旅館業の裏側を楽しく描いた漫画「We are ナカイサン!」。仲居さんたちの苦労話を笑いを交えて紹介しているお仕事漫画がおもしろい!作者の一浦にこさんは、10年以上の仲居経験があるため、リアルなエピソードが多いのにも納得の作品だ。困ったお客さまのエピソードも愛情たっぷりに描いており、裏ではドタバタしながらも客前では優雅に、さまざまなトラブルをこなしていく仲居さんの腕っぷしと懐の深さに感銘を受ける漫画である。
今回は、外国人観光客にまつわる困ったエピソードを紹介。言葉も文化も違うため彼らに悪気は一切なくても、日本ならではの「おもてなし」を提供しようとする旅館側は、彼らの想定外の要求に慌てることも…!!
夕食時の旅館のバックヤードでは、仲居や板前たちは忙しさのピークを迎えている。そんなときに“部屋食”で予約を受けていて客室に配膳準備をしていたにも関わらず、急にグループで食事を取りたいと無邪気に大部屋を要求されたり、夕食時刻になっても宿に到着していない客がいて食事の準備が滞ったり、果てには無断キャンセルされたりすることも…!これらは決して外国人観光客に限ったことではないのだが、頻度的には外国の客に困らされることが多かったという。
この件に関して、一浦さんは「うーん…日本人とは真逆…文化の違い?国民性?」と考えていた。…というのも、日本人の団体客の場合、外国人観光客と真逆のパターンで困らせられることが多々あったという。一体、“真逆のパターン”とはどんなシチュエーションなのか?どんなトラブルにも一致団結し、バックヤードでは怒り狂いながらも表舞台では真摯に対応する仲居さんたちについて、一浦さんに話を聞いてみた。
――「We are ナカイサン!」にはおもしろくてすてきな仲居さんたちが多く登場していますが、登場するキャラたちは実在の人物でしょうか?
仲居をしていて本当にたくさんの人たちと出会ってきたので、漫画の登場人物はほとんどが「こういう人、どこの宿にもいるよね~!」という人たちを集合体にして一人ひとりのキャラを作っています。代表的なのが「おくさまメガネ」と呼ばれている仲居さん。どこの宿にもなぜかこういう人がいました。見た目も似ていて、性格も仕切りたがりで似ているんです!
――主人公の仲居さんは一浦さんですよね?
一応、目線は私なのですが、「私」の見た目は全く違います。これも集合体!私の若いころは怖いもの知らずで、よく「おくさまメガネ」みたいな年上の仲居と衝突していました。さすがに年齢を重ねてからはマシになりました…(笑)。
――合計7つの宿での仲居さん経験がある一浦さんですが、北はどこの観光地で働いていましたか?
身バレしそうなので、ざっくりとしかお答えできませんが…東日本から北日本にかけてのホテルや旅館で働いていました。
旅館に泊まると、きっちりと着物を着こなし、涼しい笑顔で接してくれる仲居さんたち。客には見せない笑顔の裏側を描いた「We are ナカイサン!」は、もと仲居さんが描くだけあって現実味たっぷりのお仕事漫画だ。仲居という仕事に興味がある人にも、旅行が好きでよく旅館に泊まる人にもおすすめの作品。ぜひ一度読んでみて!
画像提供:一浦にこ