横山光昭さんに学ぶ“お金の話”。「お金を貯めたいけれど貯められない人」がいますぐ実践すべき「家計の理想割合」

2023/01/06 18:00 | 更新 2023/04/16 23:23
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この記事を読んでいるということは、いまあなたは「お金を貯めたい」と考えているのだと思います。でも、なかにはこれまでにお金を貯めようと努力したものの、うまくいかずに挫折を繰り返してきた人もいるでしょう。そんな「お金を貯めたいけれど貯められない人」にはどんな特徴が見られるのでしょうか。ファイナンシャルプランナーで、お金にまつわる本のベストセラーを多数持つ横山光昭さんは、意外にも「貯められない人には、真面目で頑張り過ぎてしまう人が多い」と言います。

家計再生コンサルタント/株式会社マイエフピー代表取締役・横山光昭さん
家計再生コンサルタント/株式会社マイエフピー代表取締役・横山光昭さん【撮影=藤巻祐介】


真面目で頑張り過ぎてしまうがゆえに貯められない

これまで私は、数多くの「お金を貯めたいけれど貯められない人」と会ってきました。もちろん、その全員というわけではありませんが、そういう人には意外なほど「真面目で頑張り過ぎてしまう人」が多いものです。

お金を貯めるには、「お金を貯めたい!」という気持ちを持つことも重要ですが、その気持ちが強過ぎるとむしろお金を貯められなくなります。

「お金を貯めたい!」という強い気持ちを持っていて真面目であるがゆえに、極端な節約に走るということもよくあることです。極端な節約ですから、長続きするはずもありません。あるいは、収支を計算していて1円でも合わなかったような場合には、自分を責めます。そうして、「やっぱり自分はきちんとお金を貯められない人なのだ」と、貯金をあきらめてしまうのです。

そういう意味では、どこかで力を抜いておくようなことが大切でしょう。収支が合わなかったら、「使途不明金○円」とざっくりと処理してしまえばいいのです。「お金を貯めたい!」という気持ちはきちんと持ちつつも、自然体の生活をしていて気がついたら貯金に回せるお金が残っているといったかたちがベストです。

また、「お金を貯めたいけれど貯められない人」には、「実行力に乏しい人」も目立ちます。そういう人は、「きちんとお金を貯めなければならないことはわかっている」、あるいはそれだけではなく「お金を貯めるための方法もわかっている」にもかかわらず、行動に移しません。

もしかしたら、心のキャパシティーが不足しているのかもしれませんね。目の前の仕事など日々のやるべきことに追われるあまり、お金のことについては後回しにしてしまうのでしょう。ですが、それではお金を貯めることはできません。この記事もそうですが、せっかく本などからお金の扱いについて学んだのであれば、そのことをすぐに実践してほしいと思います。

「お金を貯めるには、どこかで力を抜くことも大切」
「お金を貯めるには、どこかで力を抜くことも大切」【撮影=藤巻祐介】


いますぐ見直すべきは、無駄な固定費

また、性格や気質といった面とは別に、具体的な家計の面で言うと、「お金を貯めたいけれど貯められない人」は、とにかく「無駄な固定費の支払いを続けている」ことが多いのも大きな特徴です。

固定費は、住居費や光熱費など、毎月必ず発生する一定の費用のことです。家賃を1万円下げれば、1年間で12万円もの節約ができます。無駄な固定費はなくしたり減らしたりするというのは、家計を見直すうえでの基本であり大きな効果が期待できる手段です。逆に言うと、無駄な固定費を支払い続けていれば、それこそお金を貯めたいけれど貯められないというわけです。

なかでも目立つのは、いまだに3大キャリアと契約し続けているなど、多額のスマホ料金を支払い続けているというケースでしょうか。いまは3大キャリアも格安プランを提供していますし、ほかにも格安スマホの業者はいくつも存在します。

私の家庭を例にあげると、我が家では子どもの分も含めて7台のスマホを使っていますが、1カ月の合計料金は8000円程度です。3大キャリアで1台あたり5000円を払っていたとしたら合計料金は月に3万5000円となり、その差は歴然ですよね。

聞いたことがある話だと、なかにはブランドとして大手キャリアを認識しているために契約し続けているという人もいるようです。でも、大手キャリアをブランドとして認識する人がまわりにどれだけいるでしょう。そして、そのブランドとやらに高い料金を払い続ける価値が果たしてどれだけあるでしょうか。

「固定費の削減は、家計を見直すうえでの基本であり大きな効果が期待できる手段」
「固定費の削減は、家計を見直すうえでの基本であり大きな効果が期待できる手段」【撮影=藤巻祐介】


収入に占める各出費の「理想割合」

では、無駄な固定費を減らすべきだとおわかりいただいたところで、それぞれの出費をどれくらいに抑えるのがいいのかを見ていきます。

それについては、じつは私自身は「人それぞれでいい」と考えています。ただ、これからお金を貯めようとしている、いわば「貯金の初心者」の人からは、「目安が知りたい」と言われることもしばしばです。そこで、ひとつの目安として私が考える家計の理想割合を示しましょう。

家計の理想割合
家計の理想割合


これは、まだ若く手取りが20万円という単身者と、小さな子どもがひとりいる家庭の家計を想定したものです。もちろんこれはあくまでも目安ですから、居住地や個人の趣味嗜好などによっても変わるものだと捉えてください。東京など都市部に住んでいる人なら住居費はもっと増えるでしょうし、ファッションが好きな人と食事が好きな人ではそれらの出費にも大きな違いが出てくるでしょう。

いずれにせよ、自分なりの価値観というものをしっかと認識し、それにもとづいて「これにはお金をかけたいけれど、ここは無駄だな」といった判断をしながら、無理なくお金を残していくことが大切です。

「どうしてお金を貯めたいのか?」という問いに対する答えは人それぞれでしょうけれど、大きくまとめて言うと「幸せになりたいから」ということになるのではないでしょうか。それなのに、お金を貯めるために自分の価値観に沿わない無理な節約をするようなことをしてしまえば、それこそ幸せな生活を送れるはずもありません。節約すべきところは節約しつつ、好きなことにはきちんとお金を使えるような健全な家計を目指してください。

この記事のひときわ#やくにたつ
・頑張り過ぎずに、どこかで力を抜いておくことも大切
・固定費、特に、携帯料金の見直しをする
・家計の理想割合を意識する

構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、取材・文=清家茂樹、撮影=藤巻祐介

『90日で「貯める力」をつける本』ディスカヴァー・トゥエンティワン(2022)
横山光昭 著

【プロフィール】横山光昭(よこやま・みつあき)
1971年生まれ、北海道出身。家計再生コンサルタント。株式会社マイエフピー代表取締役。赤字家計の盲点を探りながら抜本的解決、確実な再生を目指す。個別の相談・指導では独自の貯金プログラムを生かし、リバウンドのない再生と飛躍を実現し、これまでに2万4000件以上の赤字家計を再生した。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌等の各種メディアでも活躍する。全国の読者や依頼者から共感や応援の声が集まる庶民派ファイナンシャルプランナー。『図解 日本一やさしい 年金の正解』(ワン・パブリッシング)、『18歳からの投資信託の教科書』(総合法令出版)、『かんたん年金家計ノート』(コスミック出版)、『13歳からの3000円投資生活』(アスコム)など著書多数。

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