開催意向に関するアンケートをとったのですが、約70%の人が対面で開催すると回答しています。アフターコロナ、ウィズコロナとなって、企業が再びリアルでの懇親会を開催する流れになってきているので、『for office』の利用が今後も増えていくのではないかと考えています。ただ、一点付け加えるとオンライン向けのケータリングが必要な企業もいらっしゃる。今年の12月でも1000人単位のご依頼はあるんです。社員が全国に散らばっていて一カ所に集まることが難しかったりと、限定的ではありますが、オンラインでの懇親会も残っていくと予想しています。コロナ禍をきっかけに『for online』のサービスは生まれましたが、引き続きこのサービスを求める企業もあるのかなと感じています」

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