「あとから貯蓄」はもうやめよう。元銀行マンがすすめる超実践的「先取り貯蓄術」

2023/05/04 18:30
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お金を貯めたいとは思っているのに貯められない——。そんな人のなかには、「毎月の生活費の残りを貯金しよう」と思っている人が多いのではないだろうか。それこそがお金を貯められない原因だと語るのは、YouTubeチャンネル「BANK ACADEMY」で「お金の初心者」に向けてマネー情報を発信している、元銀行マンでもある小林亮平さん。お金を貯められない「あとから貯蓄」ではなく、お金を貯められる「先取り貯蓄」の具体的なやり方を解説してくれた。

YouTubeチャンネル「BANK ACADEMY」で「お金の初心者」に向けてマネー情報を発信している、元銀行マンの小林亮平さん
YouTubeチャンネル「BANK ACADEMY」で「お金の初心者」に向けてマネー情報を発信している、元銀行マンの小林亮平さん


「お金を貯められない人」の3タイプ

「お金を貯められない人」には、主に3つのタイプが見られます。まずは、「あればあるだけお金を使ってしまうタイプ」です。そういう人のなかにも「使ったあとに残ったお金を貯金しよう」と思っている人もいるものですが、あればあるだけ使ってしまうのですから、もちろん手元にお金は残りません。

また、いわゆる「固定費をたくさん払っているタイプ」もなかなかお金を貯められません。なかでも、今ならスマホ代が高い人がその典型でしょうか。ひとむかし前ならともかく、格安スマホがこれだけ一般化したなかでも3大キャリアに高いスマホ代を払い続けている人というのは、それだけ節約に対する意識が低いのでしょう。

最後の3つ目が、「銀行口座をひとつしか持っていないタイプ」です。生活費などの支払いのために使うメイン口座と貯蓄用の口座を同じにしていると、残高のうちいくらが貯金なのか、いくらが使っていいお金なのかを把握できません。そうして、本当なら手をつけてはいけない貯金も使ってしまってお金を貯められないというわけです。

そこで、お金を貯めるための第一歩として、私からは「先取り貯蓄」を強くおすすめします。先取り貯蓄とは、給与が入った時点で給与口座から他の貯蓄用口座へ貯金をして、残りの給与で生活することを指します。

もちろん、スマホ代など「固定費をたくさん払っているタイプ」の人の場合は固定費の見直しもセットでやる必要がありますが、「あればあるだけお金を使ってしまうタイプ」「銀行口座をひとつしか持っていないタイプ」には即効性がある手法です。

貯蓄用口座へ貯金をしたあとの残りのお金は使っていいお金ですから、「あればあるだけお金を使ってしまうタイプ」であっても貯金はしっかり確保できます。「銀行口座をひとつしか持っていないタイプ」についても、使っていいお金と貯金を明確に把握できるため、やはり貯金に手をつけなくなるということです。

「お金を貯められない人」の3タイプを説明する小林亮平さん
「お金を貯められない人」の3タイプを説明する小林亮平さん

「無料かつ自動」で先取り貯蓄する仕組みをつくる

この先取り貯蓄については、私は2つのパターンをおすすめしています。自分で給与口座を指定できる人と、給与口座を指定できない人の2パターンです。それぞれ解説していきましょう。

自分で給与口座を指定できる人は、楽天銀行を給与口座に指定してメイン口座として利用し、あおぞら銀行BANKを貯蓄用口座にするといいと思います。

楽天銀行は、メガバンクの普通預金の金利が0.001%という時代のなかでも金利0.1%と高い水準ですし、楽天カードの利用者の場合ならその引き落とし口座に設定すれば楽天ポイントも自動的に貯まりやすくなります。

そして、この楽天銀行を給与口座に指定すると、他行あての振込手数料が月3回まで無料になります。そのうえで「毎月おまかせ振込予約」という自動振込のサービスを使えば、あおぞら銀行BANKの貯蓄用口座へ無料かつ自動で指定した金額を貯金できるようになるというわけです。

あおぞら銀行BANKを貯蓄用口座とする理由はひとつ。普通預金の金利が0.2%という業界最高水準だからです。そのため、あおぞら銀行BANKを貯蓄用口座にすることをおすすめしています。

一方、給与口座を指定できない人の場合は、会社指定の給与口座をメイン口座にして、住信SBIネット銀行を貯蓄用口座にしましょう。

住信SBIネット銀行には、同じ名義、つまり自分名義の他行口座からの毎月定額の入金を無料かつ自動で行ってくれる「定額自動入金サービス」というものがあります。それを利用して、毎月、給与口座から定額を住信SBIネット銀行の貯蓄用口座へ貯金するのです。

もうお気づきかと思いますが、キモは「無料かつ自動」ということ。超低金利の時代に貯蓄用口座へ入金するために高い手数料を払うことほどもったいないことはありません。また、自分で入金するという作業が伴うと、忘れてしまったり面倒に思って結局貯金をしなくなったりしてしまうからです。

先取り貯蓄をはじめたら、「現金生活」をしてみる

ここまで、先取り貯蓄の具体的なやり方について解説してきました。これまでお金を貯められなかった人のなかにも、「これなら自分にもできそう」と思った人もいるかもしれませんね。ただ、最後にいくつか注意点をお伝えしておきます。

これまでお金を貯められなかった人の場合、「今度こそお金を貯めるぞ!」と張り切って最初から大きな金額を先取り貯蓄してもいい結果は生みません。無理をすると、給料日までのあいだに「やっぱりお金が足りない」と、結局は貯金用口座からお金を引き出してしまうことにもなりかねないからです。

そこで、特にまだ収入が高くない若い人の場合なら、まずは手取り月収の5%や10%の金額から先取り貯蓄をはじめてみてください。手取り月収が20万円の人なら、1万円や2万円を貯金し、残りの19万円、18万円で毎月のやりくりをするということです。

それから、先取り貯蓄をはじめた当初は、クレジットカードは使わないようにしましょう。クレジットカードをひもづけているキャッシュレス決済アプリについても同様です。というのも、これらを利用すると、自分がなににいくら使って、今月使えるお金がいくら残っているのかということが見えなくなるからです。

あればあるだけお金を使っていたような人が、先取り貯蓄をした残りの現金だけで生活するのは、最初は苦しく感じるかもしれません。でも、使っていいお金だけで毎月のやりくりをできなければ、今後もお金を貯められないままです。まずは貯金のトレーニングとして現金生活をしてみることを考えてほしいと思います。

この記事のひときわ#やくにたつ
・給与が入った時点で給与口座から他の貯蓄用口座へ貯金をして、残りの給与で生活する「先取り貯蓄」がおすすめ
・「無料かつ自動」で先取り貯蓄する仕組みをつくる
・貯金のトレーニングとして現金生活をしてみる

構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、取材・文=清家茂樹

『これだけやれば大丈夫!お金の不安がなくなる資産形成1年生』
KADOKAWA(2021)
小林亮平 著

(プロフィール)
【プロフィール】小林亮平(こばやし・りょうへい)
1989年5月22日生まれ、神奈川県出身。横浜国立大学経営学部卒業後、三菱UFJ銀行に入行。同行退社後、ブログやSNSで資産形成(つみたてNISAやiDeCo、楽天経済圏、ふるさと納税など)の入門知識を発信。現在はYouTubeチャンネル「BANK ACADEMY」の運営に注力しており、チャンネル登録者数は53万人を超える(2023年3月時点)。「超初心者でも理解できるよう優しく伝える」をモットーに、自作のイラストを駆使した解説や、フォロワーからの質問に対する丁寧な返事が好評を得ている。著書に『これだけやれば大丈夫!お金の不安がなくなる資産形成1年生』(KADOKAWA)がある。

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