「推し活を応援!」オタク女性専用ジム「Clara」代表が思い描く“オタ活”の明るい未来図

2023/01/03 11:00
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「全力で“推し活”に励むためには体力が必要」。推し活は意外にも体力勝負で、年齢を重ねても続けていくには、普段からの健康管理が欠かせない。その事実に気づいたオタク女性たちが、全幅の信頼を寄せて通い詰めるジムが東京にある。池袋に3店舗、秋葉原に1店舗を構える「Clara(クララ)」だ。トレーナー陣も全員オタクという心許せる環境でオーダーメイドのセッションを受けられると界隈で話題となり、2年目の現在、会員数は120人を超える。目下、「男性声優コラボ・イケボトレーニング企画」も大ヒット中だという同ジムの躍進の裏側について、自身もオタクでコスプレイヤー歴も長い代表取締役・作田耀子(SAKU)さんに話を聞いた。

Claraを運営する株式会社クララボ代表取締役CEO・作田耀子(SAKU)さん
Claraを運営する株式会社クララボ代表取締役CEO・作田耀子(SAKU)さん


自身の気づきから立ち上げた、オタク女性専用ジム

ーーClaraとは、どんなジムなのでしょうか。
【SAKU】正式名称は「オタク女性専門パーソナルトレーニングジムClara」なのですが、その看板どおりです。何らかの“推し”がいる方、生きがいを持って“推し活”に励んでいらっしゃる方々のためのジム。代表の私もトレーナーも全員オタクなので、まさに“オタクによる、オタクのためのジム”と言えます。

【SAKU】ジャンルは不問で、2次元から2.5次元、3次元と、さまざまなオタクの方にご利用いただいています。推しはアニメや漫画、ゲームのキャラクターという方が多いのですが、ほかにも宝塚だったりジャニーズだったりVTuberだったり女性アイドルだったり…Claraの空間を心地よいと感じてくださる全オタクの方が対象です。

【SAKU】会員の方々はオタクとしてのあり方もそれぞれで、コスプレイヤーさんや小説や漫画の書き手さんのように自身も表現されている方から、舞台鑑賞に熱中されている方、ただ何かを追いかけたり集めたりするのが好きという方もいらっしゃいますね。

ーー2021年開業とのことですが、始められたきっかけは?
【SAKU】私自身の経験にあります。私、物心ついたときからオタクなんですけれども。コスプレも18年くらいやっています。ですがアラサーになり、若いころに比べて無理がきかなくなったり、スタイルが維持できず衣装が入らなくなったりという悩みが出てきまして。当時ちょうど腹筋が割れたキャラの男装にチャレンジしたかったこともあり、パーソナルジムの利用を始めたんです。結果、1年間で13キログラム落とすという成果に結びついたことで、ジムの価値を実感しました。

【写真】池袋Aスタジオ。飾られているグッズはSAKUさんやトレーナーの私物のほか、会員からのプレゼントも
【写真】池袋Aスタジオ。飾られているグッズはSAKUさんやトレーナーの私物のほか、会員からのプレゼントも


【SAKU】一方で、オタク女性として、一般的なジムに対するもどかしさも痛感しました。オタクにあまり理解のないトレーナーだと雑談もしづらく、ボディメイクの目的がコスプレだとも言いにくいんですよね。思い切って伝えてみても「どう思われたかな?」と不安になったり、「このイベントまでに絶対やせたい!」といったオタク心を具体的にイメージしてもらえなかったりという難しさがありました。パーソナルトレーニングって、トレーナーと「合わない」と思った瞬間に、ジムでの時間が苦痛に変わるんですよね。「もしオタクに寄り添ってくれるジムがあったら、もっと楽しく運動習慣を身につけられるだろうな」と感じたことが、Claraの原点になりました。

【SAKU】Claraを始める前にさまざまなオタク女性の方々にヒアリングさせていただいたんですが、やはり同じような思いをされている方がたくさんいらっしゃいましたね。オタクって体力勝負ですし、健康づくりをしたいけれど、一般のジムだとマシンを玄人の方が占領していたりで女性ひとりでは居づらかったり。男性にしつこく話しかけられて不快な思いをしたという方もいらっしゃいました。そうした方のためにも、気兼ねなくトレーニングに打ち込める場所があればと。

ーーえ、オタクって体力勝負なんですか?インドアなイメージがありますが。
【SAKU】体力は必須です!私のようなコスプレイヤーだけでなく、どんなジャンルのオタクも、遠征に行って歩き回ったり、ライブで飛び跳ねたり、長時間に渡ってグッズの列に並んだりするための体力が必要不可欠です。創作活動をされている方だと特に体調管理が大切で、日ごろ座りっぱなしで作業している漫画家さんなどが、睡眠不足の状態なのに無理をして、イベント会場で倒れてしまうような例は少なくありません。そうしたつらいできごとをなくしたい思いもあり、“オタクの健康寿命を延ばす”をミッションにClaraをスタートさせました。

ピンク、イエロー、ブルーのビビッドカラーが特徴的な池袋Cスタジオ
ピンク、イエロー、ブルーのビビッドカラーが特徴的な池袋Cスタジオ


オタクならではの“頑張る”工夫を散りばめ、「推しに恥じない体」を目指す


ーーClaraではどのようなサポートが受けられるのでしょうか?
【SAKU】それぞれの目的や環境についてしっかりとお話をさせていただきつつ、トレーニングと食事指導で健康的な体を目指します。食事指導については最初の2カ月間はLINEで食事内容を報告してもらい、都度アドバイスをさせていただいたあと、いい習慣を継続できるようフォローしていきます。オタクだと、ダイエット中でも、どうしてもコラボカフェに行きたいという事情があったりするんですよね。トレーナーもそうした心情を理解していますから、コラボカフェで気兼ねなく高カロリーのフードや甘いドリンクを楽しんだら、その分ほかで調整していくようなやり方を提案しています。

缶バッジが所狭しと飾られる池袋Bスタジオ
缶バッジが所狭しと飾られる池袋Bスタジオ


ーートレーニングの特色は?
【SAKU】マシンやトレーニングメニュー自体は一般的なジムと同じなのですが、オタクならではの頑張るための工夫はいろいろとあります。例えば、持参したぬいぐるみやアクリルキーホルダーなどの“推しグッズ”に見守られながら筋トレしたり。そうすることで気持ちの入り方が全然違って、ものすごく頑張れるんです。当ジムのキャッチコピーは「推しに恥じない体を作る」なのですが、皆さんそのコンセプトが刺さるようで、美意識を高く持って取り組んでいただけていると自負しています。

【SAKU】トレーナーも全員オタクですから、推しの話をしながらポジティブに取り組んでいただけるのも特色です。皆さん、インターバルにイベントの話で盛り上がったりと、セッションの時間を丸ごと楽しんでいただいていますよ。トレーナーは担当制ではなく都度指名できるシステムなので、公式サイトのプロフィールで公開している好きなジャンルや推しを確認しつつ、気分で選んでいただけます。

ーートレーナーは何名くらいいるのでしょうか?
【SAKU】現在12名です。トレーナーの採用に関してはある程度基準を設けていて、技量・経験を見るのはもちろんですが、そこに加えて求めるのは、オタクの世界に関して一定以上の知識があり、オタク文化に理解がある人。とはいえ、トレーナー自身がどれだけ語れるかよりも、利用者に寄り添って話に耳を傾けられる人であるかどうかを重視しています。

池袋を飛び出し、秋葉原にもオープン
池袋を飛び出し、秋葉原にもオープン


時に甘く、時にドSに。「男性声優コラボ・イケボトレーニング企画」とは

ーー2022年秋にリリースされた「男性声優コラボ・イケボトレーニング企画」が評判ですね。詳しく教えてもらえますか?
【SAKU】本企画は、人気の声優さんに特別に30種類のボイスを録りおろしていただいたものです。ボイスはトレーニング中に流して、会員のモチベーションを上げるために使います。この企画は、ジムを開設した当初からぜひやりたいと温めていました!現在は第1弾が形になっていて、『刀剣乱舞』燭台切光忠役、『アイドリッシュセブン』十龍之介役、『ジョジョの奇妙な物語』シーザー・アントニオ・ツェペリ役などで知られる佐藤拓也さんにご協力いただいています。

ーーどんなセリフが聞けるのですか?
【SAKU】「よく頑張った!えらいぞ」「綺麗になったね」などの応援ボイスから、「その見た目で、俺の視界に入らないでくれる?」などのドSな叱咤ボイスまで用意しています。ボイスのアイデアは、トレーナー目線だけではなく、SNSでの募集や会員アンケートの結果を採用しています。もう、佐藤さんの声が最高でとても優しく励ましてくださるので、トレーニング中に流すと、皆さん、とたんに火がつくんですよ。転げ回って喜ぶ方もいらっしゃれば、もともと佐藤さんのファンのお客さまの中には、ガチ泣きして喜んでしまう方もいらっしゃいました。

ーー気になります!聞いてみたいです。
【SAKU】ほとんどが会員しか聞けない特別なボイスなのですが、公式サイトに3点だけサンプルを公開しているので、ぜひお聞きください。また、新たな声優さんで第2弾、第3弾も企画中ですので、お楽しみに!

Claraが目指す未来とは

ーー2023年、ほかにも何か新たな動きはありそうですか?
【SAKU】実は、大阪への出店を計画しています。時期は初夏から夏くらいでしょうか。以前から、いろいろな地域で展開してほしいというご要望はいただいていたのですが、なかでも「ぜひ関西に」という声が一番多かったので。「世界中のオタクを健康に」という夢があるので、いずれほかの地域や海外にも、という気持ちもあります。

ーー海外も視野に入れられているのですね。
【SAKU】ええ、需要はあると踏んでいます。当ジムではオンラインセッションもやっているのですが、これまで地方の方はもちろん、海外の方のご利用例もありました。海外在住の日本人ではなく、日本のオタク文化に興味をお持ちの外国人の方です。

ーー確かに、Claraの人気ぶりから、場所を問わず需要はありそうですね。最近では類似のサービスを売りとするジムもできているようですし。
【SAKU】そうですね、オタク専用というコンセプトは当ジムが草分けですが、現在、よそでも似たようなサービスが始まっていると聞いています。業界全体が盛り上がるのは好ましいことで、私としては、Claraのやり方にニーズがあることの証明だと捉えています。ただ、業界初のオタクジムとしてほかではマネできないようなオタクが喜びビックリするような企画をどんどん展開していきたいとは思ってますね(笑)。

【SAKU】ほかにも、これからやりたいことはいっぱいあります。いずれはジム事業だけでなく、オタク女子を対象としたいろいろなサービスを展開したい気持ちもあって。私自身、歳を取ってもオタクとしての活動を続けたいし、皆さんもそうだと思うので、将来的にはオタク向けの老人ホームを作っていければという野望もあります。オタク女子の皆さん、おばあちゃんになっても、みんなで元気に推し活を楽しみましょう!

この記事のひときわ#やくにたつ
・自分の「あったらいいな」はビジネスのタネ
・寄せられた顧客の声をサービスに反映する
・類似する後発サービスの出現は自身の成功と捉え、次の展開をいち早く考える


取材・文=仁田茜

■オタク女性専門パーソナルトレーニングジムClara
公式サイト:https://claragym.com/

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