横川楓の「ミレニアル世代のお金の常識」【第5回】ただ取られるだけじゃない。「税金」とはみんなが使うお金をプールする仕組み

2022/12/21 13:00 | 更新 2023/04/16 23:33
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「やさしいお金の専門家/金融教育活動家」こと横川楓です。「税金」については、「取られている」という印象も強くあまりいいイメージを持っていない人が多いのではないでしょうか。そもそも税金とはどんなシステムで、なぜ必要なのでしょう。今回は税金をテーマに、なかでも若い人も多いミレニアル世代が知っておくべきことを中心にお話していきます。

【撮影=阿部昌也】


「税金」は、みんなが使うためにお金をプールする制度

「税金」の使いみちと聞くと、政治家や公務員の給料、生活保護の人の給付金など、他人に使われているものばかりが思い浮かぶという人もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。

税金とは、日本に住んでいる私たちみんなが使うためにお金をプールする仕組みです。そのお金によって、公立学校には学費を払わずに通えますし、図書館や救急車も無料で使えれば、病院で払うお金の全額を負担しなくても済んでいるのです。

ですから、税金に対して「取られてばかりだ」と思っている人であっても、税金のお世話になっていないという人はほとんどいません。

そんな税金のなかでいちばん身近なものは、「消費税」になるでしょうか。消費税は、「所得税」「法人税」と並ぶ、日本の税収を支える3つの柱のひとつです。そのなかでも、安定した税収を得るために最も重要なものが消費税。なぜなら、消費税は、特定の人に負担が集中しない制度だからです。

所得税は、収入が多いほど税額が高くなる累進課税という制度をとっています。法人税の場合は自治体によって課税率に違いがありますし、課税率を大きく上げてしまうと働く現役世代に負担が集中することになります。

一方、消費税はそうではありませんよね?もう仕事をしていないおじいちゃんやおばあちゃんでも、まだ小さい子どもでも、何かを買えば消費税というかたちで税金を払うことになります。そうして、私たちみんなに負担を分散することで、安定した税収を得るという狙いが消費税にはあるのです。

そうして安定して税収を得られれば、もちろんそれは公共サービスというかたちで私たちに還元されます。ですから、消費税率が徐々に上がっていっていることも、きちんと私たちに公共サービスという形で還元されるのであれば、悪いことばかりではないという見方もできます。

【やさしいお金の専門家/金融教育活動家】横川楓さん
【やさしいお金の専門家/金融教育活動家】横川楓さん【撮影=阿部昌也】


所得税と住民税にある「知らないと損をする仕組み」

一方、誰もが平等に課税される消費税とは違い、「所得税」や「住民税」については注意も必要です。というのも、所得税と住民税は、「知らないと損をする仕組み」を抱えているからです。

所得税と住民税は、収入によって納める税額が変わる税金です。でも、税額を左右するのは収入だけではありません。家族を養っている人の税負担を少しでも軽くするための制度である「扶養控除」というものもあれば、自分自身や家族のために一定の医療費を支払った場合に適用される「医療費控除」に、法律で定められた範囲で地方自治体への寄附金額が所得税や住民税から控除される「ふるさと納税」もあります。

また、2017年からは、医療費控除よりもハードルが低く申請しやすい、「セルフメディケーション税制」という制度も始まりました。これは、きちんと予防接種や健康診断を受けるなど健康の保持や病気の予防のために一定の取り組みを行っている人が、同じ家計で暮らしている家族も含めて1年間に1万2000円以上の対象医療品を購入した際に所得控除を受けられるという制度です。

セルフメディケーション税制の対象医療品には、共通のマークが入っています。そして、その範囲はとても広く、一般的な湿布薬や風邪薬、花粉症用の薬なども含まれます。一人暮らしだと医療費控除の10万円までなかなかいかないし…という方でも、花粉症の薬や頭痛薬で、1万2000円以上なら買うかも!という方もいるのではないでしょうか。薬を買う時に対象薬を選ぶようにするだけでも、金額に達したらセルフメディケーション税制の恩恵を受けられる可能性があるので、ぜひ気にするようにしてみましょう。

もちろん、これらの控除を受けるには、自ら確定申告や年末調整で必要な書類を提出する必要があります。だからこそ、「知らないと損をする仕組み」なのです。

税金から受ける恩恵には世代間で格差がある

そして、若い世代にとっては、少しでも自分のためのお金を増やしていこうと思うのなら、こういった仕組みをきちんと知って自ら能動的に活用していくことこそが大切です。

先に、税金とは「私たちみんなが使うためにお金をプールする仕組み」だとお話しました。もちろんそれは正しいのですが、「納めた税金から受ける恩恵には世代間で格差がある」というのもまた事実です。

税金の使いみちのうち多くの割合を占めているのが、年金、医療、生活保護といった生活や健康のために使われる「社会保障関係費」です。そして、そのなかでより多くを占めるのが、「年金・医療への支出」であり、これらのほとんどは高齢者のための社会保障なのです。

一方で、雇用労災対策や子育て支援など、若い現役世代のために使われている金額はそれらに比べて、とても少ない金額となっています。確かに、高齢者が多いという人口構成比を考えれば、多くの税金が高齢者のために使われるのも仕方ないかもしれません。

ただやはり、「税金を払っている以上、しっかり恩恵を受けたい」「きちんと恩恵を受けられないのだったら、支払う税金はできるだけ抑えたい」と思う人も多いはず。だからこそ、「知らないと損をする仕組み」について知り、しっかりと活用することを考えてほしいと思います。

「仕組みを理解し、自ら能動的に活用していくことが大切」
「仕組みを理解し、自ら能動的に活用していくことが大切」【撮影=阿部昌也】


この記事のひときわ#やくにたつ
・所得税と住民税は、「知らないと損をする仕組み」を抱えている
・税金の仕組みを理解し、能動的に活用することが大切

構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、取材・文=清家茂樹、撮影=阿部昌也

『ミレニアル世代のお金のリアル』フォレスト出版(2019)
横川楓 著

【プロフィール】横川楓(よこかわ・かえで)
1990年生まれ。経営学修士(MBA)、ファイナンシャルプランナー(AFP)などを取得。やさしいお金の専門家/金融教育活動家として、「誰よりも等身大の目線でわかりやすく」をモットーにお金の知識を啓蒙、金融教育の普及に取り組んでいる。 2022年1月には一般社団法人金融教育推進協会を設立し、代表理事となる。マネーコンテンツ制作や企業や官公庁のアドバイザー、セミナー講師、雑誌・WEB・テレビなどメディア出演多数。
Twitter:@yokokawakaede
公式サイトはこちら

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