過去には飛行機での宣伝も!令和時代の訴求方法は

「変わらない」を110年続けるミルクキャラメルだが、大正時代や昭和時代には消費者にアピールすべく、あの手この手の大宣伝活動を行っていた。そのひとつが日本で初めての「自動車宣伝」。自動車自体がまだ珍しかった1929年ごろ、車体の横に「森永ミルクキャラメル」の文字を染め抜いた幕を張って走りながら、ビラや小旗を散布するというパフォーマンスを行ったという。
 
「それ以上に派手だったのが、1931年に展開した『森永キャラメル飛行機セール』です。これは九州から北海道を空から訪問する全日本縦断飛行で、上空からビラやキャラメル引換券、宣伝用パラシュートなどを投下しました。同時に『ミルクキャラメル30銭分お買い上げごとに紙製飛行機模型一組進呈』を行いました。ほかには、キャラメルの空き箱を加工した図画工作展『キャラメル芸術』を開催したりもしましたね。1932年に行われた第1回の応募総数はなんと11万6700点でした」

飛行機セールの森永号飛行コース
飛行機セールの森永号飛行コース【画像提供=森永製菓】

ミルクキャラメルの箱で作った作品を集めた「キャラメル芸術」
ミルクキャラメルの箱で作った作品を集めた「キャラメル芸術」【画像提供=森永製菓】

 
そんなミルクキャラメルの宣伝について、糸岡さんは「今後は“変わらない”を大切にしつつ、新しいことに挑戦していく」と話す。最近ではは10~20代への訴求を強化するために、「リラックマ」や「コンビニスイーツ」とコラボをしたり、キャラメルの製造技術を生かした「塩キャラメル」や「とろ生キャラメル<プレーン>」といった商品の発売などをしている。
 
「現在は、ちょうど若い世代に向けて訴求するためにさまざまな施策を行っています。現在取り組んでいるのは、フィルムとパッケージの絵を重ねて奥行きを楽しめる『3Dアート』の展開ですね。組み合わせは全部で24種類。今回のコンセプトは『作ってタイムスリップ』ということで、いろいろな時代を旅できるデザインになっています。近年、ちょうど若い世代の間でレトロブームが来ていることもあり、今が一番若者に商品の宣伝ができている時期だと思いますね」

濃厚な味わいのなかに、アクセントとなるフランスロレーヌ産岩塩の塩味とバターのコク深い味わいがある「塩キャラメル」
濃厚な味わいのなかに、アクセントとなるフランスロレーヌ産岩塩の塩味とバターのコク深い味わいがある「塩キャラメル」【画像提供=森永製菓】

柔らかな食感と上質な味わいを楽しめる、まるで専門店のような「とろ生キャラメル<プレーン>」
柔らかな食感と上質な味わいを楽しめる、まるで専門店のような「とろ生キャラメル<プレーン>」【画像提供=森永製菓】

 
「今後はもっと若い世代のファンを増やしていきたい」と意気込む糸岡さん。今後はベースのブランドを守りながら裾野を広げて行くことが目標だという。現在、森永製菓のキャラメル市場におけるシェアは70%以上。マーケットをこれからも支えていくリーディングカンパニーとして、森永製菓はオリジナルをしっかり保持しながらもブランドを進化させ、「新しいキャラメル体験」を提供していく予定だ。

絵を重ねて奥行きを楽しめる3Dアート
絵を重ねて奥行きを楽しめる3Dアート【撮影=福井求】

フィルムと箱裏を合わせることで、明治・大正・昭和・平成を旅することができる
フィルムと箱裏を合わせることで、明治・大正・昭和・平成を旅することができる【画像提供=森永製菓】

 
110年の歴史を持つミルクキャラメル。これからも変わらない姿と味で私たちのココロとコバラを満たしてくれる存在であり続けるだろう。商品を見たことがあるけど食べたことがない、という人は、ぜひこの機会に味わってみてはいかがだろうか。1913年に誕生した当時のおいしさを、時代を越えて楽しむことができるはずだ。
 
この記事のひときわ#やくにたつ
・文化や時代の価値観に合わせた商品開発がヒットの鍵
・歴史を重ねれば「変わらないこと」が価値になる
・大々的な広告を打つことで知名度向上が図れる

取材・文=福井求(にげば企画)