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トイレで生理用ナプキンの無料提供を。みんなが満足できる“四方良し”な持続可能な仕組みとは?

2023/03/09 13:30
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生理用ナプキンをトイレットペーパー同様に、全国の個室トイレに常備し無料で提供する――。そんな目標を掲げるオイテル株式会社が提供するのは、無料でダウンロードできるスマホの専用アプリをかざすだけで、生理用ナプキンを受け取れるサービス「OiTr(オイテル)」。

ナプキンの費用はディスペンサーの画面に流れる広告費でまかなわれ、商業施設や大学、企業などを中心に2420台が導入されている。代表取締役社長の小村大一さんに、サービス誕生の背景や今後の展望を聞いた。

「OiTr」ディスペンサー。隣の個室に聞こえないように作動音は静か
「OiTr」ディスペンサー。隣の個室に聞こえないように作動音は静か

生理用品はなぜ無料で受け取れない?

オイテル株式会社代表取締役社長の小村大一さん
オイテル株式会社代表取締役社長の小村大一さん

小村さんは、女性アパレルの事業を経営していた経験から、女性に喜んでもらえて、それをより実感できる事業に挑戦したいと考えた。注目したのは健康分野におけるジェンダーギャップ。特に生理に関して、企業での生理休暇の取りづらさなど、まだまだ解決できていない課題があると感じた。

生理について調べていると「同じ生理現象なのに、トイレットペーパーは無償で受け取れて、生理用品は受け取れないのはなぜだろう」という声を聞いた。小村さんは「生理のある方の多くはナプキンを自分で購入し、それを個室へ持ち込んでいます。男性だからこそ違和感を持つことができ、生まれたサービスだと思っています」と話す。

サービスの持続を目標としたシステムづくり

カゴの中にナプキンを入れて無料提供するという方法もあるが、モラルハザード(倫理観の欠如)によって、本当に使いたい人に届かないという事態を防ぐため、アプリを利用して制限をかけた。2時間に1枚、25日間ごとに7枚を受け取ることができる。

アプリの操作画面
アプリの操作画面

「ディスペンサーを開発する際に、柔らかい素材のナプキンを曲げずに排出することが大変だった」と小村さん
「ディスペンサーを開発する際に、柔らかい素材のナプキンを曲げずに排出することが大変だった」と小村さん

ナプキン代をまかなうための広告は、着座するとディスペンサーに組み込んだサイネージに流れる。「タクシーのサイネージ広告を参考にしました。タクシーという個室空間で見るので、街頭広告や電車広告に比べて認知率が高いんです。しかも経営者やビジネス客といったターゲティングもできる。同じように『OiTr』も個室空間で見ることができ、アンケートでの認知率は約70%。個室にある重要性と、広告視認性が非常に相性のよい媒体になっています。また、女性というターゲティングもできますし、ディスペンサーは通信機能を持っているので、配信する広告を1台1台管理することで、配信エリアや施設の選択が可能です」(小村さん)

設置イメージ図。二次元バーコードをプリントしたステッカーがディスペンサー近くに貼ってあり、アプリをダウンロードできる
設置イメージ図。二次元バーコードをプリントしたステッカーがディスペンサー近くに貼ってあり、アプリをダウンロードできる

「OiTr」への広告出稿のメリットは、高い認知率だけではない。ユーザーは「この広告によりナプキンを無料で受け取れる」と認識できるため、企業側のイメージアップにもつながる。ビジネスとして持続可能な仕組みづくりのために、ユーザー、施設主、広告主、そしてオイテルの「四方良し」にこだわったのだという。

女性の健康「あらゆる角度から解決を図れるサービスに」

小村さんは「初めは理解されづらいサービス」だったと振り返る。施設の担当者は男性が多かったため、生理について説明するところからスタートした。理解されていないと感じたときは「あなた達はトイレにトイレットペーパーがなかったらどうしますか?」と伝えた。

ある企業では「OiTr」の導入を議論したことで、男性が生理について勉強をして、生理休暇も取りやすくなったという。「『OiTr』をきっかけに、生理のことがもっとオープンになり、学ぶ機会が増えていくことで、女性の負担も軽くなるのではないでしょうか」と小村さん。

アパレルの会社を経営していたときには「ひとりでシフトに入っているとトイレに行けない」といった声を聞いていた
アパレルの会社を経営していたときには「ひとりでシフトに入っているとトイレに行けない」といった声を聞いていた

さらに「生理の貧困」についても言及する。「痛み止めの薬やサニタリーショーツなども含めれば、それ相応の額になるので、経済的に少しでも軽減できればと思います。しかし『生理の貧困』はお金だけの問題ではありません。例えば、生理に対する知識の貧困です。父子家庭で父親の知識が足りなかったり、授業では生理について習うものの、ナプキンの具体的な使い方は伝えられていなかったり。ナプキンを適切に使えず、衛生的に問題があると、さまざまな病気を誘発する恐れがあることも、あまり知られていません」(小村さん)

そうした現状を変えようと、今後はアプリの活用も視野に入れている。「例えば生理の管理機能や女性の健康に関する機能を拡充することで、女性の健康に対して、あらゆる角度から解決を図れるようなサービスにしていけたらなと思っています」と今後の展望を話した。また、スマホを持っていない人でも利用できるよう、バージョンアップをしている最中だ。

「OiTr」は「One in The restroom(個室トイレにあるべき大切なひとつ)」の頭文字から取った。トイレットペーパーと同じように、どこでもナプキンを受け取れる日が来るのかもしれない。

この記事のひときわ#やくにたつ
・当たり前を疑うことも大事
・解決されていない課題がビジネスの出発点になる
・関わる人の満足度を高めることで、持続可能な仕組みを生み出す

取材・文=伊藤めぐみ、写真=三佐和隆士

■OiTr公式サイト:https://www.oitr.jp/

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