円安による生活コストの上昇や、老後資金問題など、お金に関する漠然とした不安を抱えている人も多いはず。一方で、これまでにも「お金を貯めたい」と考えてきたにもかかわらず、なかなかうまくいかないという人も少なくないだろう。ここでは、『年収300万円でもラクラク越えられる「貯蓄1000万円の壁」』の著者でもあるファイナンシャルプランナーの飯村久美さんが、お金を増やすコツを伝授。
お金が貯められない人の特徴のひとつとして、浪費癖があります。浪費癖のある人というのは、頭のなかではわかっていても、その悪いクセを直せないようです。
浪費癖のある人のなにが問題かというと、「自分がなににいくら使ったのかを知らないこと」です。つまり、自分の消費傾向を把握できずに、どう反省すればいいのかもわからないということ。そのときの感情に流されて、お金をどんどん使ってしまうのです。
改善のための第一歩は、自分の消費傾向を把握することです。それに最適なのが、「レシートチェック」。レシートを見れば、いつどこで、なににいくら使ったのかは一目瞭然です。
浪費癖がある人の場合は、まずお金を使ったら必ずレシートを受け取るクセを付けることからはじめてください。そして、できれば2、3日にいちど、最低でも週にいちどはレシートの内容をチェックしましょう。
そして、無駄な買い物だったなと思うものには、マーカーを引いてみてください。そうした行動を続けるだけでも、浪費癖が減っていきます。キャッシュレス決済やネットショッピングでクレジット決済をした場合も、必ず月に一度は、利用明細や購入履歴をチェックして支出の振り返りをしましょう。
また、浪費癖がある人には、財布の扱い方に注意してほしいと思います。お金が貯まる人に共通しているのが、財布の扱い方がきれいだということ。お金が貯まる人の財布には、不要なレシートやポイントカードなどが入っておらず、いつもきれいに整っています。すっきりしていて、とても使いやすそうだなという印象をこれまでに何度も受けました。
財布というのは、世の中を循環しているお金が、自分のところにやってきて休む「家」のようなものだと私は考えています。その家の居心地がよければ、お金は勝手に入ってきますし、「ボロボロで居心地が悪い」「扱いが雑で、大事にされていない」と思うと、お金は外に出ていってしまいます。
これは迷信などではありません。財布の扱い方には、その財布の持ち主のお金に対する向き合い方がはっきりと出ます。財布を大事に扱う人は、それだけお金に対しても真面目に向き合い、きちんとお金のことを考えている人です。だからこそ、お金が貯まる人の財布は、きれいですっきりしたものになるのだと思います。
逆に、お金が貯まらない人の財布は、1回買い物をしただけのお店のポイントカードがいくつも入っていたり、お札がくしゃくしゃに入れられていたり、小銭もジャラジャラとたくさん入っていたりします。そういう人の財布は、ほとんどが分厚く膨れ上がっています。
私は、受け取るお釣りをなるべく少なくしたいので、610円のものを買うときには、1110円払い、500円玉を受け取るタイプです。また、お札はなるべくきれいなものを残すようにして、1万円札、5000円札、1000円札と種類ごとにきちんと向きもそろえています。
そうすることで、「きれいなお札は使ってしまうのがもったいないなあ」と感じて、手元に残しておきたくなるのです。お札を財布のなかできれいにそろえることは、買い物する際に、「これは本当に必要なもの?」と歯止めをかけるきっかけを与えてくれます。そういう習慣が身に付くと、浪費癖も少しずつ解消されていくでしょう。
この記事のひときわ#やくにたつ
・自分の消費傾向を把握するためにレシートの内容をチェックする
・財布をきれいに大事に扱う
編集協力=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、洗川俊一、横山美和、撮影=樋口涼