次世代のモビリティ社会を“黒”が変える。化学メーカーDICの新しい黒色顔料とは?【PR】

2023/10/04 11:30 | 更新 2023/10/06 11:24
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自動運転が普及すると、人々の生活はより便利になることが予想される。車で移動する間もスマホで動画を見たり、仮眠をとったり、自由に過ごせるだろう。また、交通事故が減り、渋滞が解消することも期待されている。新たなモビリティ社会へと変化するなかで、人々がより安心・安全な移動を実現するために開発されたのが、化学メーカーDICの顔料「近赤外線コントロール黒顔料」だ。色と安全な移動に、一体どんな関係が?

DICは顔料のリーディングカンパニー。有機顔料のほか、デジタル・ディスプレイ用途に対応した顔料の開発にも取り組む
DICは顔料のリーディングカンパニー。有機顔料のほか、デジタル・ディスプレイ用途に対応した顔料の開発にも取り組む

自動運転における黒色の“弱点”とは?

従来の黒色の顔料は、カーボンブラック(インキや墨などに用いられる黒色の微粒子)が使われたものが主流で、太陽光に含まれる近赤外線を吸収して熱に変えるという性質がある。黒いアスファルトの上が暑いように、黒色の車の車内は、ほかの色の車に比べて暑くなりやすい。ハンドルやシートが熱すぎて触れないという経験をした人も多いのではないだろうか。

さらに光や熱を吸収しやすいという性質は、運転支援や自動運転の安全性にも影響を与える。これまでは車体に電波型のセンサーを装備していたが、今後はより精度の高いセンサー「LiDAR(ライダー)」が設置されるという。LiDARはレーザー光を発することで対象物との距離を測るが、カーボンブラックはこのレーザー光を反射せずに吸収してしまうため、正しく検知されにくいというのだ。

安全運転支援や自動運転では、車に搭載されたカメラやレーダーが障害物との距離を測る
安全運転支援や自動運転では、車に搭載されたカメラやレーダーが障害物との距離を測る

同社カラーマテリアル製品本部顔料営業グループのマネジャー大野恭弘さんは「LiDARの検知能力を向上させることができ、かつ自動車のデザインにおいてもカーボンブラック相当の漆黒性を有する新しい機能性黒色顔料のニーズが、自動車メーカーや塗料メーカーより高まっていた」と話す。同社は2018年から、カーボンブラックの課題を解決する新たな顔料の開発に取り組んできた。

カラーマテリアル製品本部顔料営業グループのマネジャー大野恭弘さん
カラーマテリアル製品本部顔料営業グループのマネジャー大野恭弘さん

新しい黒顔料でカーボンブラックの弱点を克服

そうして誕生したのが、近赤外線コントロール黒顔料だ。特徴は「遮熱性」「自動運転のセンシングに対応」「黒らしい黒」の3つ。

DICの近赤外線コントロール黒顔料は、近赤外線の吸収を抑えるため、黒いのに熱くなりにくい
DICの近赤外線コントロール黒顔料は、近赤外線の吸収を抑えるため、黒いのに熱くなりにくい

まず、遮熱性を備えることで、車内の温度の上昇を抑えることができる。それによって、大量に電力を消費するエアコンを小型化でき、利用頻度も減らすことができるため、車の消費電力を抑えられるという。特に電気自動車(EV)では、限られたバッテリー容量をいかに効率的に使うかが重要。フル充電で走れる「航続距離」を伸ばすことにつながる。使用する顔料が変わっただけで、より長く、快適にドライブができるのだ。

さらに、近赤外線コントロール黒顔料を用いた塗装システムでは、カーボンブラックのものと比べて非常に高い近赤外線の反射率を有する。そのため、LiDARのセンサーで検知されやすくなり、車間距離や障害物との位置関係を正しく認識することが可能になる。安全運転支援システムがより活かされ、自動運転車の普及に向けても貢献が期待される。交通事故の主な原因は、安全不確認や前方不注意など。自動運転が普及すれば、ヒューマンエラーによる事故の減少が期待できる。

写真左から、カーボンブラック、近赤外線コントロール黒顔料、開発初期の黒顔料それぞれをアルミ顔料と混ぜた塗色。近赤外線コントロール黒顔料が、より“黒らしい黒”であることがわかる
写真左から、カーボンブラック、近赤外線コントロール黒顔料、開発初期の黒顔料それぞれをアルミ顔料と混ぜた塗色。近赤外線コントロール黒顔料が、より“黒らしい黒”であることがわかる

近赤外線コントロール黒顔料を使用するメリットは、機能性だけではない。これまでカーボンブラックに代わるものとして開発してきた製品でも“黒に近い色”は実現できていたが、“黒らしい黒”を出すことが難しかった。
「センシングに対応する自動車外装塗料用の顔料としての高い要求品質に加え、深みのある漆黒性や高級な質感を再現することなどさまざまな課題があった。しかし、DICグループが長年培った技術ノウハウを活かして開発に取り組み、世界の主要な自動車用塗料メーカーのお客様と迅速に情報共有して評価を行っていただいたことで課題を解決することができた」
と大野さん。今回の新製品では、顔料本来の目的である「意匠」も追求したことで、「カーボンブラックに負けない深みのあるカラー」を実現。次世代のモビリティ社会においても、機能性と意匠性を兼ね備えた黒色の車が開発され、街中を走行できる。

ロボット、ドローンなどでも活用が期待される

「LiDAR」はロボットの“眼”といわれ、自動車のほか、自動清掃ロボットや飲食店の配膳ロボット、産業用の機械などにも搭載されている。これからの「スマート社会」における近赤外線コントロール黒顔料について、大野さんは次のように話す。

「センシング機能を搭載した製品が飛躍的に普及し、さまざまなモノが一層つながる時代になっていくと考えている。人々の生活環境に影響を与えずに、センサーを用いてつながる黒色材として、我々の『近赤外線コントロール黒顔料』は、自動運転車だけでなくロボットやドローン、産業分野などのさまざまな用途・シーンで活躍できるのではないかと期待している」

DICグループは顔料のほか、合成樹脂や加工材料を含むさまざまな素材を通じて、自動運転の実用化に向けた技術革新に取り組む。目指すのは「より安心・安全なモビリティ社会の実現」だ。「将来、運転手がいない自動運転車でも、安全な乗り物として社会に普及し、誰しもが安心して利用できる日がくればいいなと考えている」

新たなモビリティ社会が実現すると、人々の生活や街の景色が大きく変わるだろう。化学の力、色の力でより快適に、そして安全な生活が送れることを期待したい。

大野恭弘さんプロフィール
1998年Ciba社(当時)に入社。繊維用染料、塗料用顔料・添加剤の技術サービスを経て、2004年より塗料用顔料・添加剤の営業を担当。その後、Cabot、BASFを経て、2021年よりDICグループに加わり、現在は塗料用顔料の営業を担当。

「近赤外線コントロール黒顔料」についての詳細記事

・サステナブルな未来を共創するDIC岡里帆式クロストーク
https://www.dic-global.com/ja/dic-oka/crosstalk/vol1/
・近赤外線コントロール黒顔料 Sicopal® Black
https://www.dic-global.com/ja/event/susma/products_Spectrasense_Sicopal.html

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