エッセイや創作などの漫画をSNSを中心に発信している漫画家・虹走(@nijibashiri)さん。かつて接客業で長く働いた経験を活かして描いた作品「店員さん、野口。」には、接客経験者なら思わず頷いてしまう共感エピソードが盛りだくさんだ。今回は、休みの日なのにうっかり口走ってしまう“ある口癖”について紹介する。

シフトが休みだった日の夜、野口さんは自分が働いている系列ではないコンビニエンスストアを訪れていた。夜のコンビニはなぜだかお菓子の誘惑が強くなる。ついつい買う予定になかったお菓子に手を伸ばしながら、ちゃっかり「これ、うちの店にないやつだ」と商品の下見までしてしまう野口さん。

商品を手にじっと考えこんでいると、“ウィーン”という自動ドアが開く音が耳に飛び込んできた。会計を済ませた客が出て行くところだったのだが、野口さんの体が音に反応し、条件反射に言葉が喉をついて出てくる。「ありが…っあ!」まで言ったところでなんとか踏みとどまったが、周りの目が痛い。せっかくの休みだというのに、“コンビニ”という空間にいるとついつい仕事のクセが出るようだ。

これまでに「ボクと壊された初恋 ゲームに、女子に、チャットに夢中だったあの頃(KADOKAWA)」や「妻で心が安らいだ話(東京ブックス)」などの書籍を刊行している虹走さん。虹走さんに本作「店員さん、野口。」についてや、気になる今後の新作についてまで話を広げて聞いてみた。
――「店員さん、野口。」を描いたきっかけについて教えてください
「店員さん、野口。」は、仕事として依頼された連載漫画のひとつなんですが、ボク自身が接客業で長く働いておりましたので、その経験…というか愚痴ですね(笑)。それを漫画にできたらおもしろいかな?と思ったところから企画した作品です。
――現在は別の作品を連載中ですよね?
はい。今連載しているのは「ボクの妻がゲーム好きな話」ですが、各所で人気を頂戴しており、これからも継続して描いていこうと思っています。SNSにアップしているのですが、SNS上で“仲良し夫婦の漫画”として広まり、ありがたいことにPRの仕事や商業漫画の連載の仕事も舞い込んできています。
――現在描いている連載以外にも新作の予定はありますか?
短編で描いてみたいものが何作品かあります。これまでエッセイを含めて現実的なお話を多く描いてきたので、新作では現実離れしたお話を描いてみようと考えています。

主人公の野口さんが我慢しながらも変な客の対応をしたり、たまに心の声がうっかり漏れてしまったり、嫌味な客に小気味よく返してスカッとさせてくれたり…さまざまなエピソードが満載の「店員さん、野口。」。接客業経験者におすすめの作品なのでぜひ読んでみて!
画像提供:虹走(@nijibashiri)