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LINEで相談できる漢方薬のサブスクサービス。目指すは、みんなが「自分の健康」に目を向けられる社会

2023/03/02 18:00 | 更新 2023/04/16 21:50
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LINE上でいくつかの質問に答えると、自分の症状に合った漢方薬が自宅に届く。漢方薬を使ってみたいと思っていても忙しくて医療機関に行けない人、初対面の相手に体の悩みを伝えることにハードルを感じてしまう人でも気軽に利用できるのが、オンライン漢方相談サービス「わたし漢方」だ。2019年のサービスリリース以降、利用者は順調に増加し、LINE公式アカウントの友だち登録者数は10万人を突破(※2023年1月時点)。代表取締役社長の丸山優菜さんに、サービス誕生の背景や今後の展望について聞いた。

わたし漢方株式会社代表の丸山優菜さん
わたし漢方株式会社代表の丸山優菜さん【撮影=阿部昌也】


「西洋薬と漢方薬の使い分けを推進したい」

ーーまずは丸山さんの経歴について教えてください。
【丸山優菜】大学では主にマーケティングの勉強をしました。インターンとして働いたレンタルスペースのマッチングサイトに新卒で入社し、SNSやイベントマーケティングなど、今でいうファンマーケティングのようなことをしていました。

【丸山優菜】レンタルスペースが実際に利用されるものの、多くのことがネット上で完結してしまい、よりリアルに近い商材を取り扱いたいと考えていたとき、「わたし漢方」の前代表である水沼未雅(みずぬま・みか)とSNSで出会いました。水沼に誘われたのがきっかけで、2019年4月に転職。その年の8月に代表を交代しました。

ーー入社から数カ月での代表就任。プレッシャーはありましたか?
【丸山優菜】「わたし漢方」は2017年に創業して、私が入社した2019年は、マーケティングに力を入れていこうという時期でした。そんななか売り上げも伸びてきて、交代となりましました。

【丸山優菜】プレッシャーはありましたが、「(代表に)なったからには頑張ろう」と、手探りでいろいろなことに取り組みました。前代表に話を聞いたり、薬剤師の方たちに漢方について教えていただいたり。チャットの内容も自分で見て、こういうお客様にはこう返そうとか、できることをやり続けてきました。

ーーもともと漢方に興味があったのですか?
【丸山優菜】興味というほどではありませんが、漢方薬を飲んだことはありました。二十歳を過ぎたころから生理がすごく重くなり、ひどいときには吐き気で動けなくなることも。産婦人科にかかってみると、漢方薬を何週間分か、どっさり処方されましたが、いつまで飲めばいいとか、効いているのかとか、よくわからないまま全部飲むことができずに余らせてしまっていました。その数年後、初めて前代表と話したときに、漢方薬は生活習慣や気になる症状を細かく聞いたうえで選ぶものだと知りました。私自身、漢方がそうやって処方されることを知らなかったので、それを広く伝えられればいいなと思いました。

ーーたしかに、自分自身も「なんとなく体によさそう」というぐらいのイメージではあります。
【丸山優菜】漢方は怪しいっていうイメージを持っている人もいますよね。とはいえ、漢方は薬として国に認められているものです。自分の健康やQOL(人生の質)向上のために、西洋薬と漢方薬とをうまく使い分けることを推進したいと思っています。

【丸山優菜】私事ですが、昨日すごくイライラするなと思ったら生理前だったんです。自分の体について知ることって大切で、知っていると安心できるし、つらさが緩和されるようなところもあります。漢方を通して、自分の体について知っていくことがおもしろいですね。

【写真】「漢方を通して、自分の体について知っていくことがおもしろい」
【写真】「漢方を通して、自分の体について知っていくことがおもしろい」【撮影=阿部昌也】

カウンセリングをLINEで時間短縮。忙しい人も利用しやすく

ーー「わたし漢方」立ち上げの背景を教えてください。
【丸山優菜】前代表は薬剤師なのですが、創業前はコンサルタントとして激務をこなしていました。学生時代からよく咳が出ていたそうで、あるとき、咳のしすぎで疲労骨折をしてしまい、何とかしなければといろいろな病院に行ったそうです。ストレスからくる咳だったようで、漢方薬がうまく効いて快方に向かい「漢方いいじゃん」となった。だから、もっと漢方を普及させたいと思ったそうです。

【丸山優菜】サービスを始めるにあたり前代表が考えたのは、自分と同じように、世間には忙しい女性がたくさんいるということ。そういう方たちにも利用してほしいと、通常1時間ほどかかるカウンセリングを、LINE上で完結させることで5〜10分に短縮し、自宅に届くという仕組みにしました。

顔が見えない分、悩みを話しやすい

ーー「わたし漢方」のサービスの特徴を教えてください。
【丸山優菜】漢方は、悩みがひとつ晴れたら終わりではなく、季節ごとの不調や、年齢による変化にアプローチできて、ずっと付き合っていけるものです。だから薬剤師と相談しながら、継続的に利用できるサブスク型サービスにしました。

【丸山優菜】また、悩みを抱えている方は、少しナーバスになっていることも多いので、できる限り寄り添えるようなコミュニケーションを心がけています。

サービスとして「できる限り寄り添えるようなコミュニケーションを心がけています」
サービスとして「できる限り寄り添えるようなコミュニケーションを心がけています」【撮影=阿部昌也】

ーー一一人ひとりとコミュニケーションを取るのは大変そうですね。
【丸山優菜】LINEの向こう側には、実際に相談薬局にいた経験のある薬剤師がいます。そういうことに関してはプロフェッショナルな方々です。ただ、チャットコミュニケーションだと対面に比べてやりとりにラグがあるので、「お客様が何を求めているのか」「本当は何を伝えたいのか」といったことを考えることが多く、苦労しているのではないかと思います。

【丸山優菜】一方で、悩みによっては、チャットのほうが好まれる場合もあります。初めて入った薬局で、初対面の相手に自分の体のことを相談するのは、ハードルが高いと感じる方もいらっしゃいます。でもLINEならお互いの顔が見えない分、いろいろな悩みを話しやすいのではないでしょうか。

ーーユーザーからの反響は?
【丸山優菜】最初のカウンセリングはチャットボットなのですが、相手の悩みに対して「辛いですね」など共感するような表現を使っています。そうした言葉だけでもお客様はグッとくるらしく、感動したというお話をいただいたときは、やっていてよかったと思う瞬間です。

ーー漢方のイメージは変わりましたか?
【丸山優菜】漢方は「薬」というイメージだったのですが、突き詰めると「健康法」なんです。漢方に詳しい人は、ツボだったり、体にいい食べ物だったりを知っている人が多い。例えば夏に夏野菜を食べると体温が下がるとか、冬には根菜を食べると体温が上がるとか。そういうおばあちゃんの知恵袋のような、知識のかたまりが漢方です。薬を広めるというよりは、漢方という考え方を広めたいですね。

「漢方という考え方を広めたい」と話す丸山さん
「漢方という考え方を広めたい」と話す丸山さん【撮影=阿部昌也】

選んだことを正解にしていく努力を

ーー丸山さんの今後の野望は?
【丸山優菜】野望は少ないほうなのですが、漢方をもっとたくさんの人に知ってもらうために、いろいろやっていきたいですね。それと、経営者として社内のオペレーションや、社員が気持ちよく働ける環境については、大事に考えていきたいです。

ーーリーダーとして、仕事をするうえで大切にしていることはありますか?
【丸山優菜】仕事の振り方には気を使いますし、うまくいかなかったときに自分が悪かったんだと考えてしまうことが多いんです。でも「あれが正解だったのかもしれない」と考えるのは、すごく無駄なこと。それなら選んだことを正解にしていく努力をしていこうと思っています。

ーー「わたし漢方」は、どういう人に利用してほしいですか?
【丸山優菜】健康の悩みを相談できない、病院に行こうと思っていたのに行けなかったという方は、けっこう多いと思います。でも、自分を健康にできるのは自分しかいないし、自分を幸せにできるのは自分しかいません。体調とメンタルは密接に関わっていますし、自分の幸せのために、過ごしやすい環境に目を向けられるような社会になればいいですね。その一手段に「わたし漢方」がなれたらと思っています。

この記事のひときわ#やくにたつ
・チャットでも寄り添ったコミュニケーションを心がける
・提供するサービスには自分の経験を生かす
・後悔するより選んだことを正解にしていく努力をする

取材=浅野祐介、文=伊藤めぐみ、写真=阿部昌也

■わたし漢方公式ページ
https://www.watashikampo.com/

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