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FP飯村久美さんに学ぶ『貯蓄1000万円の壁』を越えるコツ。生活の見直し、まとめ買いはしない。チラシや広告も見ない

2023/03/18 18:00
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円安による生活コストの上昇や、老後資金問題など、お金に関する漠然とした不安を抱えている人も多いはず。一方で、これまでにも「お金を貯めたい」と考えてきたにもかかわらず、なかなかうまくいかないという人も少なくないだろう。ここでは、『年収300万円でもラクラク越えられる「貯蓄1000万円の壁」』の著者でもあるファイナンシャルプランナーの飯村久美さんが、お金を増やすコツを伝授。

今回は第21回。

ファイナンシャルプランナーの飯村久美さん
ファイナンシャルプランナーの飯村久美さん【撮影=樋口涼】


貯蓄1000万円に向けて、今回、生活を見直すポイントとしてお話しするのは、お金を使わせたい側の戦略を理解することです。

例えば、まとめ買いがあります。休みの日に、生活に必要なものをまとめ買いする人は多いはずです。何度も買い物に行く手間が省けるし、まとめ買いすることにより単価が安くなり、支出を抑えた気分にもなります。しかし、まとめ買いの習慣が無駄につながることがあります。

例えば、ビールの箱買いを考えてみましょう。コロナ禍もあって「家飲み」が増えた昨今、さらに箱買いしている人が多くなっているのではないでしょうか。1本あたり数十円安いので、箱買いすると1箱で数百円もお得です。

しかし、たくさんあると気持ちが大きくなり、消費量が格段に増えていくことが多いのです。「1日1本だけ」「1日2本だけ」としっかりと本数を守れる人はいいのですが、「今日の仕事は大変だったからもう1本!」と増えていくと、消費量が2倍、3倍になってしまうわけです。それが、箱買い・まとめ買いのデメリットであり、お店側の“狙い”なのです。

まだまだ家に在庫があると思うと、ついついいつも以上に進んでしまうのが、甘いものやアルコール類などの嗜好品の特性です。甘いものやアルコールというのは、摂取すると脳が快感を覚えます。この快感を覚えるメカニズムは、麻薬の中毒症状と同じものです。そのため、甘いものやアルコールを摂取して、体が「これ以上必要ない」というサインを出しても、脳がそのブレーキを解除してしまうのです。

甘いものやアルコールが欲しくなったら、その都度、必要な分だけ買うようにしましょう。お金と体の健康を大切にしたいなら、「その都度買い」を実践してください。

もちろん、すべてのまとめ買いが悪いわけではありません。トイレットペーパーやシャンプーなど、いざというときにないと困るもの、食料品以外の日持ちするもの、消費のスピードが一定のものに関してはお得であることは間違いありません。

チラシや広告の宣伝文句にも要注意です。「同じものなら安く買いたい!」という人間の心理をうまくついてくるからです。

宣伝文句に誘われて買い物に行くと、予定以外の出費がかさみませんか?チラシにあるお買い得品を求めて行ったはずが、余計なものまで買っていることはよくあると思います。釣りにたとえてみると、私たちがいわゆる獲物なら、チラシや広告はまき餌のようなもの。私たちはいとも簡単に、釣り糸がたれているところまでおびき寄せられているのです。

チラシには、「商品すべて3割引!」「5時からタイムセールで半額!」といった、私たちの胸が躍るような文言が巧みに並べられています。店側からすれば、お店に来てもらえれば「しめしめ」という感じです。なぜなら、スーパーなどの店内には、私たち消費者がつい買いたくなるような仕掛けが張り巡らされているからです。

店内での行動経路を思い浮かべてみてください。私たちはまさに、回遊魚のような動きをしていることがわかります。スーパーの多くが、消費者の流れが左回りになるように設計されています。それは、心臓が左側にある人間にとって、左回りのほうが心地よく感じるためといわれています。

また、ほとんどのスーパーでは、メインの入り口付近に果物売り場があります。これは、スーパーの店頭に鮮やかな明るい色を配置することで、買う側の気持ちを高揚させる仕掛けです。店頭には果物の他にも、お買い得品が山のように積まれていることがありますが、それは、その商品をカゴに放り込むことで浪費スイッチが入るように仕向けられているのです。

お店側も売上が少しでも上がるように心理学を駆使し、長い時間をかけたマーケティングで財布の紐が緩みやすい仕掛けを随所に取り込んでいます。無駄な支出を回避するには、不必要にチラシや広告を見るのをやめることです。

それから、できるだけ必要なものをメモしてから買い物に出かけましょう。冷蔵庫のなかの写真を撮って、それを見ながら必要なものだけ買うといった方法もいいでしょう。最近は、庫内を撮影するカメラが搭載されている冷蔵庫も登場しました。

先日、節約の達人が、テレビでびっくりするコメントをしていました。半額になっている食品に見向きもしない節約のプロに、テレビの方がインタビューしたところ、「たとえ0円になっていたとしても買わない」と言っていたのです。

その理由は、一週間の献立が確立しているので、たとえ買っても家で捨てることになるから、とのことでした。スーパーに行ったら、「お得なものをむやみに買わず、余計なものも買わない」と心掛けることです。それが、貯蓄1000万円にじわりと近づいていく道のりです。

ファイナンシャルプランナーの飯村久美さん
ファイナンシャルプランナーの飯村久美さん【撮影=樋口涼】


この記事のひときわ#やくにたつ
・甘いものやアルコールが欲しくなったら、その都度、必要な分だけ買う
・必要なものをメモしてから買い物に出かける

編集協力=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、洗川俊一、横山美和、撮影=樋口涼

『年収300万円でもラクラク越えられる「貯蓄1000万円の壁」』
株式会社KADOKAWA(2022)

【プロフィール】
飯村久美(いいむら・くみ)
金融機関在籍中にファイナンシャルプランナー(FP)の資格を取得。退職後、自らの経験から、お金の正しい知識を身につけることが「生活を守る手段」であり、「やりたいこと」や「夢」につながると痛感。その経験を伝え、その人の夢が叶うマネープランをサポートすることを目的として、2006年FP事務所を開業。テレビやラジオ出演、セミナー講師など幅広く活躍中。著書に『ズボラでもお金がみるみる貯まる37の方法』(アスコム)、『シングル女子の今日からはじめる貯蓄術』(成美堂出版)、『子どもを持ったら知っておきたいお金の話』(KADOKAWA/中経出版)、『お金の先生! できるだけ簡単にお金が増える方法を教えてください。』(アスコム)、監修書に『一生お金に困らない! 貯め方・増やし方』(ナツメ社)などがある。FP事務所アイプランニング https://www.fp-iimura.jp

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