円安による生活コストの上昇や、老後資金問題など、お金に関する漠然とした不安を抱えている人も多いはず。一方で、これまでにも「お金を貯めたい」と考えてきたにもかかわらず、なかなかうまくいかないという人も少なくないだろう。ここでは、『年収300万円でもラクラク越えられる「貯蓄1000万円の壁」』の著者でもあるファイナンシャルプランナーの飯村久美さんが、お金を増やすコツを伝授。

このところ値上げが続いている、「電気料金」。電気料金を抑えるために、「電気をこまめに消すといい」という話がありますが、貯蓄にまわすお金を捻出するために、電気をこまめに消す必要はないと思います。
具体的な数字で説明すると、例えば60Wの電気を1時間つけっぱなしにしたときの電気代は、地域や契約によって異なりますが1.5円程度。トイレに行くのにわざわざ部屋の電気を消すことによって抑えられる支出は、本当に微々たるものです。
そんな手間をかけるなら、契約アンペアがある電力会社の場合、契約しているアンペア数を下げて、基本料金を抑えるほうが断然、お得です。アンペア数を下げるための1回の手続きだけで、毎月の電気料金を確実に抑えることができます。例えば、40アンペアを30アンペアに下げると、基本料金は月約280円(年間約3400円)ほど安くなる計算です。
私も契約アンペア数を見直しました。たまにうっかりブレーカーを落としますが、4つ同時に使っていた家電を3つに減らすなど調整すればよいだけです。東京電力のホームページにある「わが家のアンペアチェック」で、いちどにどのくらいの電気を使うかシミュレーションしてみましょう。
どうしてもアンペア数を下げられない場合でも、やれることはあります。待機電力が大きいテレビやレコーダーなどは、節電タップを利用して、寝る前にスイッチをオフにするとよいでしょう。
シーズンオフになったエアコンは、コンセントからプラグを抜きます。待機電力とは電源がオフの状態でも消費される電力のことをいい、資源エネルギー庁によると、電気代の約5%は待機電力だそうです。
長年使っている家電を思い切って買い換えるのもおすすめです。以前、15年使っていた冷蔵庫を買い換えたところ、毎月の電気代が2000円も安くなったというクライアントがいました。10年前の冷蔵庫と比べると最新の冷蔵庫は、消費電力が約半分になっているそうで、すなわち電気代も半分になるのです。
また、2016年からは電気で、2017年からはガスで、小売業者の参入が全面自由化され、ライフスタイルや価値観に合わせて、販売会社やサービスを自由に選べるようになりました。私はその際に電力会社を変えましたが、それだけで年間1万円以上の節約になりました。いろいろな会社があるので、比較検討してみる価値は十分にあります。
ただし、市場連動型プランを提供している会社の場合、原料が不足して電力の仕入れ値が上がったり、異常気象で電力消費量が急増したりすると、価格が急騰することがあります。通常の数倍~10倍くらいになったという報道もありました。全面自由化で参入企業が殺到し、価格競争に耐えられなくなって倒産するケースも増えています。
電気料金が安くなるのは嬉しいことですが、電力会社やガス会社を変更する際は、安さだけで選ばないようにしましょう。

この記事のひときわ#やくにたつ
・契約しているアンペア数を下げて、基本料金を抑える
・長年使っている家電を思い切って買い換える
編集協力=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、洗川俊一、横山美和、撮影=樋口涼