横川楓の「ミレニアル世代のお金の常識」【第6回】「若者の〇〇離れ」はなぜ起きた?これからを生きる若い世代が持つべき意識

2023/01/10 18:00 | 更新 2023/04/16 23:19
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もう何年も前から、「若者の車離れ」を筆頭に、「旅行離れ」「ゴルフ離れ」「スキー離れ」など、「若者の○○離れ」という言葉をメディア等で頻繁に見聞きします。年上世代からは、「いまの若い世代はお金を使わない」「だから日本の経済状況はなかなか上向かない」といったことも言われますが……果たして本当にそうなのでしょうか。私なりの考えをお伝えします。


「○○離れ」の最大の要因は、インターネットの普及

若い世代が「○○離れ」を起こしていることの最大の要因は、「インターネットの普及」も大きな原因の一つであると私は考えています。なぜなら、インターネットが普及したことで、かつてのようにオフラインで集まるために移動して、その移動手段としての車を使うといったことや、オフラインのアクティビティだけではなく、オンラインのつながりを持てばお金をかけなくても楽しめるものが増えたからです。

いまでは好きなアイドルやアーティストのパフォーマンスをYouTubeで観ることができたり、コロナ禍では現場に行けなくてもコンサートを観ることができるようにコンサートのオンライン配信も普及しました。実際に旅行に行かなくても、Instagramなどを通じて遠い海外の雰囲気だってある程度楽しむこともできます。

このことは、友人との関係に対しても言えるように思います。コロナ禍以降、「オンライン飲み会」というものも広まりましたが、オフラインで直接会わずとも友人同士で共通の時間を楽しめるようになりました。prime videoやHuluには、遠くにいる友人たちとチャットをしながら同時に同じ映画やドラマを鑑賞できる機能も存在します。

インターネットが普及したことによって、ただモノを消費するより、親しい友人やパートナーと時間や体験を共有するといったことにより大きな価値を見出しているのがいまの若い世代であり、そのために昔とは異なり、必ずしもみんなでオフラインで集まって何かをするということだけではない選択肢が増えたということがあります。

【やさしいお金の専門家/金融教育活動家】横川楓さん
【やさしいお金の専門家/金融教育活動家】横川楓さん【撮影=阿部昌也】


「失われた30年」がもたらした若い世代の「お金観」

また、若い世代が「○○離れ」を起こしていることの要因には、もちろん「お金がない」ということもあるでしょう。

いまの若い世代は、生まれたときから「失われた30年」の中で生きてきた世代です。「失われた30年」とは、日本においてほとんど経済成長が見られない1990年代初頭以降の30年間のことです。

もちろん、教科書では「失われた30年」以前のバブル時代についても学びましたが、ずっと不景気の中で生きてきた私たちにとっては、好景気というものは実感を持って感じられるものではありません。このことは、社会に出てからも変わりませんよね。かつてのように年功序列で順調にどんどん給料が上がっていくはずもなく、「日本の給料はずっと横ばい」と言われる状況にあります。

そうであるにもかかわらず、消費税が上がったり社会保険料が上がったりと、出ていくお金は増えていく……。そういう状況に置かれ続けているために、若い世代には「手元にある限られたお金でなんとかやりくりをしよう」「お金に対して堅実で慎重であろう」というなんとなく「お金観」が備わっているように感じています。

また、自分たちのお金観や感覚とは別のところで、「サービスの充実」も若い世代が「○○離れ」を起こしている要因のひとつかもしれません。不景気によって日本人全体の節約意識が高まる中、動画や音楽、漫画といったメディアにファッション、それこそ車のサブスクサービスという形で、所有するよりも一つの価格感的に低価格でこれらを利用できるサービスも広まっています。そういったものをうまく活用することも、お金のやりくりの一つとされる時代です。

社会や時代がなんとかしてくれることはない

そして、私が若い世代に強くお伝えしたいのは、「社会や時代がなんとかしてくれることはない」ということです。

バブル時代のように、もしかしたらさまざまな要因が重なって日本の景気がいきなりよくなることもあるかもしれません。でも、たとえそうなったとしても、栄枯盛衰ではありませんが、過去を振り返ってみてもその好景気がずっと続くということはないのです。

いまの政権は、「資産所得倍増計画」というものを掲げています。でもその中身は、「国民の資産を貯蓄から投資へシフトさせることで資産所得を増加させることを目指す」というもの。つまり、結局は「自分自身でお金を増やしてくださいね」ということで、自分自身で行動に移さないといけない側面が強いのです。

もし政策として日本の経済状況を向上させるものが打ち出されたとしても、実際に生活をしている私たちにその好影響が及ぶにはタイムラグもあります。

だからこそ、社会や時代がなんとかしてくれることに期待するのではなく、限られた給料以外の投資や副業といったプラスアルファの手段で手元に残るお金を増やすことを自ら考えるべきではないでしょうか。そして、それらは自分で「やろう!」と意識しなければ、ほかの誰かがリードして始めてくれるものではありません。

好景気によって誰しもの給料がどんどん上がっていったかつての時代と違い、いまは「自分でなんとかしよう」という意識を持っているかどうかで、経済的な格差が広がりやすくなっている時代です。そのことを忘れず、格差を広げられる側にならないように、お金についてしっかりと学びながら投資や副業を実践に移していってくださいね。

「経済的な格差を決めるのは、『自分でなんとかしよう』という意識を持っているかどうか」
「経済的な格差を決めるのは、『自分でなんとかしよう』という意識を持っているかどうか」【撮影=阿部昌也】


この記事のひときわ#やくにたつ
・「資産所得倍増計画」は、自分自身で行動に移さないといけない側面が強い
・給料以外のプラスアルファの手段で、手元に残るお金を増やすことを考える
・経済格差を広げられないためには「自分でなんとかしよう」という意識が大切

構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、取材・文=清家茂樹、撮影=阿部昌也

『ミレニアル世代のお金のリアル』フォレスト出版(2019)
横川楓 著

【プロフィール】横川楓(よこかわ・かえで)
1990年生まれ。経営学修士(MBA)、ファイナンシャルプランナー(AFP)などを取得。やさしいお金の専門家/金融教育活動家として、「誰よりも等身大の目線でわかりやすく」をモットーにお金の知識を啓蒙、金融教育の普及に取り組んでいる。 2022年1月には一般社団法人金融教育推進協会を設立し、代表理事となる。マネーコンテンツ制作や企業や官公庁のアドバイザー、セミナー講師、雑誌・WEB・テレビなどメディア出演多数。
Twitter:@yokokawakaede
公式サイトはこちら

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