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FP飯村久美さんに学ぶ『貯蓄1000万円の壁』を越えるコツ。起業したいなら、副業からはじめるのもあり

2023/04/16 12:30
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円安による生活コストの上昇や、老後資金問題など、お金に関する漠然とした不安を抱えている人も多いはず。一方で、これまでにも「お金を貯めたい」と考えてきたにもかかわらず、なかなかうまくいかないという人も少なくないだろう。ここでは、『年収300万円でもラクラク越えられる「貯蓄1000万円の壁」』の著者でもあるファイナンシャルプランナーの飯村久美さんが、お金を増やすコツを伝授。

今回は第30回。

ファイナンシャルプランナーの飯村久美さん
ファイナンシャルプランナーの飯村久美さん【撮影=樋口涼】


これは簡単な話ではありませんが、最も稼げるようになるのは、自分で事業をはじめることです。いわゆる、「起業」です。

もちろん私は、「稼ぐ力をつけるために、みなさん起業してください」とすすめているわけではありません。いまの時点で安定した収入があり、貯める力と増やす力を身につけることができれば、「貯蓄1000万円の壁」は、誰にだって越えていけるからです。

ここで起業の話を書くのは、以前と比べて、起業しやすい環境が整ってきているからです。

2006年に施行された「新会社法」によって、資本金1円、取締役1名でも会社設立が可能になりました。法人ではなく個人事業としてはじめるなら、さらにハードルは低くなり、管轄する税務署に開業届を提出するだけです。

資金面においても、行政をはじめ民間の支援策も充実してきました。地方創生のために起業を支援したい地方自治体のほとんどが、低金利・無担保・無保証・全期間利率固定などの優遇措置が施された融資制度を整えていますし、政府も創業5年未満の経営者の個人保証を免除する施策を検討しています。

経団連(日本経済団体連合会)も、2027年までに起業の数を約10万社にする目標を掲げ(「スタートアップ躍進ビジョン」2022年3月)、積極支援を呼びかけています。また、クラウドファンディングといったネット上で出資者を募る、新しいタイプの資金調達法も登場しています。

起業しやすい環境になってきているのは、そういったハード環境だけではありません。起業という行為そのものが、いまの時代における働き方のひとつとして、世の中に受け入れられてきたからです。若い世代を中心に起業したい人たちが増えてきているのは、もしかすると、そういったことが大きな理由かもしれません。

日本社会は、教育も含め、これまで減点主義といわれてきました。そこで評価されるのは、オール5やオール4といった人たちです。ひとつでも1や2があると、極端に評価が下がる社会だったのです。しかし、世界的な多様化の流れを受けて、1や2がほとんどでも、5がひとつでもあれば日本の社会でも評価されるようになってきたのです。

会社に所属するビジネスパーソンであっても、起業していても、なにかひとつでも圧倒的な知識や技術があれば、他の人と差別化が図れます。その知識や技術が、世の中がこれから求めているものであったり、ニッチな分野であったりすれば、十分に起業するに値するでしょう。

「自分にできること」「自分がしたいこと」「自分が得意なこと」「世の中に求められていること」を、本気になって考えてみましょう。自分だけでわからないときは、自分を理解してくれている家族、友人、職場の同僚などにリサーチして、他の人より優れている、自分の得意な能力をヒアリングしてみてください。そこから得たヒントが、稼ぐ力を付けるきっかけになるかもしれません。

繰り返しになりますが、私は「みなさん起業をしましょう」といっているわけではありません。起業で成功するには、好きなことや得意なことのスキルを磨く以外にも、事業を運営していく知識も必要ですし、設備投資や事業継続のための資金繰りも欠かせないからです。

また、起業すると収入の保障はなくなるので、もしかすると負債を抱えてしまうかもしれません。起業するなら自分の能力や優先順位、市場の状況を十分に検討することが必要ですし、起業しなくても、あなたが持つスキルを活かす方法があるかもしれません。起業も転職と同様に、十分に検討したのちに、自分で納得してから行動することが重要です。

私のクライアントで起業を考えている人に対しては、さまざまなリスクを伝えます。そして、踏ん切りがつかなければ、副業からはじめることを推奨しています。本業を続けながら副業をすることは、いきなり起業するよりはるかに安全策です。

仮に副業が思いのほかうまくいかなければ、副業内容を変えることもできます。また、時間を有効に使って自分に必要なスキルを磨くこともできるでしょう。起業するためのお金がなければ、お金が貯まるタイミングが訪れるまで待つこともできます。そしてなにより、副業ならいつでも本業に戻れる状況で自分の事業が世の中に受け入れられるかを試すことができます。

あせらなくても、起業はいつでもできます。人生100年時代。何歳からだってチャレンジできます。「そのとき」が訪れるまで、抜け目なく準備を進めましょう。

ファイナンシャルプランナーの飯村久美さん
ファイナンシャルプランナーの飯村久美さん【撮影=樋口涼】


この記事のひときわ#やくにたつ
・以前と比べて、起業しやすい環境が整ってきている
・起業の踏ん切りがつかなければ、副業からはじめる

編集協力=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、洗川俊一、横山美和、撮影=樋口涼

『年収300万円でもラクラク越えられる「貯蓄1000万円の壁」』
株式会社KADOKAWA(2022)

【プロフィール】
飯村久美(いいむら・くみ)
金融機関在籍中にファイナンシャルプランナー(FP)の資格を取得。退職後、自らの経験から、お金の正しい知識を身につけることが「生活を守る手段」であり、「やりたいこと」や「夢」につながると痛感。その経験を伝え、その人の夢が叶うマネープランをサポートすることを目的として、2006年FP事務所を開業。テレビやラジオ出演、セミナー講師など幅広く活躍中。著書に『ズボラでもお金がみるみる貯まる37の方法』(アスコム)、『シングル女子の今日からはじめる貯蓄術』(成美堂出版)、『子どもを持ったら知っておきたいお金の話』(KADOKAWA/中経出版)、『お金の先生! できるだけ簡単にお金が増える方法を教えてください。』(アスコム)、監修書に『一生お金に困らない! 貯め方・増やし方』(ナツメ社)などがある。FP事務所アイプランニング https://www.fp-iimura.jp

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