パッと組み立てられる屋台を大学生と共同開発。老舗木材屋の地域活性化に向けたものづくりとは

2023年9月29日

東京ウォーカー（全国版）

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今回取り上げるのは、「組立式ヤタイ Patto ーパッとー」(以下、「組立式ヤタイ Patto」)。老津木工有限会社が製作している「組立式ヤタイ Patto」は奥三河の間伐材を活用した、その名のとおりパッと組み立てることが可能な屋台である。2023年9月30日(土)と10月1日(日)の2日間、愛知県の豊橋市まちなか広場で開催される東海最大級クラフトビールイベント「アワアワアワー」に立ち並ぶ予定だ。

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大学生との共同開発！老舗木材屋の技術が詰まった屋台

豊橋技術科学大学の建築設計サークル「TYACC」と共同で開発が行われた「組立式ヤタイ Patto」。老舗木材屋である老津木工有限会社が長年培ってきた技術と、学生の柔軟な発想を織り交ぜて、2021年5月に販売を開始したこの商品は、折りたたむことでコンパクトに収納して持ち運ぶことが可能だ。工具を使わず、約5分で簡単に組み立てることができるのもこの製品の特徴。シンプルなデザインのため、自由に塗装などのアレンジを行うことで、唯一無二のオリジナルな屋台を作ることもできる。

既存の製品と比べて導入コストを抑えることができるため、地元の道の駅でも近隣の農家に幅広く利用されており、地域活性化に一役買っているのだという。

木工什器で地域活性化に貢献

「組立式ヤタイ Patto」など、地域活性化につながる商品の製造に力を入れている老津木工有限会社。コロナ禍による経済の悪化や停滞などの経験から「ちょうどいいと手に取っていただける商品」の重要性を再認識。地元の間伐材を用いるなど環境に配慮した取り組みも行いつつ、愛着をもって使い続けたいと感じてもらえるようなものづくりに取り組んでいる。

「組立式ヤタイ Patto」について、担当者に話を聞いてみた。

――「組立式ヤタイ Patto」開発の意図や狙いについて教えてください。
コロナ禍・緊急事態宣言の真っ只中に目にした、“飲食店様の弁当販売”のニュースがきっかけです。当時、厳しい状況に置かれていた飲食店業界において、弊社も何か協力できることはないかと思い開発にいたりました。

――「組立式ヤタイ Patto」の開発時に苦労したことはありますか？
屋台使用時は大きく展開でき、見た目をオシャレにすることを意識し設計に入りましたが、現実的に使用していくことを考えると屋台使用後は毎日、片付けが必要となります。そのため、置き場スペースを極力とらないこと、そして翌日に使用する際は再度組み立てが必要なため、組み立て・片付け・収納で使用者に負担・ストレスがかからないようにすることを考えることが一番苦労しました。

――どのような経緯で学生との共同開発が行われたのでしょうか？
以前より、豊橋技術科学大学の辛島先生(現在は別大学で講師をされております)とは豊橋市内で行われる「まちなか活性化」での取り組みで、先生が図面・設計を担当し、弊社が製作する関係性がございました。コロナ禍になり弊社の業務も激減したことで、弊社より辛島先生へ『飲食店様を応援する什器・屋台の設計』を依頼し、辛島先生が顧問をしている建築サークルで有志学生を集めスタートいたしました。

――最後に、ユーザーへのメッセージをお願いします。
地元の「道の駅とよはし」さんでは屋台を複数台ご活用いただき、月2回、地元農家さんを集めマルシェ・イベントを開催しています。また県内の市役所さんも、今月、複数台の屋台のご依頼があり、こちらも地元の物産を販売するイベントを開催されるそうです。物価上昇で厳しい消費の落ち込みはございますが、楽しいイベントは人を集め・明るい街づくりができていると感じており、そんな取り組みは地域活性化につながると思っております。微力ながらお力添えさせていただければ幸いです。